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ミ゜とテテロとたまごぼしのボンボン

作者: 芳南 幸

 遠くの銀河まで見えるほどすきとおって寒い日の朝、隣の家に住むテテロが

「おはよう、ミ! やくそくの日がきた! 釣りに行こうよ!」

 と、ミ゜の家のドアを開けました。

 今日は星の海のずうっと奥底にある、水玉模様がピカピカ光っている“つりぼり惑星”に向かって針をたらすと、たくさんのたまごぼしが釣れる日なのです。二人はずっと前から今日を楽しみにしていました。

「やあテテロ! ぼくも今テテロの家に行こうと思ってたんだ」

 ミ゜は一本目の腕で釣りざお、二本目の腕でたまごぼしを入れるバケツ、三本目の腕でかばん、四本目の腕で折りたたみのいすを持ちながら言いました。

「つまりぼくもきみも準備ばんたんってことだ。じゃあさっそく釣りに行こうじゃないか!」

 そうして二人は歌いながら家から飛び出しました。


  ミ゜テテロ ミ゜テテロ ミ゜とテテロ

  とおくのつりぼりわくせいに

  はりをたらそうたまごぼし

  ミ゜テテロ ミ゜テテロ ミ゜とテテロ


「もうみんな釣りに出かけているんだね」

「そりゃあそうさ。たまごぼしはとってもおいしいからね」

「そうだね。ぼくはたまごぼしを氷づけにして、カァンと割ってまんなかのにちゃにちゃをすくって食べるのが好きなんだ。三つのおめめがぎゅーっととじてしまうくらいすっぱくって、体がぽっかぽかになるんだよ」

「いいねぇ。ぼくはおひさまで干したたまごぼしなんかも好きだな。牙が通らないくらいにがちがちで、からくて苦くて胸がすーっとするんだよ」

「けれども今日は」

「けれども今日は」

「たまごぼしのボンボンをつくろう!」

 ミ゜とテテロは声を合わせ、岬へと向かいます。


  ミ゜テテロ ミ゜テテロ ミ゜とテテロ

  つりたてぴちぴちたまごぼし

  ボンボンボボボンボボンボン

  ミ゜テテロ ミ゜テテロ ミ゜とテテロ


 ところで、みなさんはボンボンという食べ物を知っていますか? 指の爪くらい小さくて、砂糖でできたしゃりしゃりの殻のおなかに、くだものや木の実やとろっとしたジュースなどを入れたお菓子です。

 本当は、ミ゜とテテロの住む星ではこういう殻の中に具を包んだお菓子のことをゥオ゜フアリ゛タェルスヶラセセロ゛と言っているのですが、長いのでこのお話ではボンボンと呼びますね。


 さて、岬についた二人は折りたたみのいすに座り、さっそく目の前の星の海へ釣り針を落とします。

 針にエサはいりません。ただ、他の星に当たらないように気をつけながら、奥底にある藍色のつりぼり惑星めがけて銀の針をたらしていかなければなりません。たまごぼしではないハズレぼしを釣り上げたくはありませんからね。

 どうやらミ゜もテテロも釣り糸をするする伸ばして針をたらし終わったようですよ。

「うぅん、今日はたまごぼしが狙いづらいなぁ」

 テテロが目をこすりながら言いました。

「そうなの?」

「ほら、ミ゜、見てごらん。つりぼり惑星をうっすらと蛍光グリーンの膜がおおっているだろう?」

「うん。見えるよテテロ」

「あれはそよそよなびいて美しいけれど、たまごぼしと同じ色で光っているんだ。これではたまごぼしが見つけづらい」

「そうなんだ」

「それに、今日はつりぼり惑星のまわりをぐるぐる回っている小さな星が、いっちょまえにおひさまの光をはじいている」

「うん」

「そういう日はつりぼり惑星の表面が明るくなってしまって、もっと探すのが難しくなるんだ」

「それじゃあテテロ、今日はたまごぼしが釣れないってことなのかい?」

 ミ゜は不安で泣きそうになりながらテテロに聞きました。せっかく今日のためにたまごぼしのボンボンの作り方をテテロと考えたのですから。地面にボンボンのレシピも広げてあるのです。

 しかしテテロは自信まんまんで答えます。

「まかせてくれよミ゜、ぼくはたまごぼし釣りの名人だからね。このくらいならへっちゃらさ!」

 そうしてテテロは一人で歌い始めました。


  ミ゜テテロ ミ゜テテロ ミ゜とテテロ

  かくれてないででておいで

  みどりにひかるたまごぼし

  ミ゜テテロ ミ゜テテロ ミ゜とテテロ 


「あっ! テテロ、向こうでたまごぼしが光ったのが見えたよ!」 

「どこだい?」

「針の先から右に少しいったところ!」

「そうか、それはとても参考になった」

 最初にたまごぼしを見つけたのはミ゜の方でした。

 蛍光グリーンの膜がうすくなっているところを、たまごぼしがもっと強い光を放ちながらシューっと長い尾を引いて流れていったのです。しかも三つも!

 けれどもテテロはなにもせず、じぃっと星の海の底を眺めるばかりです。

「釣らないのかい、テテロ」

「いいかいミ゜、こういうのは忍耐が大事なんだ。あせってさおを振り回さないで、待ってみるくらいのほうが針に食いついてくれるものさ」

「そういうものかい?」

「そういうものだよ」

 テテロがそう言ってしばらくすると、二人の目の前のさおがぐんと勢いよくしなりました。

「よしきた!」

 テテロは四本の腕で力強くさおをつかみ、ぐるぐると糸を巻きとりはじめます。ミ゜もテテロのまねをしてぐるぐるぐるぐる急いで糸を巻きました。

 しかしたまごぼしは黄緑色の光をしゅーしゅーと噴き出しながらつりぼり惑星の向こうに逃げようとしていて、びぃんびぃんと振動が糸を伝って、さおは折れそうなくらいにしなっています。

「ミ゜。いちに、いちに、いちにさん、のリズムで糸を巻くんだ。そうしたらぼくみたいに釣れるから。いちに、いちに、いちにっさん。いちに、いちに、いちにっさんっ! きみのたまごぼしはずいぶん元気みたいだ。さあ、あと一息!」

 手がじんじんとしびれてきましたが、先に自分のたまごぼしを釣り終わったテテロがミ゜のさおを支えてくれました。あとは全力でさおを引くだけです。

「よぅし。いちに、いちに、いちにさん。いち、に。いち、に。いちっ、にっ……、さあぁん!!!」


  びぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃん

  ぴゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅん

  びちびちびちびちびちびち

  しゅぉんぉんぉんぉんぉん

 

 いろんな音をたて、たまごぼしがつりぼり惑星の蛍光グリーンの膜を突き破って出てきました!

 黄緑色に光っていたたまごぼしは、釣ってみると白色のもくもくを出しながら釣り糸の遠く下で跳ねまわっています。

「わぁい、釣れた釣れた!」

「おめでとう、ミ゜! とっても活きのいいすばらしいたまごぼしじゃないか」

「テテロ、ぼく初めてたまごぼしを釣ったよ!」

「それはよかった。きみがはじめてたまごぼしを釣ったよき日に居合わせて、ぼくはとてもうれしいよ。それ、さっそくボンボンを作ろうじゃないか」

「そうしようそうしよう! まずはマパシピナロをくっつけるぞ!」

 二人は地面に広げたレシピを見てから、釣り竿の先でゆれているもくもくのたまごぼしをひゅんひゅんと振りまわしました。するとつりぼり惑星の住人達が飛ばしたという、ちいさな機械の蝶であるマパシピナロが罠にかかったようにもくもくの周りにくっついていきます。

 もくもくが見えなくなるようにマパシピナロを引っ付けていくと、たまごぼしはでこぼこの、金平糖のような形になりました。星の海の光が鏡のようにキラキラと映って、これだけでもおいしそうな見た目です。

「次は星をふりかけるぞ!」

「いいや、待ってくれミ゜」

「なんだいテテロ」

「つりぼり惑星をおおう膜に、紫とピンクのやつも出てきただろう? あれをちょいっとまとわせてみたら、もっとおいしくなりそうな気がしないかい?」

 確かにテテロの言う通り、つりぼり惑星を覆う黄緑色の膜の向こうの方で、桃色が溶け込んだような紫色の膜が柔らかくひらひらとしているのでした。味のほどはわからないけれど、あれを付けてみたら心の中が踊るように楽しい気分になりそうです。

「でも、そんなのレシピに入れなかったよ」

「ミ゜、けれどもぼくはおいしそうだというぼくの直感を信じたいんだ。たとえおいしくなくなったとしても、それはまるっとぼくが食べるものだからいいのさ。そーれっ」

 テテロはびゅんっと音がするほど強く釣りざおを振りました。そして、紫色の膜の上に着地させたたまごぼしをそうっと引き上げます。

 するとなんと、たまごぼしが花のようにあざやかな紫色に染まっていたのでした。

「お待たせ、ミ゜。さあ、次の工程に移ろう」

「待ってテテロ、ぼくも、ぼくもあの膜を付けたい!」

 ミ゜はいすから勢いよく立ち上がって、テテロと同じ様にびゅんっと釣りざおを振りました。けれどもあまりに急いで振ったので、たまごぼしは黄緑色と紫色のあわいに着地してしまいました。慌てて引き上げるとやっぱり黄緑色と紫色が半分ずつ、しかもまだら模様になっています。

「ああ、ぼくのはテテロのようなたまごぼしにはならなかった。テテロのはお花みたいで、すっごくきれいなのに」

「ぼくのが花なら、ミ゜は葉っぱつきの花だね。茎から摘んだ花みたいだよ」

 テテロの言葉で、なんだかミ゜は自分のたまごぼしがだんだんと良いものに思えてきました。いばりくさって釣り針にひっかかっているようにさえ見えます。

「うん、そうだね。どっちのたまごぼしもきれいだ。よーし、作ろう!」


  ミ゜テテロ ミ゜テテロ ミ゜とテテロ

  レシピはただのみちしるべ

  ボンボンたのしくりょうりしよう

  ミ゜テテロ ミ゜テテロ ミ゜とテテロ


 ミ゜とテテロはあっちこっちにさおを振ります。

 びゅん! ダイヤモンドの星をぱらぱらっとふりかけて

 びゅん! 木星のガスをくるくるからめて 

 びゅん! 野良彗星の金色の尾びれをぺたっと貼り付けて

 びゅん! ブラックホールにささっとくぐらせて

 びゅん! プラズマボールでくるりと包んで

 びゅん! きらきらの薔薇星雲をコーティングして

 びゅん! ちいさな星々をスプリンクルのようにたっぷりまぶしたら   できあがり!

 さいごに糸をまきまきまきまきして……。


 そうしてミ゜とテテロは、まだほんのりあたたかいたまごぼしのボンボンを星の海から引き上げます。

「あっはははははははははは!」

 そしてふたりは、いすごとそっくり返るほど大笑いしました。

「なんてこった、ミ゜!」

「なんてこった、テテロ!」

「ボンボンが顔よりおおきくなっちゃった!」

 だって釣り上げたボンボンが、四本の腕を使ってもえいとこやっとこ持たなければならないほど大きく重くなってしまったのですから!

「こんなにでっかくなってしまうなんて、レシピではわからなかったねぇ」

「そうだね。レシピに書いていなかった面白そうなものを、たくさんくっつけたからだろうよ」

「こんなに重くなってしまうなんて、これでは家に持ち帰れないなぁ」

「ならばここで食べるしかあるまい」

「そうだね、そうしよう。できたてのたまごぼしのボンボンはきっとおいしいよ!」

 

  ミ゜テテロ ミ゜テテロ ミ゜とテテロ

  それではふたりでごいっしょに……


「待って、テテロ。これはどうやって食べようか」

 ボンボンから針を外した二人はお互いに顔を見合わせます。

「顔ほども大きいからなぁ。ナイフで切ってフォークで刺すといいかな?」

「それともスプーンですくった方がいいかしら?」

「そうだミ゜、せっかくだから一層ずつかじって食べるのはどうだい?! そうしたらいつか真ん中のたまごぼしにたどり着くよ。メインのたまごぼしは最後のお楽しみってことさ」

「それは名案だね、テテロ!」


  ミ゜テテロ ミ゜テテロ ミ゜とテテロ

  それではふたりでごいっしょに

  おおきくくちあけいただきまーす

  ミ゜テテロ ミ゜テテロ ミ゜とテテロ


 がぶり、ざくざく!

「テテロ! スプリンクルがお口のなかでぱちぱちはじけるねぇ!」

「口の中から逃げたいって跳ね回っているよ! 鼻からも逃げようとしているのかツーンとしてきた! これは踊り食いってやつなんじゃないか?」

「ぼくたち今おどってないよ?」

「口の中で食べ物が踊るから踊り食いなのさ」

「へえ。でもぼくたちもおどりながら食べればもっとおいしいんじゃないかい?」

「確かにそうだ」

 ぱちぱちのスプリンクルのように二人ともぴょんぴょんジャンプして、腕をゆらゆら動かします。

「なんとおいしい!」

 そうして二人であははと笑い、むしゃむしゃぺろりと食べてしまいました。


 お次は紅色の薔薇星雲。

 がぶり、もしょもしょ!

「テテロ、これは」

「おっほほへひひ!」

「いひゃうひゃえひゃひゃ!」

 テテロが味を言おうとしたミ゜を笑い、そのあとミ゜もテテロを見て笑いました。どちらかが口を開いて何かを言おうとするたびに笑ってしまいます。

「なんてこった! 舌がまっさおになっちゃった!」

 ミ゜の言った通り、二人のながーいべろが宇宙の青色を塗ったような色に変わっていたのです。

「赤い赤いばら星雲を食べたのに、ふしぎだねぇ」

「不思議だ不思議だ」

「けれどおいしい!」

 そうして二人であははと笑い、むしゃむしゃぺろりと食べてしまいました。


 お次はくるりと包んだプラズマボール。

 がぶり、ぼうぼう!

「あっちちあちちあちあちち!!」

「あふあふ、ほはっ」

 ぴちぴちいっているプラズマボールを口に入れた瞬間、二人の口からぼうぼうと勢いよく赤い火が噴き出してしまいました! けれど二人はにこにこしながら口を動かします。

「うん。一口目はびっくりしたけれど、あんがい辛くってクセになる」

「お腹がかっかと熱くなって、ぼくはこれ、とっても好きだなぁ」

「かなりおいしい!」

 そうして二人であははと笑い、むしゃむしゃぺろりと食べてしまいました。


 お次は暗黒のブラックホール。

 がぶり、めりめり! 食べた瞬間体が風船のようにぼんっと膨らんで、なかなかおいしい!

 お次は野良彗星の尾びれ。

 がぶり、しゅんしゅん! 三つの目から火花が出るほどすっぱくて、だからおいしい!

 お次は木星のガス。

 がぶり、ぷわぷわ! 牙にねとねとまとわりついて、やっぱりおいしい!

 お次はダイヤモンドの星。

 がぶり、かちかち! おでこがキィンとなるほどつめたくって、さりとておいしい!

 お次はつりぼり惑星の膜。テテロは紫、ミ゜は紫と黄緑色のまだらです。

 がぶり、つるつるりん! 喉ごしがよくて体がぴりぴりしびれて、それでもおいしい!

 そうして二人であははと笑い、むしゃむしゃぺろりと食べてしまいました。


 そしてとうとうたまごぼしのボンボンは、たまごぼしと、たまごぼしを包む殻である機械の蝶のマパシピナロだけになってしまいました。大きさも、もう手のひらに乗るほどしか残っていません。

「これはたまごぼしと一緒に食べてしまわないかい?」

「たまごぼしのボンボンだから、マパシピナロの殻と一緒に食べるってことだね」

「そういうことさ」

「せぇの!」

 ミ゜とテテロは二人で声を合わせて、一緒に口にたまごぼしのボンボンを放りこみました。


 がぶり、しゃりしゃり!


「ん!」

「ん!」

 しゃりしゃりのマパシピナロから、とろりとたまごぼしが溶けて口の中に広がっていきます。

「甘ぁい」

「甘ぁい」

「ほっぺがとろけそうに甘いねぇ」

「胸がぎゅっとしそうに甘いね」

「牙がきぃんと痛みそうに甘いねぇ」

「目がカッと開くくらい甘いね」

「すこぅしだけ油みたいなにおいがするね。それも天の川を流れる乳みたいなにおいだ」

「けれども少しだけ苦くて香ばしい。たきびに当たっている時の香りみたいだ」

「ああテテロ! もうたまごぼしがさぁっと口の中から消えちゃった。まるで波みたいに!」

「ぼくのもあっという間に消えてしまったよ、ミ゜。まるで夢みたいに」

「つまりこれは」

「つまりこれは」

「失敗だ!」

 ミ゜とテテロは顔を見合わせあははと笑い、地面にごろんと寝転がりました。


「たまごぼしを氷づけにした時は、中のにちゃにちゃがすっぱくなっておいしいのに」

「おひさま干しにした時は、牙が折れそうなほど固くておいしいんだけどな」

「甘ぁくなっちゃったね」

「とろとろになってしまったね」

「どうしてなんだろうね」

 二人はまたあははと笑います。

「あ、思い出した」

「なぁに、テテロ」

「ぼくは今のたまごぼしの味を、前に食べたことがあるよ」

「そうなの? どこで?」

「つりぼり惑星のおみやげをもらったことがあるんだ。あれはなんていう名前だっけ。そう、確か……チィコルト!」

「チィコルト? へんな名前!」

「ぼくもそう思う。けれどつりぼり惑星の者たちはチィコルトをありがたがって食べるらしいよ」

「あんなに甘くってすぐに口から消えてしまうのに?! おっかしいの!」


  ミ゜テテロ ミ゜テテロ ミ゜とテテロ

  たまごぼしのボンボンは

  いまいちあじのチィコルト

  ミ゜テテロ ミ゜テテロ ミ゜とテテロ


 そうして二人であーっはっはっはと一際おおきく笑って、そのあとテテロがまじめくさった顔でミ゜のことを見ました。

「けれどね、ミ゜」

「うん?」

「たまごぼしのボンボンはざんねんな味だったけれど、ぼくは今日、きみとたまごぼし釣りをできてよかったと思うよ」

「当然じゃないか、テテロ! 今日もそうだし、たまごぼしのレシピを考えているあいだも釣りの準備をしているあいだも、ずーっと楽しかった!」

「それはよかった」

「まあ、もっとたまごぼしがおいしければ言うことなしだったけれど。やっぱりたまごぼしは氷づけにかぎるね」

「なにを言っているんだい。おひさま干しのたまごぼしが一番だよ! よーしミ゜、きみにすばらしいおひさま干しのたまごぼしを食べさせてあげよう」

 そう言ってテテロはするすると、星の海の底にあるつりぼり惑星にむかって再び銀の針を落としていくのでした。

「まだ釣れるのかい?」

「当然じゃないか! 今日はなんたってたくさんのたまごぼしが釣れる日なんだから! バケツいっぱいにたまごぼしを釣り上げてみせよう」

「よーし、ぼくもまた釣るぞ! テテロに氷づけのたまごぼしを食べさせてやるんだい!」

 テテロに続いてミ゜も、またするすると銀の針を落としていきました。


  ミ゜テテロ ミ゜テテロ ミ゜とテテロ

  こんどのたまごぼしのあじは

  こおりとほすのとくらべよう

  ミ゜テテロ ミ゜テテロ ミ゜とテテロ


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― 新着の感想 ―
[一言] 楽しく読ませていただきました。 こんなお話を思いつくなんてすごいです!
2021/12/18 20:43 退会済み
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