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鏡の予言

 メーラは今日もまた鏡に向かっていました。

「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは誰?」

いつもの通りに鏡に問いかけます。そして、彼女はもちろんいつもの通りの答えが返ってくると思っていました。しかし――

「今、一番美しいのはあなた様です、メーラ女王様。ですが、もう間もなく白雪姫の美しさがあなた様を抜かすでしょう」

鏡はこう答えたのでした。

 白雪姫は七歳になっていました。少女としてはもう十分なほどの美しさです。

 彼女の顔だちは砂糖細工のごとく繊細で華やかで、とろけるように甘やかでした。小夜啼鳥(さよなきどり)と間違われるその声できゃっきゃと笑う姿は、城の人からは天使にたとえられていました。

「前のお妃さまにそっくりだ」

そう言う声にメーラは何度歯がみしたでしょうか。

 メーラはその美貌をゆがめて囁きます。

「鏡よ鏡、白雪姫を殺すにはどうしたらいい?」

 殺意がたっぷり込められた声は濃厚な毒蜜のように部屋にこもります。

「……白雪姫は、あなた様のりんごによって命を落とすでしょう」

鏡による不吉な予言がくだりました。


*  *  *


 予言なんて全くしらない白雪姫。メーラに夢中な王さまに放っておかれ、一人でお人形遊びをしていました。

「ねえ、きいて? メーラおかあさまったら、わたしとなかよくしてくれないの。どうしてかしら?」

白雪姫は人形に尋ねました。その人形はメーラにうりふたつ。闇のような黒髪から、湖を凍てつかせそうな冷たい紫のまなざしまでそっくりなのでした。

「わたしにすききらいがあるから? でも、あれだけはすきになれないわ」

彼女はてかがみに自分の顔を写します。

「わたしのくちびるみたいにまっかなあれ。どうみてもおいしくないんだから」

白雪姫はてかがみを放ると再びお人形遊びに熱中しだしたのでした。

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