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エルトミーナ国

ここは、階層世界。地表を第五階層とし、順に、第四階層(一般市民層、工場区域)、第三階層(富裕層)、第二階層(貴族層)、第一階層(王宮)に分かれている。各階層はラプータイトと呼ばれる浮遊結晶の塊で構成されて浮いており、第一階層は成層圏ぎりぎりの位置にある。第一階層の空は何処までも青く美しい。


各階層を滝のように川が繋いでおり、水の純度も第一階層が一番高く、「王宮水」として珍重されている。第二階層の水はほんの少し汚れ、「貴族水」と呼ばれるが、これでも十分に綺麗な水である。

ここまではまだ、そのまま飲める水である。空も、まだ、少し濁るが空の色をしている。

第三階層から、水が一般的に手に入るようになり、「水」(一般的な)と呼ばれる。空は暗くなり、天気が良い日もどんよりとした印象が残る。

第四階層にある工場の煙で燻されるため、「水」は煮沸しないと飲めなくなる。

第四階層の水は「汚水」、第五階層の水は「廃水」と呼ばれ、飲んだら病気になると言われている。第四階層の空はもう空とは呼べない程煙が蔓延しており、第五階層には「空」という概念すら滅びかけている。


そしてこの世界を支えているのは、第四階層以下の工場だ。

技術としては蒸気機関が活発であり、第五階層で得られる石炭が、第四・第五階層の工場に運ばれて行く。

第五階層の人々は貧しい炭鉱夫で構成されており、スラム街もこの階層にある。

犯罪者の収監先にもなっている。


人が地表(第五階層)から見上げる、かつて空と呼ばれた天井は、第四階層の煙突からもくもくと吹き出す煙で、青黒い。

雲さえも灰色に霞んでしまっており、どんよりと低く立ち込めている。


各階層を繋いでいるのは、川だけではない。

蒸気式の飛空挺が発明され、一部の人間は空を飛ぶ自由を得た。

但し、セキュリティの管理された世界であり、第二階層以上へはごく限られたものしか辿り着けない。

第一階層のアナログコンピュータが全てを管理しているのだ。

そして、限られた一部の人の中には、生活必需品の運搬を勤める「運び屋」が含まれていた。

しかし「運び屋」の誰もが第二階層まで行ける訳では無い。

乱気流、高高度、天候、様々な要因で、第二階層に辿りつけず、墜落するものも多かった。


それでも、食糧供給を他国からの輸入に依存しているこの国では、第二階層まで飛べる「運び屋」は、非常に珍重された。

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