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魔女のしんぞう。  作者: 枝。
3/6

魔女の子孫の子供。

私の街では魔女が信じられている。

オカルトマニアの間では、ネット上で魔女の暮らす街なんだとか呼ばれている。

それを嘘だと言う人もいれば、信じて魔女を探している観光客もいる。


少し寂れている街には派手な装飾のお土産屋がいくつかあり、魔女せんべいやら魔女まんじゅうやら魔女固焼きそばなどが売られている。

とにかく、魔女がいる、ということになっているのだ。


私は春。魔女の血縁者だ。普通に過ごして普通に恋をして普通に死にたかったが手遅れの16歳だ。

まあ、魔女を信じているとか信じていないとか。そういう話以前に魔女は実際にいる。

うちのママが魔女だ。魔法も使える。


気が狂っているわけではない。本当にそうなのだ。

魔女はずっと昔にここを通りがかって子を結びその子孫がママであり私だ。

でも私は魔女ではない。


魔女は従来、いい感じの年になると勝手に子を孕み産むものらしいが。ママはパパと結婚して私を産んだ。

ありえないことだ。私の未来はその瞬間に普通じゃなくなった。


ママが犯した間違いのために私には普通に恋をすることも、自由に恋をすることも出来なくなった。魔女の子孫を繋ぐためだけに生きることになった。


魔女の神像と言うものが私の家の庭にある。

古ぼけたなんでもない石碑のようだが、魔女が宿っていると祖母が言っていた。

肉体が朽ちてもこの土地に居続けるために建てたそうな。


嘘だとか所詮伝説だとかよく言われるけど、建てた本人の魔女も言っていたし、間違いないだろう。

魔女の神像には魔女が宿っている。

しかし、魔女は私の隣にもいるのだ。

いるのだ。隣に。

魔女が。

いるのだ。


私の家には週末の度にオカルトマニアの知らない人が現れる。

私には安寧の日などないのだ。

平日はトイレの中にまで魔女が着いてきて、休日になれば知らない人に石碑を紹介しなくちゃならない。


普通に恋して普通に死ぬことも出来ないのに心休まる時もなくてしかも神像にとって都合の悪い日は無かったことにされる。

私は16歳と言ったが実際には16歳よりずっとずっと歳をとっている。

1番長くて1日を300回もやり直したことがある。

そこらへんの人達にとって1日でも私にとっては1年になったりもする。

だから歳で言えばもう何歳か数えられない程だ。


そんなことを考える今日ももう30回目だ。桜も毎日同じ角度から同じ時間に同じように見ていれば綺麗とかそういう感想を持たなくなる。

今日を何度も繰り返す理由は私が告白されるからだ。

私の告白 という事象を無くさなければ私には明日は来ない。

簡易的な不老不死だ。全く同じ一日ではあるが。違う話をするのは私の隣にいる魔女だけだ。


「おはよう、魔女。31回目の今日だね。」

「またされちゃったね。告白。」


魔女は私以外には見えない。ママにも見えていない。神像から分かれた存在のため、私以外には認識する事が出来ない。


そんななんでもない今日を、なんでもない明日に繋ぐために私は31回目の朝も部屋を出ることにした。

魔女の物語の破った部分には真実がある。

そこから、私は産まれた時から呪われていたと思えてしまってたまらないのだ。

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