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プロローグ
彼女は出会った
光の差し込む裏側で
光を失った表舞台で
光を見つめるあの子達に
光に絶望したあの少女に
彼らは出会った
光が溢れる暗がりで
光が枯れた窓辺で
光を謳歌する若者に
光を手放した若者に
彼女は出会った
光が歌う奥で
光を嫌った少女に
彼は出会った
光が過ぎ去った扉の向こうで
光を拒絶した少女に
少女は傷ついた
彼女は少女を保護した
彼らは少女を守った
彼女は少女を癒した
彼は少女を助けた
そして
少女は出会った
光ですら既に愛想を尽かした部屋の真ん中で——