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魔女は神になる。
...本に真新しいメモが挟まれている。
魔女は、1晩を青年の家で過ごした。
青年とする話は魔女にとってとても刺激的で、出発する約束の明朝を過ぎても村に留まることにした。
一年後には、魔女が与えた魔法の稲穂が土地を黄金色に染めた。
土地に暮らす人々は富み、魔女に感謝をする。
やがて、青年と魔女は結婚し、子を結んだ。
魔女は土地の人々に伝える。
私の子もまた魔女であり、私の血が流れている限り、この子の子もまた魔女である。
いずれは魔女の血も薄まる時がくるだろう。そうなれば、私はこの土地を離れる。
それまでは、私はこの土地で過ごし、この土地を支え続けよう。
青年と魔女は幸せに暮らした。
そして、青年がいなくなったあとも、魔女はその土地に居続けた。
100年でも、200年でも。魔女はやがて神になった。
神になった魔女は、その血が耐えるまで土地を見守り続けた。
これがこの街の魔女の歴史である。