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西暦2367年。世界崩壊から140年後の地球。生体戦車バイオウェポンズの勢力圏「死の世界」アウターと、「無の世界」デザートに囲まれ、わずかなコロニーで生きる人々の、わずか40分の物語。
人が乗らない2mくらいの人型ロボット、ソルドールと、それを扱うドールマンサーで戦記が書きたかったので書いてみました。
降り注ぐ銃声の雨、崩れ行く瓦礫の音。数時間前までそこに人が住んでいたとは思えない。頑強な甲殻に身を包んだ無数の化け物が、逃げ遅れた人々の血肉をむさぼる。
2367年、6月10日、夕暮れ。地上からまたひとつ、町が消えようとしていた。
バーンズ「隊長!12時より2体!」
ヘイレル「マンジェロ!12時に2体!迫撃!!」
『12時』に背を向けたまま彼は叫ぶ。ソルドール(歩兵人形)マンジェロは迫りくる2体に接近戦を仕掛ける。彼らに向かう敵は7体。既に囲まれている。ヘイレルは6時の方向の1体を近接射撃でしとめ、次の標的に向き直る。同時にバーンズが1体のセンサーを撃ち抜き、マンジェロがソニックソードで2体を切り捨てる。だがその間にも敵が敵を呼び既に11体。状況は悪化している。
バーンズ「隊長!こっちへ!」
ヘイレル「!!」
バーンズが撃った1体が激しくもがいている。撃たれたのがセンサーだったためこちらがどこにいるが判らないのだ。その1体の真下を退路として包囲を抜けようということか。危険な賭けだ。だがヘイレルは即座に応じる。
ヘイレル「マンジェロ!!」
4体目をしとめにかかっていたマンジェロを呼びとめる。マシンであるマンジェロに応答の言葉はない。しかし全てを察したかのようにヘイレルの後を追う。
―――人類の時代は終わりを告げた。自らの業によって―――
―――バイオウェポンズ・・・人類により兵器として、DNAに欠損を持って造られた彼らは、欠けたDNAを捕食によって補うようになった。捕食を生殖行動としたのだ。
彼らは捕食、融合、分裂、共食い、進化退化を繰り返し、全ての文明を焼き、あらゆる生物を食い尽くした。そこには不毛の大地しか残らなかった―――