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後編

「なるほど、金化の魔眼(ミノスアイ)、それがお前の眼か」


 その声の主は、地味で平凡な高校生であるはずの青木邦夫だった。


 桃香の瞳から涙が落ちるとそれは金の滴となって地面へ落ちていく。


「あ、あなたは……」


 桃香は邦夫へと視線を向けた。


 その視線にさらされた邦夫は他の男と同じように金出で来た彫像へ姿を変える……はずだったのだが。


「ああ、俺にはその手の状態異常は一切効果はない。

 そして俺もお前と同類だ」


 淡々と話す邦夫の言葉に桃香は首を傾げた。


「同類?」


「ああ、目というものは本来外界からの光学情報を電気信号に変換させ情報を得る為の物であるが、それを逆転させ外界に働きかける事が出来るものが一定数いる」


「そう……なの?」


「ああ、そうだ、そしてお前がメガネを掛けていたことと、真祖を名乗って自分は魔眼の持ち主だと周りに吹聴していたのは、その目の本当の力を弱めるためだろう」


「どうしてそう思うの?」


「お前の言うところの魔眼には実際にはなんの力もないと周囲に認識させることで、意識しなくても発動してもその効果を無効化するためだ。

 そういった異能を持っているものの能力は周囲の人間がそれを信じるかしないかで発動したりしなかったりする」


「なるほど、たしかにあなたも”こちら側”の人間のようですね

 それならも少し早く出て来てこの人達を止めてほしかったのですが」


「一度、金になってしまったものは戻すことは出来ない。

 だからこの場にはいられない、と?」


「そうです……よ」


「ならば、話は簡単だ。

 こいつらを戻せばいいのだろう?」


「そんな事ができるわけ……」


 邦夫はメガネを外し、そして金の彫像となっている三人へ視線を向けると言った。


「我が”完全皇帝(アルスマグナ)”の名において告げる。

 貴様らは人へと戻れ、そして全て忘れ、二度と我々に近づくな」


 彼がそう告げると金となっていた三人は頭の部分から人へと戻っていった。


「ひー」


「もう二度としません!」


「うわー」


 そういって彼らはこの場から逃げ出した。


 最初はそれをあっけにとられたように見ていた桃香だが、やがてあははと笑った後言った。


「私より青木くんのほうがよほど中二病っぽいね」


 憮然としながら答える邦夫。


「だから俺はなるべく目立たないようにしていたのだ」


「そう、それじゃならお願いがあるんだけど」


「なんだ?」


「その力で私の魔眼を殺して」


「ふむ、その異能を消してほしいと?」


「うん、こんな力なくなっちゃえばいいとずっと思っていたから。

 貴方ならできるんでしょう?」


「ああ、やろうと思えば今すぐでもな。

 だが、本当にいいのか?」


「私に力を知って近づいてくるのは欲の深い連中だけよ」


「まあ、わからんでもない」


「だからできるならこんな力はなくなったほうがいいの」


「わかった」


 邦夫は桃子へと視線を明確に向けて告げた。


「我が”完全皇帝(アルスマグナ)”の名において告げる。

 瞳よその力を一切封じよ」


 この言葉が告げられるとともに桃香の瞳が金色から青に変わった。


「それで二度と目の力が暴発することはなかろう」


 桃香は笑顔で答えた。


「うん、ありがとうね。

 これで……」


 桃香の瞳からはポロポロと涙が落ちたがそれは金へと変わることはなく土に吸い込まれていったのだった。


・・・


「皆のもの! 我が真祖魔眼により、闇に飲まれよ!」


 翌朝、桃香は教室に入といつもどおり、クラスメイトへそう挨拶した。


「あ、紅様おはよー、今日はなんか目が輝いてるね」


「クククそうであろう」


 桃香は厨二病のフリは続けることにした。


 唐突にやめたならばそれはそれで怪しまれるだろうからだ。


 一方の邦夫はまたボサボサの前髪の影で目が隠すようにしていた。


「平穏が一番……だからな」


 彼がとんでもない能力を持っていることを知るのは彼ともうひとりだけだ。

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