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絵を描く黒猫  作者: よろず
一部
32/56

幕間 初デート

 バイトの無い祝日!華との初デートに遊園地来た!

 今まではお互いの家にいるか、出掛けても母親が一緒だったり、オレがバイトで中々実現しなかったデートだけど、やっと実現。

 今日は華の髪型と服のコーディネートに気合い入れてみた。

 ネズミのキャラクターが有名な遊園地。映画のキャラクターを真似て、華は長い髪を三つ編みおさげ。パーク内で買った赤いカウボーイハット被らせて、オレもそのキャラの相手役の帽子被った。

 服装もそのキャラ意識して、オレは黄色と赤のチェックのネルシャツに黒のダウンベストとジーンズ、茶色い皮のブーツ。

 華もジーンズに茶色い皮のブーツ、白と黄色のチェックのネルシャツにダウンベスト姿。

 すっげえ似合ってて可愛い!

 華はこういう場所初めてだっていうから、入園したらまずはスムーズに楽しむ為の下準備に行く。

 二人で服装合わせたキャラクターのアトラクションのファストパス。夜にやるショーのチケットの抽選。

 抽選外れたら観れないショーは、華にボタン押させたら当たった!流石華!


「華はジェットコースターとか落ちるやつは大丈夫?」


 一通りの下準備が終わってから、朝一のショーを待ちながら次に行く場所の相談。

 華は首傾げてるから、乗った事なくてわかんないみたいだ。


「乗り物酔いしないなら、落ちるやつ並ぼっかなって思うんだけど…大丈夫かな?」


 また首傾げてる。


「まぁ、行ってみるか!」


 華は笑顔でこくんて頷いた。

 ここって入った瞬間からうきうきするんだよなぁ。華も朝からずっとにこにこしてる。

 途中で買った朝飯代わりの限定フードを華の口に運んで半分食わせる。残りの半分は華がオレに食わせてくれた。食い終わった所で音楽が鳴り出して、キャラクター達が出て来た。


「華、手、振ってごらん?」


 目の前にキャラクターが来たから促してみたら、華はおずおず手を振ってる。キャラクターが手を振り返してハイタッチしてくれたから、きらきら顔輝かせて喜んでた。

 華が大喜びしたショーが終わって、今度は落ちるアトラクションに向かう。

 途中でイチゴ味のポップコーンをカウボーイの映画のポテトおじさんの容れ物で買って華の首にぶら下げた。服装のキャラと同じ映画で完璧!


「華!かっわいいー!!」


 首に掛けて、眺めて、抱き締めてデコチュー。

 やばい、コスプレ良い。今度はプリンセスのコスプレさせようかな。

 デレデレになりながら指絡めて繋いで、アトラクションに向かう。


「このアトラクションはね、呪い掛けられたおじさんがエレベーターを落ち続けるんだよ。」

「怖い?」

「んー。死んでも落ち続けてるみたいだから、話は怖いけど、落ちる直前の景色がすげぇ綺麗。落ちる前に教えるから、目を開けててごらん?」


 華を後ろから抱き締めながらアトラクションの説明して、列に並ぶ。

 途中にあるアトラクションのセットを華はマジマジと観察してた。

 落ちる系のアトラクション、華はすげぇ好きみたい。落ちる時は無言で、大丈夫かなって心配したけど、終わった後顔がキラキラしてた。


「楽しかった?」


 聞いてみたら、笑顔でこくんて頷いてる。可愛い!


「今度はね、列車で移動するよ!」


 華の手を引いて、列車乗り場に連れて行く。

 列車から見える景色を指差しながら、その映画の話とかどういうアトラクションなのかの話をした。


「あそこはね、船に乗れんだよ。乗ってみる?」

「乗る。」

「じゃあ、後で行こう!」


 列車から降りたら、有名な映画のジェットコースターのファストパスをとって、ちょっと早めのお昼ごはん。

 メキシコ料理を食べながら、ギターと歌が聞ける店。結構空いてる事が多くて穴場だったりするんだよね。

 華はトルティーヤ。オレはタコス。

 華は外食だと積極的に食べようとしない。だから、隣に座って食わせる。


「美味しい?」


 聞くとこくこく頷く。


「でも秋のご飯の方が美味しい。」


 もう、どんだけ可愛いんだよ!


「これ、うちでも作れるから今度作るね!」


 確かトルティーヤって簡単に作れた気がする。帰ったらスマホで調べてみよう。


 昼飯の後は、船で移動。

 景色が良い感じだから、景色眺めながら隠れネズミの話とかしてみる。華が興味持って、オレが知ってる場所、指差して教えた。


「次はね、オレらの今日の服のキャラのアトラクション!バンバン的を打つんだ。」


 船から降りたら最初に取ったファストパスの乗り物。

 チケット使ってすいすい進んで、途中にあるオモチャ達がどんなキャラか教えてあげる。


「これ、オレ好きでDVD全作持ってる。帰ったら一緒に観る?」


 華はオレの説明、にこにこ楽しそうに聞いて、DVD一緒に観る約束もした。


「華、あれがオレの服のキャラで、赤い髪の女の子が華だよ。みんなオモチャなの。」

「バッチしてる。」

「うん。あのキャラはカウボーイなんだ。主人公だけど、あっちのロボットのが人気だよ。」

「カウボーイが良い。」

「オレも!レーザービームより、拳銃とか馬の方が好き!」


 シューティングゲーム、華はあんまり得意じゃないみたいだったけど、すっげえ楽しそうにやってた。


「華、足疲れてない?大丈夫?」


 なるべく乗り物使ったり、移動少なめのコース選んでるけど、結構ここって歩き回って疲れるんだよな。特に華はあんまり出歩かないし、キツイんじゃないかな。


「大丈夫。楽しい。」


 満開の笑顔で華が言うから、きゅうって抱き締める。


「次はね、すぐそこ。座ってショー観るやつだから足の休憩にもなるよ。」


 こくんて頷いた華を連れて、すぐそこの本格的なバンドのショー。


「これはね、ジャズが生コーラスで、ダンスもマジですごいんだ!ネズミのキャラも踊ったりドラム叩いたりするんだよ。」


 本当はクリスマスの時だったらツリーとか、音楽もクリスマス限定になったりするんだけど、残念な事に今は入れ替え時期でノーマル。でもクリスマスだとすっげえ並んで大変なんだよな。


「華は、生のバンド演奏とか聞いた事ある?」

「ない。外出ない。」

「外出るの、嫌い?」

「秋となら全部楽しい。」


 はにかんで笑う華。外だけど、キスしたくなる。でも、おでこで我慢。


「これからは、何処にでも連れて行ってあげる。」


 オレの言葉に、華は嬉しそうに笑って頷いてくれた。



 バンドの後は車の乗り物と船で移動して、アラビアンなマジックショーを観た。


「あの青いの。ランプの精なんだよ。三つ願いを叶えてくれるの。これもオレ、DVD持ってる。」

「これも観たい。」

「じゃあ、これも今度うちで観よう。…華は、三つ願いが叶うなら何をお願いする?」

「秋は?」

「んー。子供の時は、母親を楽にさせたい、お金持ちになりたい、親父に会いたいだったなぁ。」

「秋のパパ?」

「そう。三歳の時に病気で死んじゃったから。それに、親父にまた会えたら、母親が喜ぶんじゃないかって思った。」


 昔の、ほんと、子供の頃のお願い。


「今は?」

「今は……華とずっといたい、華がいつも笑ってくれますように、母親を父親に会わせたい、かな。」

「秋は、ママが好き?」

「……好きだよ。良い母親。」

「わたしも、秋ママ好き。」

「なら、一緒だ。」


 にっこり笑い合って、おでことおでこをぶつける。


「華のお願いは?」


 そのままもう一回聞いたら、華は考える。考えて、オレを見て笑う。


「叶った。」

「どんなお願い?」

「寂しいの、終わりますように。」

「そっか。」


 にっこり笑って、唇に軽くキスした。公衆の面前なんて気にしない。バカップル万歳だから。

 マジックショーの次は、そこからすぐそばのぬいぐるみが取れるゲーム。華が意外と上手くて、二発目でぬいぐるみゲット!オレも一発目でゲットして、二人でカップルのアヒル人形抱えて歩いた。

 イチゴのポップコーン食べながらゆっくり歩いて、ファストパス取っておいたジェットコースターに乗る。

 華は、絶叫系好きみたい。叫んだりはしないけど、降りたら顔紅潮してる。ここまで楽しそうな華は初めて見るから、すっげえ嬉しい。また連れて来てやろうって思った。

 絶叫系好きならって、隣にある一回転するジェットコースターも乗った。これも静かに大興奮。可愛い過ぎ!

 あとは夜のショーの前にゆっくり散歩して、クマのぬいぐるみショー見ながら夕飯。ハンバーガーの店だけど、少食の華はポテトとクラムチャウダー。並びながらイチゴポップコーン食ってたから、歩いててもそんな腹が減らないみたいだ。


「華、このクマ欲しい?」


 オレが口に運ぶポテト食いながら、華はショーのクマに夢中だ。これは絶対好きだと思って聞いてみたら、華は大きく頷く。

 どんだけ気に入ったんだよって笑って、次は隣の店行こうって決めた。


「このクマね、男と女があって、一つ一つ顔が違うんだよ。どの子が良い?」


 もし華が気に入ったら、このクマ買おうって考えてたんだ。

 オレの言葉を聞いた華は、真剣な顔して選んでる。可愛い過ぎて、オレは華見ながら顔が緩む。


「この子。」


 華が選んだのは男の子。


「洋服もあるよ?」


 洋服のコーナーに連れて行ったらちょっと悩んで首を横に振った。

 ふかふかの手触りが好きだから、洋服はいらないんだって。


「この子、秋に似てる。」


 ゲームで取ったアヒルは華が背負ってるリュックから顔を出させて、クマを抱き締めた華がそんな事を言った。


「マジで?どんなとこが?」


 聞いてみたら、華はにっこり笑ってクマを撫でる。


「目が優しい。」

「…そっか。」


 返事しながら、めちゃくちゃ嬉しくて、また溶け出しそうな顔で笑ってクマごと華を抱き締めた。

 暗いし、ちょっとならいっかなって、華の唇に長めのキス。そのまま舌を侵入させて、一瞬だけ絡めてすぐ離れた。

 結構そろそろ我慢が限界に近かったりするけど、大切にしたい。

 とろんとした顔になった華の手を引いて、夜のショーの場所にゆっくり歩いた。


 夜のショーはキャラクター総出で盛大。花火まで上がる。

 音楽に合わせてキャラクター達とダンサーがダンスする。物語もちゃんとあって、華はずっと釘付けで観てた。


「すごい、楽しかった!」

「また来たい?」


 大きく頷いた華に、オレも大満足。


「また、一緒に来ようね。」


 約束して、お土産買って、夢の国を後にした。

 電車の中で、はしゃぎ疲れた華がクマを抱いて夢の中。オレに似てるって華が言ったクマが羨ましくなりながら、オレの肩に凭れて眠る華の重みを感じながら帰った。

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