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結局みんな、自分の幸せのため

 


 爆炎高校生を殺した後、《爆発の秘宝》を収納箱にしまい、友人の家に向かおうとした。

 が、電車は止まっており、復旧の目処がたっていないそうだ。くっ、爆炎め。死んで尚俺を……とか言ったら喜んでくれるだろうか。


 ちなみに、俺は人を殺す事について反対派って訳じゃない。そりゃ命を理由なく奪う事はしたくないけど、理由があれば別だと思う。なので俺は他者を殺す。自分の為にもね。


 煙で覆われた空を眺めていると、友人の啓介から電話が来た。


 ──

 友人「おっす」


 俺「おっす」


 友人「ニュースやべぇぞ電車とかビルが爆発したんだってな!信じられないけど……オサム生きてるよな?」


 俺「啓介と話している相手は誰でしょう」


 友人「オサムズパラドックス」


 俺「やかましいわ」


 友人「それで今日来れそう?」


 俺「残念無念行けそうにないわ」


 友人「だよな〜、見せたい物があったのに」


 俺「また今度な、うち方面は電車あるから帰るわ」


 友人「おうまたな」


 ──


 電話を切ると、電車に乗った。これからどうしよっかな。《爆発の秘宝》とか、色々と調べなきゃなんないこともあるし、これまでに手に入れた情報を整理しないとね。



 ☆☆☆


 次の日の朝、また世間は荒れていた。こんだけ死人が出たら当然か……海外ではもっと死人がでているらしい。

 なんか、山ないところで土砂が崩たり、都市が自然に侵食されたり、隕石が降ってきたり、ガスかなにでパンデミックが起きたりしてるんだって。

 絶対プレイヤーじゃん。政府どうすんだろ。関わりたくないな。


 でも、このプレイヤーたちの行動も今は理解出来る。無差別殺人は違うけど、プレイヤーを殺す事に関しては、自分が生き残るためだから、仕方ないよな。


 これから考えなければならないのが、《第六感》持ちのプレイヤー対策だ。

 どれだけ離れていれば気がつくのか、顔みたら気がつくとか?雰囲気?匂い?

 《爆発の秘宝》のような俺自体が有する秘宝に反応してるのか、それともこの、七秘宝の《運命の秘宝》の存在がわかるのか……

 これは、わからないよな。


 右手のひらに輝く光が美しい。

 そういえば、《爆発生成》もチートって言えるくらい強かったよな。


 収納箱から《爆発の秘宝》を取り出す。が、《運命の秘宝》のように体内に取り込むことはできなかった。


「やっぱ、七秘宝は特別なのかな」


 ダイヤモンドカットの形をした透明に輝きを放つ秘石、いつ見ても美しい。

 《爆発の秘石》を指で弄る。

 これも綺麗だけど、七秘宝は別格だよな。見つけるの不可能なんじゃないだろうか。地球上にあと6個だから、日本にあるとは思えないし。


「これから、どうするかな」


 将来の夢とか無いし、平穏に暮らして普通に稼いだお金で趣味に生きようと思っていたからな。就職しても、爆炎のようなテロ起きたら会社物理で潰れるじゃん。

 そしてスキル《第六感》の能力がどこまでのスキルなのか、実際どうなのかわからないけど、この5年間、普通に働けないと思うからね。襲われそう。俺なら襲う。

 だって、プレイヤーはみんな命かかってるし。どうせ殺す事になるし。


 それに思ったけど、もしかしたらみんなチート級のスキル持ってるんじゃないかな。ニュースでみた隕石とか土砂とかガスとか。多分オリジナルスキルだろ。

 強力過ぎる。

 《爆発生成》もオリジナルスキルでしょ。スキルボードに載ってなかったし。

 そうなれば、俺は気が付かないうちに誰かに殺されるかもしれない。そんなスキルがあるかもしれない。

 もしかしたら、今俺の事を見ている奴がいるかもしれない。スキルボードに《千里眼》とかあったからね。


 だとしたら、思っている以上に、現状は不味い状況なのかもしれない。

 恐怖を感じるね。知らない能力で、知らない相手から、一方的に蹂躙される事が。十分に有り得るから。まあ、それはみんな同じかな。


 ならば、これからどうするか。


「……就職はお預けかな。働きながら自分の身を守って秘宝集めとか無理っしょ」


 この5年間で、いや、もっと早く全ての秘宝を集める。そしてクリア報酬でなんとか人生謳歌してやる。


 他の方法を考えるべきかとも思った。だけど、元々集めるか死ぬかの選択肢しかないような気がする。プレイヤー同士で停戦とか、絶対できないだろ。みんなスキルを持っているんだから。


 その為に、俺は、強くならなければならない。

 他のプレイヤーよりも、強く。


 《引力操作》は欠点がある。

 それを克服して、人を殺して、生き残ってやる。


 俺が、幸せになるために。



 スキルを確認するか。目を閉じて意識すると、目の前にモノリスが浮かび上がってくる。


 ──

 名前:タキ オサム (21)


 種族:人間


 七秘宝

 ・運命の秘宝〈ーーーー〉


 オリジナルスキル

 ・変人(固定)

 ・引力操作(固定)


 スキル

 ・収納箱

 ・進化

 ・可能性


 ──


 ん?《運命の秘石》の〈lock〉が文字化けしてる。新しい風を感じるね。気になるよな。


 時計を見ると、11時59分になっていた。朝早く起きたのに、長く考えていたようだ。


 お昼ご飯何にしようか。たけのこご飯にするか。好物だし。


 木製の椅子から立ち上がり、台所へ向かおうとしたら、目の前に緑に点滅したモノリスが現れた。


「えっ、びっくりした。緑モノリスとか点滅とか初めてじゃん」


 タップすると、次のように表示された。



 ──

【プレイヤー情報】


 Player name タキ オサム が

 Player name 武田 直斗 をキルしました。


 初めてのプレイヤーキルです。


 ※【プレイヤー情報】は、殺した者の現在地の時刻を基準に、12時に全プレイヤーに通知されます。


 プレイヤー総数が、42人になりました。


 残り時間 1777/1781


 ──



「……oh、なんてこったい」


 とんでもない情報公開に腰を抜かしかけた。


 これはまずいぞ。非常にまずい。いや、割とマジでまずいぞ。


 爆炎殺したら名前晒された。その者の12時って、他のプレイヤーも今と同じタイミングでコレ見てるってことでしょ?調べたら俺が全プレイヤーに日本人だってバレるじゃん。でも名前で日本人だと分かるか。いや、問題はそこじゃない。日本で殺した事がわかるんだ。


 つまり、俺が、タキ オサム という名のプレイヤーが日本にいること、それがバレた。

 ということは、他のプレイヤーが、秘石がプレイヤーを殺したら手に入るって情報を知っていた場合、100%日本来るじゃん。俺探すじゃん。テロリストに名前覚えられたじゃん。


 なんてことしてくれてんだ運営。


 あー終わった。晒されたら就職できないんじゃね?終わったわ〜。


 早急に他のプレイヤー殺せば良いか。

 いやいや、初めてのプレイヤーキルの人とか、こんな数日で殺してるとか、殺人鬼とか思われてんじゃね?


 絶対思われてるじゃん。襲われただけなのに。


 悲報、我が国戦場になる気がしてきたごめん政府俺は悪くないんだ。


 外国行って他のプレイヤー殺して情報更新しようかな。あ、ニューヨークとか人多そうだし丸ごと潰したらプレイヤーひとりくらいはいそうだよね。


 よし、ニューヨーク行こっ


 こうなったらもうあれだ、脳死だ脳死!吹っ切れた!



 ネットでアホプレイヤーに名前晒される前に、パスポート作りにいかないとね!



 こうして行先が決まった。秘石狩りじゃー!!



 全てはタケノコご飯食べてから。







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