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大日本帝國異世界奮闘記  作者: 大福
第一章 勃発
15/35

発動、啓号作戦(後編)

 同日午前05:40


 啓二号、三号作戦のために集結していた各艦は、第一潜水戦隊からの報告を今か今かと待ちわびていた。その陣容は戦艦2、空母2、重巡4、軽巡2、駆逐艦16、掃海艇多数と言う大規模なものだった。さらにこれに加えて廃船が20隻ほど用意されている。


「中継の伊号潜より入電、『敵艦隊ノ陣容、戦艦2、重巡2、軽巡2、駆逐艦8ヲ確認。我ガ潜水艦ノ攻撃ニヨリ重巡1、駆逐艦1ヲ撃沈、戦艦1、軽巡1、駆逐艦1ヲ大破セシムルモナオモ健在ナ艦有リ』」


 艦橋に飛び込んできた通信士官より報告を受け取る。これを受け取った啓号作戦における日本側の総司令官である南雲忠一中将は傘下にある全艦隊に対し下命する。


「掃海艇隊並びに廃船隊は突入開始!」


 この命令によりまず動き始めたのは8隻の廃船だった。事前に舵を中央に固定していた船は、掃海艇が突入する隙間を用意すべく徐々に進み始め門の中へと消えてゆく。もちろん操艦要員は退避済みだ。ちなみに機雷原は門の出口から約1kmほど続いていることが確認されている。やがてあちら側の中継艦より廃船隊接雷、沈没せりとの報告があり、続いて掃海艇隊が突入する。今回は少しでも時間を短縮すべく単艦式大型掃海具三型を用いている。これならば15〜20ノットと言うスピードで掃海が行える利点がある。その20分後、何とか幅220mの水路を確保した掃海艇隊から連絡が入り、主力艦艇の突入第一陣が動き始めた。初めに突入するのは戦艦「金剛」「榛名」を中心とする砲戦部隊である。二水戦旗艦の神通を先頭に第十五駆逐隊、第四戦隊「金剛」「榛名」、第六戦隊の「妙高」「那智」が続く。さらに後衛として第十六駆逐隊が従っている。この部隊の指揮官は南雲中将であり、後に続く二航戦を主力とする機動部隊の指揮官は山口多聞少将となっている。


 アメリカ側の門でも同様に砲戦部隊と機動部隊に分けて突入が行われる。砲戦部隊はペンシルバニア級戦艦2隻を中心にニューオーリンズ級重巡2隻、セントルイス級軽巡2隻、駆逐艦10隻が当てられており、指揮官はアイザック・キッド少将となっている。ちなみに機動部隊の指揮官はウィリアム・ハルゼー中将であり、空母「ヨークタウン」、「エンタープライズ」などを従えている。


 この作戦を制定するにあたっては数多の困難(主に日米間での擦り合わせ)があったが、その中でも特に大変であったのが両国における将官同士の交流の無さである。日本では禁輸政策による反米感情が未だに残っており、アメリカはアメリカで未だに人種差別があり、“黄色い猿”と公言している将官までいた。


 その事を憂いた太平洋艦隊司令官のチェスター・ニミッツ大将(前任者のキンメル大将は健康問題により辞任)と山本五十六はハワイにてお互いの軋轢を解消すべく会議と言う名目で交流会を計画した。数回にわたって行われたこの交流会には日米の主な将官、佐官が入れ替わりで参加し、己の専攻する分野での意見交換などを行っている。ちなみにこの会議、トゥーレ王国の魔導師にも参加してもらい、会場全体に翻訳魔法をかけてもらっている。これにより言語問題は解決され、日本語を学んでいない米軍将校はもとよりあまり英語が堪能でない日本軍将校も、より一層深い会話を行う事ができた。何度も行われたこの会議は思いの外効果を表し、多くの将官が親日、親米とは行かずともそれなりに対等に話すようになってきた。


 しかしその中でも容易に陥落しない人物が一人。そう、ハルゼー中将である。彼の反日感情はニミッツやスプルーアンスが説得を行っても容易に変わらない物だった。そして3回目の会議の時、酔っ払ったハルゼーがつい差別的な発言をしてしまう事件が起きた。それに対し青ざめるニミッツや苦笑する将官連中。そしてそれらをよそにキレた将官が一人いた。そう、山口少将である。やがて2人は口論を始め、ついには掴み合い寸前までヒートアップしてしまった。慌てたニミッツと山本は頭を冷やさせるために衛兵をつけて(いざとなったら力ずくで押さえつけろとの命令を付け加えて)外へと追いやった。その数時間後、夜も更けてきて会議もお開きになる頃、例の2人が肩を組み、ガハハと笑いながら帰ってきたのだ。これにはその場にいた全員が腰を抜かすほど驚愕した。疑問に思って付き添っていた衛兵に尋ねたところ、最初は罵倒の嵐であった言い争いが段々と戦術の話に入り、終いには互いの意見に共感し意気投合したとのことだ。これにはその場に居合わせた全員が苦笑するしかなかった。


 これは余談ではあるが、この事件が起きた日の翌日、パールハーバーの海軍病院には若い水兵を中心に幻覚を見たと言う兵が殺到した。不思議に思った軍医が詳しく話を聞いたところ、「ハルゼーの親父がジャップと肩を組んで歩いている幻覚を見た!」との事であった。


 閑話休題。


 掃海部隊より報告を受けた砲戦部隊は遂に突入を開始する。始めに門を潜るのは第二水雷戦隊旗艦の神通である。この第二水雷戦隊、通称二水戦は前衛部隊と位置づけられた第二艦隊の中でも最先鋒を務める、言わば殴り込み部隊である。配備される駆逐艦も最新のものが当てられており、今回参加する艦は8隻全て新鋭の陽炎型となっている。そのため今回の作戦における先鋒にはもってこいの部隊であった。


「司令、いよいよですね」


 神通の艦橋では二水戦の参謀長が司令官である伊崎俊二少将に声をかける。


「うむ、両舷見張りを厳となせ。何があるかわからんからな」


 その時、門からは帰投してきた掃海艇が出現した。その掃海艇は神通の横をすれ違うコースを取る。


「掃海艇より発光信号、『敵軽巡ト思シキ艦艇、付近ニ有リ。注意サレタシ』」


「返信、『報告感謝ス』」


「了解」


 この命令に見張り台にある探照灯から返信が送られる。やがて門が目前に迫ってきた。


「門まで残り500!」


 この報告に艦橋にいた全員が少し身構える。通る時は一瞬と聞いているものの、やはりどの様なものかが想像できない。やがて門に突入した瞬間、目の前が光に包まれた。しかしそれも一瞬のこと、すぐに視界が戻り辺りを見渡すと一面に薄っすらと明るい空と大海原、さらには沈没艦の残骸と重油が見えた。


「これが…異世界…」


 双眼鏡を覗きながら感慨深く呟く副長に対し、側にいた艦長の佐藤寅次郎大佐が一喝する。


「馬鹿者、戦闘海域だぞ!総員周囲を警戒!」


 するとすぐに艦橋上部の見張り員から報告がくる。


「10時の方向、艦影2見ゆ!距離1万4千!」


「その距離にはまだ味方はいない!主砲撃ち方始め!艦は直進を保て!」


 咄嗟の命令にもかかわらず、射角に捉えた6門の14cm単装砲が火を噴く。さすがに初弾命中とはならないものの着弾は比較的近距離であった。そしてその敵艦からもお返しとばかりに反撃の砲撃が飛来し、しばらくの後左舷500m程の距離に着弾する。どうやら練度はこちらが上らしい。そして識別表によればあのサイズの巡洋艦ならば搭載している砲は15cmクラス、ほぼ同等と見ても良い。


「後方より黒潮、現れました!」


「1時の方向、大型艦2!距離3万!さらに炎上中の敵艦3!」


 伊崎と佐藤は後者の報告に反応し双眼鏡を覗く。どうやら潜水艦隊が仕留め損ねた戦艦と重巡らしい。そしてその周りには対潜攻撃をしていると思われる駆逐艦が走り回っているのが確認できた。


「旗艦金剛へ報告……は出来ないんだったな。奴が撃ってくる前に機雷原を抜けないとまずいぞ」


 その間にも神通の主砲は発砲を続ける。そして第3射目、遂に命中弾が出た。敵艦中央部に着弾した砲弾は近くのクレーンと思しき物を薙ぎ倒す。


「いいぞ砲術!続けて撃て!」


「機雷原抜けます!」


 艦の側方を見ると、掃海部隊が命がけで設置したと思われる浮標識が確認できた。


「針路そのまま、左舷の軽巡と駆逐艦を仕留めた後、戦艦への雷撃針路を取る!」


「親潮現れます!」


 そして神通の主砲が第5射を放った時、鈍い音とともに床から突き上げるような衝撃が襲ってきた。瞬間的に近くのものに捕まり転倒は避けられた佐藤の耳に絶叫に近い報告が飛び込んできた。


「被弾!カタパルト全損、火災発生!」


 どうやらカタパルト付近に着弾し、付近にあった航空燃料に引火したようだ。


「くそッ、消化急げ!」


 副長の近藤一声中佐が応急処置の指揮をとる。夜間や明け方における火災発生はすなわち、敵からの良い的となる事を意味している。しかも現在の速度は33ノット、後方からは次々と味方の艦が来ているため減速し水路を塞ぐ訳にはいかなかった。その時、こちらの水路に対しT字を取るような針路で航行していた敵戦艦が遂に発砲を開始した。


「敵戦艦発砲ーッ!」


「取り舵一杯!後続艦にも通達!」


 しかし既に機雷原を抜けている神通や浮標識の辺りにさしかかっている黒潮は良いものの、未だ抜けていない親潮やこれから現れる艦はどうしようもなかった。


「米国側の門にて発光を確認!米軍艦艇現れます!」


 どうやら米軍も掃海が終わったようである。これで中央に居座る敵艦隊は狙いを分散せざるを得ない。


「敵戦艦の砲撃、後方に着弾!友軍艦に被害なし!」


 その報告に安堵し後ろを見ると、ちょうど駆逐艦早潮が現れた。すでに黒潮、親潮は左舷の敵艦2隻に向け発砲を始めており、小型艦同士の撃ち合いでは火力でも圧倒している。


「敵軽巡に2発命中、敵艦に火災確認!」


「よし、畳み掛けろ!」


 しかし敵艦もただではやられない。お返しと言わんばかりに主砲を放ち、その内1発が神通に着弾する。


「5番砲被弾、全損です!」


「やられたか!」


 これでこちらの実質的な火力は5門となってしまった。しかし見たところ相手の発砲炎も少しではあるが減っているのが確認できる。


「敵戦艦より第2射、来ます!」


 しかし敵戦艦の砲身を見ると、どうやら狙いは神通では無く門周辺のようだ。そして着弾間近になった時、運が悪いことに門から十五駆最後尾にいた夏潮が現れた。


「夏潮出げ…、夏潮に至近弾!!」


 右舷後部に至近弾を食らった夏潮は浸水があったのか、艦が傾斜していくのが確認できた。


「夏潮面舵!?機雷原に突っ込みます!」


「いかんッ!舵がやられたか!?」


 見張り員の報告と叫び声に艦橋にいる全員が反応する。至近弾を受けた夏潮は機関に後進をかけるも間に合わず、そのまま門の右側の機雷原を150m程突き進んだ後左舷に接雷、爆炎をあげて停止した。


「まずいな…」


 どうやら敵艦は事前に試射をしていたのか、門の周辺に限っては精度が良さそうである。


「一刻も早く左舷の敵艦を黙らせて雷撃に移りたいところだが……、見張り員!敵艦の様子は?」


「はっ、先の発砲より発砲炎が落ちています。砲塔一基を潰したものと思われます!」


 それを聞いた伊崎は神通と後続の駆逐艦にさらに距離を詰めるように指示を出す。そして神通、黒潮、親潮が左に舵を切った時、今までにない光量と共に待ちに待った援軍、「金剛」が現れた。


 ーーー


 同時刻 金剛艦橋


「艦長、どうやら残った戦艦はこちらを狙ってきているようだぞ」


 双眼鏡を手に南雲が呟く。その傍では参謀長が手元の識別表と敵艦を交互に見ながら推測する。


「見たところ、えー……、リライザル級かコンスラート級でしょう。前者ならこちらが優勢、後者でも榛名、いや、米艦も合わせた4隻で叩けば負けることはないでしょう」


 リライザル級は排水量1万4千d(デール)(約3万t)、16ykt(34.4cm)連装砲4基8門、コンスラート級は排水量1万7千d(約3万6千t)、18ykt(38.7cm)連装砲4基8門などとなっている。リライザル級ならば金剛単艦でも勝負になり、仮に金剛型よりも一回り大きい主砲を持っているコンスラート級でも1対4ならば勝機は十分にある。


「右舷に夏潮、被雷している模様!」


 見ると夏潮からはカッターや救命艇が降ろされている。どうやら既に総員退艦命令が出ているようだ。


「一時の方向、距離2万3千に大型艦!」


「撃ち方始めッ!」


 測距を終えると同時に前部にある2基4門の主砲が轟音と共に火を噴く。普段ならば交互撃ち方から入るが今回はあまり余裕がない。その為初弾から斉射を行っている。数十秒後、敵艦の後方に4本の水柱が立った。


「遠4!」


「修正射急げ!」


 その間にも敵艦が反撃を行ってくる。幸いにも至近弾は無かったものの、精度が悪いというわけでもない。


「こりゃ34cm砲か?どちらにせよ早めに潰した方が良いな」


 やがて第2射目が放たれるが、今度は近弾だったようだ。


「敵軽巡、行き足衰えます!」


「神通が潰したか!」


 双眼鏡を向けるとどうやら小型艦同士の撃ち合いは決着がつきそうであった。既に敵軽巡は火災に包まれながら停止している。後続の駆逐艦も3対1でありすぐに決着がつくだろう。しかしその代償としてこちらも神通が主砲塔を4基潰され、速度も14ノットにまで落ちている。また後ろに続く黒潮も第一砲塔に直撃を受けて火力が3分の2に減少、火災も発生している。


「艦長、神通に負けてられんぞ」


 南雲がそう呟くと同時に第3射が放たれる。未だ機雷原を抜けていないので撃てるのは前部の2基だけだがそれでも迫力は十分だ。


「弾ちゃーく、今!」


 その声と同時に敵艦が水柱に包まれる。どうやらまた近弾のようだ。なかなか夾叉とはいかない。


「後方より榛名、現れます!」


「敵弾来ます!」


 2つの報告が同時に飛び込んでくる。南雲や「金剛」艦長の伊集院松治大佐は後者の報告に反応し身構えた。


「着弾!きょ、夾叉されました!」


「敵もなかなか腕が良いようだな」


 やがて負けるな撃ちかえせとの号令のもと、第4斉射が行われた。放たれた4発の砲弾は放物線を描き、やがて敵艦の周囲に着弾した。


「近弾です!」


「砲術、しっかり狙え!」


 艦長の発破をかける声が艦橋に響き渡る。それと同時に見張り員から報告がくる。


「機雷原を抜けます!」


「面舵一杯!」


 機雷原を抜けたため、8門全ての砲を敵艦に向けるべく面舵を切る。測距をやり直さなければならないが、夾叉弾すら出ていなかったのであまり躊躇いは無かった。しばらくののち敵弾が降り注ぐが、面舵を切っていたため着弾はすべて左舷側に逸れている。お返しとばかりに今度は金剛の主砲が火を噴く。今度は斉射ではなく交互撃ち方である。


 やがて数度の砲弾の交換を行ったのち、やっとの事で手応えのある報告がきた。


「本艦の砲撃、夾叉しました!」


「よし、斉射に切り替えろ!」


 この命令に対し、しばらくの間主砲が沈黙する。そしてその時、見張り員から新たな報告が舞い込んできた。


「敵重巡に火災発生!」


「米艦隊か!艦長、負けてられんぞ」


 もう片方の門より突入した米艦隊は付近にいた駆逐艦2隻を黙らせた後、米艦隊に向けて砲撃を行っていた重巡に対し攻撃を開始している。無論米艦隊も無傷とはいかず、駆逐艦1隻が大破炎上、軽巡1隻が接雷している。


「弾ちゃーく、今!…1発命中です!」


 見ると敵艦中央部にパッと火花が咲くのが確認できた。それを受けて艦橋内が歓喜に包まれるが、南雲がそれを制止する。


「まだだ、まだ喜ぶには早い」


 この一言に艦橋内の空気は再度引き締まる。


「榛名、機雷原を抜け回頭を始めました。さらに妙高、那智も出現!」


「よーしいいぞ。このまま押し切れ!」


 誰かがそう呟いた瞬間、艦全体に大きな衝撃が走った。艦橋も激しく揺さぶられ、思わずよろめく者もいれば何かに捕まり耐える者もいる。


「左舷中央部に至近弾!」


 至近弾という報告に思わずホッとした一同だが、次の瞬間、凶報が舞い込んできた。


「左舷に一部浸水!」


 やはり、艦齢30年を超える老体では至近弾でも亀裂が入ってしまう。しかしそんな老女も負けてはいない。8門の砲を振りかざし果敢に応戦する。やがて金剛の放った第2斉射が2発命中、そのうち1発は前部にある連装砲の砲身を吹き飛ばした。さらに砲弾の応酬は続き、金剛も被弾し始める。しかし榛名も加わった今、どちらが優勢であるかは一目瞭然だった。


「敵艦隊反転、離脱していきます!」


 双眼鏡を覗いて確認すると、生き残っている戦艦と重巡各1隻、さらに周辺で対潜戦闘を行っていた駆逐艦3隻が30ノット程のスピードで撤退して行くのが確認できた。それに対し各艦は砲撃の手を緩めない。駆逐隊などは全速で追いすがっているのが見える。


「長官、追撃いたしましょう!」


 参謀からの意見具申に対ししばしの間、瞑目して思案する南雲だが、やがて目を開け決断を下す。


「我が艦隊は現海域の制圧を第一目的とする。よって追撃は不可、全周警戒に当たるべし」


 南雲が下した決断は追撃不可であった。これに対し参謀連中からは不満の声が起こるも参謀長が代わって説明を始める。


「いいか?我々にはとにかく情報がないのだ。正確な海図も無い、付近に新手がいるかどうかもわからない。そんな状態で迂闊に追撃を行って門を奪回され、孤立させられたらどうする?ん?」


 有無を言わさぬ参謀長の物言いに反論する者は居なかった。結局、追撃は中止され、唯一なんとか射点に付けていた十五駆のみが雷撃を敢行するも、信管を過敏にセットしていた為全弾が早発、24本を放ち命中はゼロだった。


 一方の米艦隊も早々と追撃を中止し、溺者救助と捕虜の確保を始めている。


 これにより啓号作戦は終了、続いて進出した機動部隊により制空権も確保され、門周辺の制海権は完全に日米のものとなった。戦果は戦艦と重巡各一隻、軽巡2隻、駆逐艦3隻を撃沈(自沈や処分を含む)、戦艦1を中破、重巡と駆逐艦各一隻を小破となっている。対してこちらの損害は、潜水艦3隻、駆逐艦1隻、掃海艇3隻沈没、軽巡2隻、駆逐艦2隻が大破、戦艦1隻が中破などとなっている。またその他に廃船が30隻ほど失われている。


 しかし今作戦の主目的である門の確保には成功、これにより日米両国はさらなる戦力をアーレンウェルト世界に送り込むとともに、トゥーレ王国を始めとする各国への使節団の派遣を計画している。またそれに対しガーランド帝国も本格的に戦力をつぎ込み始め、ここに対ガ戦争が本格的に開始する事となる。





驚異的な投稿速度(当者比)


なんだか尻すぼみの戦いで幾分不完全燃焼です。この鬱憤はまた今度晴らしましょう。


さて、次回より異世界との交流が始まります。これでタイトル詐欺じゃ無くなった!


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