表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/8

新しいお母さま

 お妃さまが亡くなってから何年か経ち、白雪姫は五歳になりました。

 庭で花々にかこまれてはしゃぐ白雪姫のすがたに、まわりのひとびとがみんな笑顔を浮かべています。

「白雪姫、お前に話があるんだ」

父である王さまの声に白雪姫はふりむきました。どうやら王さまはしらない女のひとをつれているようです。

「なぁに? おとうさま」

「お前にこの人を紹介したくてな。新しいお母さまの、メーラだよ」

白雪姫は王さまの言葉に首をかしげました。

「おとうさま、なにいってるの? このひとはわたしのおかあさまじゃないよ?」

「今からお母さまになるんだよ。挨拶しなさい」

怒気をふくみはじめた王さまの声に白雪姫の体がふるえます。

「メ、メーラおかあさま、はじめまして。しらゆきひめです」

たどたどしい白雪姫の挨拶に、メーラのくちびるは美しい弧をえがきました。

「貴女が白雪姫ね。(わたくし)はメーラよ」

優雅に挨拶をこなすそのすがたに、白雪姫は思わずうっとりとしました。

 夏の燦々と降り注ぐ陽ざしを浴びてつやめく、ぬれたような髪。そしてどこかなまめかしい光をはなつ瞳。メーラはとてつもない美女だったのです。

 白雪姫がメーラの美しさにぼおっとしていると、気が付いた時には彼女はいなくなっていました。


*  *  *


 暗い暗い部屋にひとつの炎が灯っていました。あるかげが鏡にうつります。

「鏡よ鏡、世界で一番美しいのは、誰?」

メーラの声が狭い地下室に響きわたりました。

 この鏡は、メーラが持っているまほうの鏡でした。鏡にたずねればなんでも答えてくれるのです。

「それはメーラ女王様、あなたさまです」

メーラは鏡の答えをきくと満足そうに笑みをうかべました。ろうそくの炎を受けてその瞳はアメジストのようにかがやきます。

「そう、世界で一番美しいのはこの私よ」

けれど、鏡にはみにくい魔女の姿がうつっていたのでした。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ