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WANTED

 


 俺は今、日本にいます。帰ってきました。そして畳の上で正座しています。座布団くらい用意してくれても良いと思いませんか?今真夏なのにアッツアツのお茶を出されたんですよ?そのテーブルの横に、沸騰中のやかんを置かれて、笑顔で「全部飲むまで身動き禁止」って言われたんですよ?なぜですか?服脱いじゃダメですか?クーラーのリモコン隠さないでください。ちょ、ドア閉めないでください。さっきからなんでいっき飲みコールのBGMが流れてくるんですか?



 そう、俺の身に悲劇が起きた。何故でしょうか。時を遡ってみていきましょう。

 では、詩人 タキ オサム が語りましょう。



 [悲劇 こんなつもりじゃなかったの巻]



 あれはボストンからニューヨークに向かう途中、アンから受けた傷が治っていることに気がついたんだ。

 不思議に思ってモノリス調べたんだけど、多分オリジナルスキル《変人》の効果だと思うんだよね。


【自覚無き変人が人として変化する】


 この説明の()()について、その意味が変形との差別化がないとスキルの進化に意味が無い。

 変形とは形や状態を変えること。

 変化とは物体が違う状態に変わること。


 つまり傷が無い状態へ変化した。のでは無いだろうか。どんなに考えてもそれくらいの説明かつかなかった。


 つまり不死身になった?

 はい。早計ですね。わかります。痛みを伴う不死身って最悪やん。怪我しないことに限るね。


 そんなこんなでニューヨークに着くと、WOWなんということでしょう。


 指名手配されてました。



 ──指名手配──


 名前・タキ オサム

 性別・男

 国籍・日本


 顔・仮面人物要注意


 能力・爆発、浮遊、巨人の足


 備考

 超危険人物、我が国が危害を加えない旨の交渉をしたが、話が通じず、一方的に蹂躙された。

 我が国の威信を持って、必ず捕まえる。

 情報提供求む。


 ──



 OH MY GOD……


 いや俺信仰している神様いないけども。


 予想はしてたけどやばいじゃん。マジで指名手配されてるよ。まぁ、あの建物ぶっ壊したから仕方ないか?

 でもあれは自業自得だよな。普通の人なら抵抗するって。操り人形になれって言われたんだよ。交渉とは。


 この流れ、完全にアメリカと敵対したパターンじゃないですか。

 逆に、あそこまでしたのに敵対してくるのは、俺の怒りをかうつもりだよね。てことは、俺を捕まえられる力があるって事だよね。

 プレイヤー絡みかな?政府にプレイヤーいると思って良さそうだ。みんなチート能力持ってるもんね。


 てか能力、違うんですけどー!俺は爆炎じゃないって。てか、巨人の足とは。あのニュースキャスターのせいか!


 ここにいたら捕まりそうだな。とっとと日本帰るか。


 ん?


 ……日本帰れなくね?



 ☆☆☆



 そして、何だかんだあり、東京の空港に着いた。


 何したって?他人のパスポートを掏って、顔を変形したんです。

 空港の日本行き、結構警備キツかったけど、何とか通れました。持ち物見られたけど、収納箱のお陰です。


 日本着いた〜〜!!

 いや〜この空気最っ高よ!

 見覚えのある建物!海!空!安心するよね〜。え?埼玉のド田舎暮らしの海無し県民が海を語るなって?そりゃ言っていい事と悪い事があると思わないかね?とまぁ、そんな冗談は置いといてですね。



 ──速報──


 速報です。昨夜、ニューヨークで大量殺人をした、日本人のタキ オサム容疑者が、指名手配されました。

 みなとみらいや、都会での爆発テロは、タキ容疑者が主犯の事件と考えられています。


 現在、ニューヨークにいるようです。行方を追っています。

 政府は指名手配に関して国際法に基づき、顔写真の提供をしたようです。


 ──


 WOW、日本でも指名手配されました。

 俺の本当の顔が公開されてる件について。

 就職できないじゃん。終わった〜。


 めっちゃ電話かかってくるんですが。電話番号まで調べられたパターンだよねこれ。


 まじ、これからどうしよう。


 秘宝集めて報酬で異世界転生でもしようかな。


 あ、友人の啓介から電話きた。



 ──


 友人「おっす」


 俺「おっす」


 友人「まじ?」


 俺「まじ」


 友人「まじか〜、嘘だと思ったのに」


 俺「俺爆炎じゃないから」


 友人「だよな、お前がテロなんて、まぁ不可抗力じゃないとしないだろうし」


 俺「詳しい話は後で」


 友人「おう。今もニューヨーク?」


 俺「いや、日本」


 友人「どうやって帰ってきたんだよ。とりあえずお前の家に行くわ」


 俺「頼もしいな〜」


 友人「またな」


 俺「おーう」


 ──


 やっぱ、持つべきものは最高の友人だな。

 よし、家帰るか〜〜。


 さすがに家荒らされてないよね?一応おじいちゃん名義だから、大丈夫だよね?


 タクシーで帰ることにした。




 ☆☆☆



 それから3時間後、家に着くと、目の前に見覚えのある車が止まっていた。友人の啓介の車だ。

 俺より早いとは。


 驚かしてやろうと思い、車を《引力操作》で軽く揺らすと、啓介が飛び出てきた。


「よっ!久しぶり!」


「お、お前が揺らしたのか?……なんて事を」


「え、なんだよ。」


 啓介が車の方を、恐る恐る見ていたので、窓ガラスから覗き込むと……


 4年ぶりくらいの再会だろうか。

 今年で17になる、高校生の、妹の、優奈ちゃんが、




 車の中で思いっきり吐いていた。




 あっ、やっちまった。


 冷や汗が止まらん。




 やべ、目が合っちまった。



 やべ、泣きそうになってる。




 あ、号泣。





 その後、2人を家に入れて、優奈ちゃんを風呂に行かせた。泊まる予定だったのか、着替えがあるようだ。

 その間、啓介は笑い、俺は、もうなんとも言えない気持ちになっていた。


「なぁ、どうしてこうなった」


「ここまで山道だからさ、優奈はかなり酷い車酔いしていたんだよ。で、ほんの少しだけ、オサムより早く家に着いたのよ。だからお前が揺らしたのがとどめの一撃になったようだな。ウケる」


「ちっともウケねぇよ!シスコンとして笑ってていいのかよ!」


「だって、お前だし、状況が、くくっ」


 くそ、こいつ腹抱えて笑ってやがる。まあ、自業自得だけどさ。



「なんで連れてきたんだ?」


「行きたいっていうからさ。絶対やらんが」


「お前がお兄ちゃんとか嫌すぎる」



 久々に他愛のない話をしていると、優奈が戻ってきた。



「……」


「……」


「……ぷっ」(啓介)


「「!?」」


 あいつめ、そんなにこの沈黙が面白いか。


 ふたりに睨まれた啓介は、携帯をいじり始めた。



「「……」」


 再びやってくる。沈黙。



 しかし、ここは大人として俺から話しかけないといけないな。

 気まずい空気の中、俺は超勇気を出した。


「えっと、久しぶり!4年ぶりだよね、もう高校生か」


「はい。……お久しぶりです」


 よかった。返事してくれた。



「んー、なんて言うのかな、とっても可愛くなったね!見違えたよ!」


「……本当ですか?嬉しいです」


 お、よかった。少し喜んでるように見える。この子、感情がわかりやすい顔してるからな。



「ほ、本当だよ!さっきも雰囲気可愛かったし!車酔いしちゃうのとか昔と変わらないなって」


「ぶフッ!!」


 啓介が思いっきり吹いた。


「おい、なんでわらって……!」


 優奈ちゃんの顔を見たらわかった。あーこれはあれですね。ゆで卵ですね。いや、真っ赤だからりんごだね。熱々だからリンゴパイだね!



「いや、あの、そう!全然気にしてないから!」


 あ、これはやばい気がしてきた。


「大丈夫!俺だって気持ち悪かったら吐くし!みんな吐くし!」


 どんどん赤くなっていく。何とか訂正しなければ!


「昔と変わらないって、あれだよ!昔も吐いていたけどそんな可愛いところとかが変わらないというか……ッ!!」


 やばい。まじでやばい。全身が震えてるやないかい。

 啓介みたら、あいつ、過呼吸じゃねぇか。めっちゃ腹抑えてる。小声で腹死ぬとか言ってるよ。腹筋崩壊するんじゃね?

 でも、今は啓介にかまっていられない。そう、俺の方がピンチなんだ。

 でも、こういう時に言うセリフは、決まり文句だ。



「あの、その、可愛くなったね」


「ブフォwwwwwww」(啓介)


 ニッコリ笑顔で言う。

 そう、ピンチな時は相手を褒める。そうすれば優奈ちゃんも機嫌が……まって全く良くならないんですが。


「…ぃざ」


「ん?なんだい」


 やっと話してくれた。これは大きな第一歩ですね。でも声が小さくて聞き取れないな。


「〜〜っ!!せぃざぁ!!!!」


「は、はいぃ!!」


 光の速さで正座した。

 赤面涙目の優奈ちゃん。超可愛いな。もう絶対言わないけど。





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