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俺の故郷

作者: やーめん

ストーリーは異なりますが、松本零士先生と星新一先生の作品に非常に近い記述部分があります。内輪受けを狙った作品なので、掲載してよいものか迷いました。そういう前提での作品ということを踏まえて、それでもかまわない方のみ読んでいただければと思います。オリジナルな作品を好まれる方には、お勧めできません。

 俺の名はキャプテン・シーロック。

 泣く子も黙る宇宙海賊だ。

 宇宙の海は俺の海、宇宙(そら)行く船は俺の船。

 かくして俺は今日も俺の旗の下、獲物を求めて宇宙を流離さすらっている。


 しかし、俺もまだまだ若い。

 若い男には若い女が必要だ。

 と言っても、海賊船の中は野郎ばかり。

 これっぽっちも女っ気がない。

 なんとか女を調達しようじゃないか。

 となれば話は早い。

 手っ取り早く手に入れるには、海賊流に略奪するに限る。


 そんな訳で、俺たちは文明の栄えていそうな惑星を襲い、そこの女を一人拉致した。

 しかし、俺としたことがウカツだった。

 ヒューマノイドの姿をしていて、髪が長くほっそりしているので、てっきり人類かと思ったが、どうも人類と違う種族だったようだ。

 まず、言葉というものをほとんど喋らない。

 言語形態が全く異なるのかもしれないが、意思疎通が非常に困難だ。

 竪琴を持っていて、何かと言うとかき鳴らしているが、これがこの種族の意思疎通の手段なのかもしれない。

 それ以上に不気味なのは、表情とか、感情とかいうものが見られないことだ。

 拉致されたというのに、慌てたり、怯えたりする様子もなく、無表情の顔でこちらを見据えている。

 いや、黒目がないので、本当に見ているのかさえも定かでない。

 食べ物も、いろいろ与えてみたが、どれも食べたがらない。

 ただ、酒だけは気に入ったらしく、与えるだけ全て飲み干してしまう。

 大量に飲むと、透明に近い体全体の色が虹色に変化し、シャックリをする。

 俺は、そいつに「ミーネ」という名前をつけたが、実のところ女かどうかも怪しい。

 どうも女というより、植物に近い存在ではないかと言う気がしている。

 見た感じもちょっと気味悪いし、どう扱っていいものやら困っちまった。

 まぁ、放っておいても騒ぐでもないか。

 しかたないから、時々酒を飲ませて、勝手に竪琴を弾かせておこう・・・。


 次に目星をつけた惑星では、放出されている電波から、明らかに人類が居住していることを事前に調べた。

 優秀な宇宙海賊は、同じ間違えはしないのだ。

 俺は、その星の地方都市と思われる街に急降下した。

 そして、遊園地のような施設に降り立ち、その入口にいた女を一人拉致して、素早く上昇した。

 途中、戦闘機がミサイルを撃ってきたり、人工衛星からエネルギービームが飛んできたりしたが、俺の船の自動回避反撃システムは、そんなちゃちな攻撃など一撃で跳ね返してしまうのだ。

 さすがは我が友「アルーイカダ号」よ。

 無敵の宇宙海賊の勇名はここでもまた伝説として語り継がれるだろう。


 さて、今回の獲物はなかなかのものだ。

 ちょっとツンとしているが、俺の前でも恐れを見せず、微笑みかけるような可愛い顔をしている。

 ウサギのように大人しいが、まずまず俺好みの女だ。

 それに、今度はちゃんと言葉も話せるようだ。

 俺は、威厳を持った態度で尋ねた。


「名前は何という?」

「プッコちゃんていうの。」

「俺が誰だか知っているか?」

「あなたは誰かしら?」

「俺は泣く子も黙る宇宙海賊キャプテン・シーロックだ。」

「あなたは泣く子も黙る宇宙海賊キャプテン・シーロックね。」

「俺の船をどう思う?」

「あなたの船をどう思うかしら?」

「俺の船は無敵の海賊船アルーイカダ号だ。」

「あなたの船は無敵の海賊船アルーイカダ号ね。」

「お前の年はいくつだ?」

「まだ若いのよ」

「だからいくつなんだ?」

「まだ若いのよ」

「・・・」


 う~む。

 どうもこの子は頭の構造がちょっと弱いようだ。

 見てくれが良くても、頭の中がピーマン状態では、話にならない。

 それに動きがギクシャクしていて、時々頭がカクンと九十度曲がったりするとこなど、なんか人間ばなれしてる。

 しかたがないので、部屋の隅に放っておいたら、ずっと立ったままの姿勢で、いつの間にか動かなくなっていた。

 電池が切れたのだろう。


 俺もよくよく運がついていない。どこかにまともな女はいないものだろうか。


 そんなこんなで、いつのまにか長い年月が経ってしまった。

 えっ?

 宇宙海賊なんだから、女の宇宙海賊と付き合ったらどうかだって?

 冗談じゃない!

 確かに「エスメラルダス」という女宇宙海賊がいる。

 歳も俺と同じくらいで、どちらかといえば、美人の部類に入るだろう。

 しかし、そんな恐ろしい女とかかわった日には、命が幾つあっても足りないというものだ。

 なにしろ彼女は、・・・


 その時、船橋内に警報が鳴り響いた。

 目の前の宇宙空間に突如宇宙船が出現したのだ。

 我が友「アルーイカダ号」の頭脳であるマザーコンピュータが、即座にその船影を解析し、コンソールパネルのディスプレイに表示した。

 俺は背筋が凍るのを感じた。

 彼女だ・・・。

 俺は全速で逃げようとしたが、メインスクリーンに映し出された彼女の船の主砲は、こちらを完全に捕捉している。

 だめだ、逃げられない。

 続いて、受信した音声信号がスピーカーから流れ出た。

「こちらは宇宙海賊エスメラルダス。貴船に停船を命じる。命令に従わない場合は攻撃する・・・。」

 俺は観念して、船を停船させた・・・。


「久しぶりね、キャプテン・シーロック。この前、獲物を捕り合って以来かしら。」

「なにしに来たんだ、エスメラルダスっ!」

「あら、ご挨拶ね。今日は、あんたを狩りに来たのよ。」

「なんだと。なぜ俺なんかを・・・」

「この間、宇宙連邦政府の輸送船を襲撃した時に、仲間をだいぶやられちゃってねぇ。ちょっと人手不足になったから、あんたを手下にしてやろうと思いついたってわけよ。まぁ、宇宙海賊ですもの。手に入れたいものは奪う。当然のことでしょ?たっぷり働いてもらうわよ。」

 スピーカーから流れる冷酷な彼女の声に、俺は呆然と立ちすくんだ。


 俺は今、囚われの身だ。

 船の一室に閉じ込められている。

 三度の食事めしは与えられているが、自由は全くと言っていいほどない。

 俺の首には、電子輪が取り付けられ、万一逃げ出そうとしたら、思いっきり首を絞められるって寸法だ。

 エスメラルダスが貨物船を襲撃する時は、俺も連れて行かれる。

 エスメラルダスが海賊船の船橋からあれこれ命令し、その命令に従って俺が金品を奪ってくるのだ。

 仕事が終われば、また船内の部屋に監禁される。

 なんとも情けないことだ。

 しかし、少しでも反抗的な態度を取ろうものなら、気の短い癇癪かんしゃく持ちのアイツにすぐに首を締め上げられてしまう。

 実際、俺は何度気を失ったことか。


 でも、時々、気まぐれに、アイツは俺を部屋から出して、遊び相手をさせることもある。

 ごくたまにだが、上機嫌な時は、一緒に酒を飲んだり、歌を歌ったりすることもある。

 そして、肩を寄せ合い、唇を重ねることも・・・。


 最近俺は、こんな生活も一つの生き方かなと思うことがある。

 初めからこれが俺の人生だったのだと思えば、諦めもつくというものだ。

 しかし、時々は、俺も、俺の旗の下で、今は「エスメラルダス二世号」と名づけられている我が友アルーイカダ号とともに広大な宇宙を誰にも指図されず自由気ままに流離さすらいつづけるという空想に浸るのだった。

 そう、遠い昔の、若かりし夢多き自分を思い描いて・・・。


この作品は、前書きにも書いたように、松本零士先生と星新一先生の作品を知っていることを前提とした内輪受けを狙った作品ですが、読んでいただければ分かる通り、世の中の男性の悲哀を想像させる作品ともなっています。そういう意味では、女性の方がどう受け止めるか、見えていない部分もあります。

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