はじめの一歩。
「 なぁ〜銀太!ところで友達作りって具体的には、何をやればいいんだよ? 」
今日の登校は、銀太と一緒だ。
幸い奇跡的に銀太とも同じクラスだったので計画を立てている。
「 そんなに聞きたいのか??お?お? 」
煽りが基本的にうざったい。
「 まぁ〜、気になるけどさ……基本的に銀太と親以外話したことないしな 」
それに昨日は、初日から休んでしまったし、入学式の件もあるのでかなり気まずいのだ。
「 まっ!ヒントをあげるとしたらインパクトかな!! 」
嫌な予感しかしないよ。インパクトとか何やらされんだ!!
教室の扉の前。棒立ちの俺。
「 おい、集!お前ほんとに大丈夫か!? 」
「 俺は、陰キャであっても1人の漢だ!いざ行かん!この奥の秘境へ!! 」
ガラガラっ
勢いよく扉を開けたものの勢いよく扉を閉めた。
「 何1人で漫才してんだよっ!!バカか! 」
「 漫才じゃねーよ!この扉自動ドアですぐ閉まっちゃうんだよ!! 」
我ながら嘘が下手すぎて飽きれる。
「 いいから、いけぇ!! 」
ドンっ!!
「 ドワァっ! 」バタンっ!!
勢いよく教室に入れられたと同時に扉前で話していたパリピ系JK3人に激突。
「 いってぇ〜、銀太お前なんて事…… ! 」
「 ねぇ、そこのあんた!ぶつかっといて謝りもしないわけ??まじありえないんだけどっ! 」
「 あっ、す、すみましぇ、あ、ちがっ、ごめっナサッイィー!!! 」
ダッシュで廊下を駆け抜け正門まで駆けつける。
あー、最悪だ。もー無理や。まともに謝れてなければパリピJKは、ガチおこ……。
「 集ぅぅ〜!!まじで悪かった!!変わりに謝っといたから許してぇぇ〜!!! 」
と、走ってきたのは、いいものの俺の新しい制服に抱きつきバレないように鼻水を拭いているらへん許そうとは、到底思わない。
「 許さないがあのJKたちには、何ていったんだよ?これじゃ友達作りもまともにできないだろ? 」
「 え?あぁ、銀ちゃんがそういうならうちらは、全然おっけいよーん!だとさ 」
銀太のコミュニケーション能力は、尋常じゃないな。
「 分かったよ……戻るよ 」
まぁ一度決めたことだし、やるしかないか。
扉を開けるとやはり全員俺を凝視している。
「 あー、じゃあ出席とるから席座れー 」
とりあえず席には、座り安心したのもつかの間
「 18番 陰内 集陰 」
「 はっはい…… 」
クラス全員がこちらを見ている。所々で
「 えっ、あの人入学式の人じゃない? 」という声が聞こえる。
やっぱ記憶に残ってるよな!!!そーだよな!!
あー、どら○もんのタイムマシンが欲しい。
本当にこんなんで友達作りできるのかよ。
そんなことを思いながら昼休みになった。
「 よしっ!集よ!作戦の第一段階を始めるぞ 」
あ、そういやすっかり忘れてたな。
「 俺は、何をすればいいんだよ 」
「 まずは、簡単だ!制限時間1時間以内に3人に話しかけるだ! 」
フッ。甘く見るなよ!銀太!俺のコミュニケーション能力は、動物以下だが話しかけるぐらいは、できるぜ!
とりあえず穏やかそうな人からいくか。
「 じゃあまずは、岡山くん?って子から話してくるわ 」
「 おう!陰キャを存分に見せつけてこい! 」
いや見せつけちゃダメだろ。など思いながらも恐る恐る近く……
「 あ、あの〜…… 」
「 ん??どうしたの? 」
あ……話す内容決めてなかった……。
「 えっあ、あの、今日天気良いよねぇ〜! 」
「 いや夕方から大雨らしいよ 」
お天道様もどうやら俺の敵らしい。
「 あ、そーだ!岡本くんの趣味ってなに?? 」
「 いや、僕、岡山だけど? 」
……………ほんっっっとにすみません!!!!
自分のコミュニケーション能力の前に自分の記憶力をなめていた自分が恥ずかしい。
「 あと、君、陰内くんだっけ??集陰って名前珍しいね!!お母さんが付けたの?」
「 あっ、いや、父親だけど…… 」
「 名前の由来とか聞いてもいい? 」
絶対に言えない。
父親が中二病で名字に陰がついてるから名前にも陰をつけて闇の騎士ダークナイトなどとカッコつけていただなんて。
おまけに陰キャラな要素をプラスして闇のハッピーセットじゃねーかよ!!
「 あ、ごめん……あんまし覚えてないや 」
「 そっか!でもせっかく同じクラスなんだし連絡先交換しない?? 」
え?いまなんて???
「 あれ?嫌だった……? 」
「 い、いやいやいやいやいやっ!ぜんっぜんオッケーだよ!! 」
「 じゃあ連絡先送っとくね!! 」
なんて良い子なんだ……。ついに俺にも2人目の友達が……!!
「 あ、ありがとう!岡崎くんっ!! 」
あ…………やっちまった……。
嬉しさのあまりテンパッタァァァー!!!
「 アッハッハっ!陰内くん面白いね!これからよろしくね! 」
え、なんかうまくいったらしいんだが。
「 あ、うん、こ、こちらこそ……よろしく 」
と、ぎこちない挨拶を済ませ銀太がかけつける。
「 おい!まじか!集、やったな!まさか一発目から友達できるなんて思わなかったぜ! 」
「 お、俺もだよ!?これもしかして簡単に陰キャ告白できるんじゃないか! 」
1人目の友達作りが成功した俺だったが、残り2人がどれだけ大変かは、まだ分かるはずもない。
ついに始動した。大作戦!!!
さぁ、これからどう展開していくのか!?
みなさん応援よろしくお願いします!!




