お友達から!!!
制限時間まであと50分を経過した。
「 次は、誰に話しかけるんだよ、集? 」
「 え、まぁ、なんとゆーかですね?もうこれでミッションクリアでもありじゃないかという案が俺の中で出ているのですが…… 」
だって、実際そうだろ。
両親と銀太くらいしかまともに喋ったことのないこの俺が10分で岡島く…あ、岡山くんという友達をゲットしたところだぞ?
「 あーあぁ〜、ほんっとにお前はアホか! 」
「 銀太にだけは、言われたくないんだが!? 」
「 あのなぁ?俺の経験上クラスの友達は、趣味を聞くことが重要なんだよ?もしそれで同じ趣味のやつがいれば、意気投合し合えるだろ? 」
確かに、銀太の言うことは、間違ってない。
だが、俺の趣味は、アニメ鑑賞ぐらいだぞ!?
それも妹もの限定でだ!!
「 で、でも俺の趣味がやばいことしってるだろ? 」
「 あぁ!知ってるさ!だからこそ、探してこいっ!!じゃなければ、さっきのパリピ系JKにお前の趣味バラすぞ?? 」
お前は、鬼か……………。
「 わ、わかったぁからぁ!!じゃああの出口くん!?って子に話しかけてまいりますぅぅ〜 」
この作戦が終わったら、覚えとけよ。
チャラ男が!!!など思いつつも前回と同じ失敗は、もうしない。名前だって、しっかり俺の頭にインプットされてるしな!
「 で、出口さんですか?? 」
「 あ、そうだけど……なんか用? 」
「 …… 」
やばい、考えてたセリフ全部とんだ……。
どーすんだよ!!向こうめっちゃ困ってるんだけど!?あ、銀太の言葉を思い出すんだ!そう、趣味だ!とりあえず何か言葉を!!
「 あ、えとー妹好き?? 」
…………何聞いてんだおれはぁぁぁぁー!!!
やばい。絶対ロリコンキモオタ陰キャ野郎だと思われた……。なんも喋ってこないし、おわった。
「 まぁ、可愛いし、好きだけど……? 」
おぉぉー!!まさかの同じ趣味ぃぃ!?これは、3人目の友達作りのチャーーンスっ!!
「 あっ、じゃあさ、じゃあさ!今季放送中の『おにぃたんのミルクおいちぃなぁ』見てる!?まさかヒロインが4歳なんて驚くよね!! 」
「 ………あ、いや僕が言ったのは、実の妹のことなんだけど……? 」
どーすんだよ。これ。
もー、取り返しつかないだろ……こうなったら、なんとかごまかすしかないか。
「 なっ、なーんてねっ!ぼっぼくも妹いるから奇遇だね〜〜 」
すみません。ひとりっ子です。
「 そーなんだ!なんていうの? 」
「 あー、えーとね…… 」
考えろ、考えるんだ。俺の想像力ならなんとかなる!!
「 妹子だよぉ〜…… 」
想像力なさすぎワロタ……………。
「 で、出口くんの妹は!? 」
「 マリアンヌ 」
え? なに、外国の人??
「 あ、出口くんってどっかのハーフ? 」
「 いや、違うよ?ぼくの妹は、マリアンヌ1人だけなんだ!!そして将来は、マリアンヌと結婚して、幸せな結婚生活を送りたいと思っているよ!!! 」
110番していいかな?
まさかここまでの重症患者がいるなんて思いもしなかった。自分も妹好きでは、あるがここまで来ると尊敬の域を通り越す。
「 あっ、そ〜なんだぁ〜マリアンヌちゃんとてもいい子なんだねぇ〜 」
実の妹と思っている時点でやばいやつだと思うが趣味は、似ているのでとりあえず連絡先は、もらって帰らせてもらうぞよ!!
「 わ、分かってくれるのカィィ!?!?そーか、そーか!きみ、陰内くんとかいったね??連絡先交換してもらってもいいかな? 」
なぜだろう。友達が増えるのに喜びを全く感じないんだが……。
「 あ、全然いーよー 」
まぁこれで2人クリアできたし、よしとするか。
しかし、2人と話すだけでここまで苦戦するとは、思ってもみなかったな。
でもこの調子でいけばもう1人も乗り越えられる気が……しなくもないな!!
「 よし!やるか! 」
「 なにをやるの? 」
「 …… 」
え?なんか聞いたことある声だな。
「 あっちょっと!無視しないでよぉ 」
振り返るとそこには、綺麗な黒髪を下ろして少し頰を膨らませている、女の子がいた。
「 え、あっえと、い、偉佐原さん!?!? 」
「 あっ!覚えててくれたんだね!!昨日道路の真ん中で倒れてたからびっくりしたんだよ?? 」
あ………、お礼言うの忘れてた!!銀太との会話に盛り上がりすぎててすっかり忘れていたが俺を保健室まで運んでくれたのは、偉佐原さんだ。
「 あっあの時は、私をお、おたっすけぇしていただき、ありゃがとうございましたぁぁ〜! 」
俺は、勘違いしていた。
簡単に2人も連絡先をゲットし、うかれていたがそれは、あくまで男子の場合だ。幸い自分には、銀太という親友がいたため男子と話すことは、まだできる。
だぁがぁしかし!!!
女性という生物には、my mother以外に話した記憶が一切ない!!そのため、なにを話せば良いのか分からずさっきみたいに言葉がはちゃめちゃになるのだ。
「 アハハっ!全然、大丈夫!気にしないでっ!!陰内くん中学の頃から面白いよね?? 」
「 え……??中学の頃から?? 」
中学の頃の女子との思い出など体育祭で走りたくもないリレーのアンカーをやらされ、奇跡的に1位をとったら、2位の女の子が号泣し、
「 普通は、女の子に手加減くらいするもんでしょ? 」などと、理不尽な文句を言われ、次の100m走では、少し手加減をして負けると、
「 陰内くん女子に負けるとかどんだけ運動神経ないのよ…… 」と、言われたことぐらいしか記憶にない。
「 中学の頃のどこが面白かった? 」
少し興味本位だった。聞いてみたかった。自分では、見つけることのできなかった自分の魅力を。
「 ん〜〜、なんというかぁ〜謎なところとか?? 」
全く参考にならなかった。
「 でもね!高校も同じでクラスも一緒だって
わかったとき嬉しかったの!!だから私から声をかけようって決めてたんだ〜〜! 」
偉佐原さんは、なにでも正面から率直にモノを言える人だ。こんな陰キャな自分とは、真反対の人間で誰からでも愛されるキャラで……。
だから恋をした。絶対に叶わぬ恋を。
でも、だからってもう逃げたりは、したくない。いつかは、絶対に告白してみせる。だから、今は、友達から始めよう。
「 偉佐原さんっ!!! 」
「 なぁに〜? 」
「 あっあの!よ、よかったら!僕と!お友達になってくだしゃい!!! 」
肝心なところで噛んだなこりゃ。
でも、そのときの彼女は、にっこりと微笑んでこう言った。
「 こちらこそ!!よろしくね!陰内くんっ! 」
制限時間残り2分。
ミッション完了!
ついにお友達作りのミッションを完了した集陰!
さぁここからどんな展開が待っているのか!?
感想・レビューお待ちしております。