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絵を描く黒猫  作者: よろず
一部
19/56

日曜 3-1

 今朝は起きたら、華が隣で丸まって寝てた。なんでだ?

 昨夜は風呂入ったあと、勉強ちょっとして、華は母親の部屋で寝たはずだ。いつ潜り込んだんだろ?

 華は猫みたいに擦り寄ってくる。可愛いからなんでもいっかって思って、抱き寄せた。

 華は、小さくて、柔らかくて、良い匂いがする。やばい、ブラしてない。

 段々思考が良くない方向に向かいだして、悩み始めたら、華が起きた。

 眠そうにオレを見て、オレだって認識したら嬉しそうに笑う。キスしたい。


「おはよう、秋。」

「おはよ、華。」


 抱き寄せて、そのまま軽くキスした。心臓、バクバクしてやばい。


「華はなんでここで寝てるの?」


 良くない考えを追い払う為に、会話する事にした。

 華はふにゃりと笑う。


「秋の側が良かった。」


 かわいい。

 抱き締めてキスしようとした所で、勢いよく戸を開けて母親が顔を出した。


「ご飯、作ったわよー。」


 ぜってぇわざとだ。タイミング狙ってやりやがった!顔がそう言ってる!!

 華がもそもそ抜け出して、母親の所に行っちゃった。がっくりして、オレも起き上がる。


「華ちゃん甘い物好きって聞いて、ホットケーキにしたの!」


 楽しそうに話してるあの母親を、こんなに恨んだ事はないと思う。

 不貞腐れながらホットケーキ食って、でも華が嬉しそうで幸せな顔で笑ってるから、まぁいっかってなった。

 日曜は母親の仕事休みだから、午前中は掃除と洗濯。勉強は午後から。

 動き周るオレと母親を華はまた体育座りでじっと見てる。

 そんな華を見て、母親が猫飼ってるみたいって言ってはしゃいでた。オレも同じ事考えてたから、笑った。


「華ちゃん華ちゃん、テスト終わったらおばさんと一緒にお買い物行かない?可愛いお洋服買ってあげる!夢だったの!」


 掃除終わった母親がまた華に抱きついて騒いでる。

 華は嬉しそうで、可愛い。

 オレは昨日洗濯しておいた華の制服のアイロン掛け。祐介の言ってた通り、オレ、おかんっぽいかも。


「秋はあーんなでっかくなっちゃたし、洋服の好みとか最近うるさくなっちゃって。男の子はやぁねー。」

「華はいつもパパの服着てっけど、自分の服、持ってないの?」


 母親の腕の中で頭を撫でられまくってる華は、一昨日から母親のロンTとスウェットズボン姿。髪は母親がまた二本の三つ編みにした。めちゃくちゃ可愛い。


「制服。」

「制服以外は?」

「ドレスと着物。」


 オレの頭はハテナがいっぱい。

 母親も撫でるのやめて華を見てる。多分オレと一緒でハテナだらけだと思う。


「そんだけ?」


 華は頷いた。

 なんか、知れば知るほど華は謎だ。


「いつ着るの?」

「連れて行かれる時。」

「どこに?」

「人がたくさんいる所。」

「誰が華をそこに連れて行くの?」

「持って行く人。たまに、パパが来る。」


 華はそう言って、母親の胸に顔を埋めた。

 あんまり聞かれたくないのかも。多分だけど、華はそこに連れて行かれるのは好きじゃないんだ。


「そうだ!華ちゃんちょっといらっしゃい!」


 なんか思い付いたらしい母親が華の手を引いて自分の部屋に消えた。

 残されたオレは、一人寂しく綺麗になった制服ハンガーに掛けて、アイロンを片付ける。

 やっぱ、母親に華とられてばっかで面白くない。

 母親の部屋から漏れ聞こえる楽しそうな声を聞きながら、まだ昼飯には早いし、勉強すっかなって教科書開いた。

 少しして、母親が興奮した顔で出てきた。


「秋!母に感謝しなさい!」


 胸を張った母親がまたちょっと部屋に引っ込んで、華の手を引いて出て来る。

 華は、黄色と白の花柄ワンピを着てた。髪も可愛く結ってある。

 母親グッジョブ!!!


「福袋に入ってたんだけど、私には若々し過ぎて箪笥の肥やしだったのよね。どうよ、秋?」


 にやにや顔の母親を褒め称えてやりたい!


「華、すっげえ可愛い!可愛い過ぎてヤバイ!!このままデート行きたい!!」


 華は、はにかんで笑ってる。しかもほっぺ赤く染めてるし、このまま出掛けて見せびらかして歩きたい!

 立ち上がって近く行って、華の姿を目に焼き付ける勢いで見る。


「服はいくつかあげられるのあったけど、靴がないのよね。テスト終わったら靴買いに行かなくちゃ。」

「オレも行く!ね、華、来週、日曜、オレのバイト終わりは?」


 華はちょっと考えて、こくんて頷いた。かっわいー!!なんでも買ってやるって気になる!


「むしろ今から行きたいけど、なんでテストなのよ!」

「いや、もうコレはテスト無視で今から行くか?」

「そうしちゃう?テストより華ちゃんよね?」

「だな。でも靴、ローファーしかねぇよ?」

「ん〜、いっそローファーで行って、買ったのに履き替える?」

「それしかねぇか?」

「ないわね。」

「よし!華、買い物行こう!」


 うちの母親はゆるくて助かる。

 華がきょとんとしたまま話は決まって、オレと母親もそれぞれ着替えるのに部屋に引っ込んだ。

 華は体育座りになって、そんなオレらを楽しそうに眺めてた。

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