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▽ホームで回復する(就寝)を選びました。

倉庫で装備も確認します。



「うぁー……眠い」

「マスター?」

「フィーユ、悪いんだけど寝る準備してくれないかな? だいぶ外に出てたんで疲れてるんだ」


疲れを自覚した途端、身体が重くなった気がする。

なんだかんだいって、この手で狼を倒したり良く分からないアナウンスに首を傾げたり色々したもんな…考えてみれば随分動いた気がする。

食べ終わって珈琲を飲むフィーユに、寝室の案内を頼もう。


「承りました。お風呂に入られますか?」

「え、風呂あんの!?」

「……」


寝るだけかと思ったら宿屋並みに設備あるとか吃驚だな!

そう言えば着替えとか存在するんだろうか?

鎧とか装備する機能はあったけど、普段着とかは特にこのゲーム存在していなかった筈だ。装備を脱ぐと一応布の服にはなるけど。

勿論コスプレ衣装っぽいのはなくはなかったが、あれはあれで戦闘用装備だし用途が違う。

就寝=風呂つきと言う所にときめきつつ、俺はフィーユを期待の篭った目で見つめた。


風呂、入りたい。


「お風呂に関しても忘れられたのですか?」

「あ、いや、あるの忘れてただけ! 俺いつも入ってたっけ?」

「はい。泊られる時には毎回入っておられましたが……入られませんか?」


そうなのか…。

まあ、中身俺として考えれば、当然風呂大好き日本人、毎回入っていても何もおかしくはない。

じゃあまず風呂からだな、風呂。でかいのかなー、1DKのあるだけマシな浴槽の自宅より大きかったりしないかなー。


「いや、入る入る。ちなみに寝るときは何着るんだっけ?」

「はい。承りました。寝具はこちらにご用意がありますのでどうぞ。お風呂は寝室の向かいにあります」

「らじゃ!」


すぐさま差し出されたものは、カードではなくてバスタオルと袋に入った寝具一式だった。

ってかどっから出た!? フィーユ椅子に座ったままなのに用意いいな。

というか袋入り。ビニールに入った袋って、なんかこれ……。


「クリーニング済!?」

「えっ、はい。ここには洗濯施設はございませんので……」

「そ、そうなんだ。ちなみにフィーユはこの後は?」

「私は家に帰宅します」


えええええええええええ。

従者ってホームに住んでるのかと思ってたけど、違った!

っていうか洗濯は出来ないんだ、料理出来るのに。ホーム施設謎すぎるな。


「え、とそか。じゃあお風呂入る前にちょっとだけ話してもいいかな?」

「はい。まだ勤務時間内ですので、少しでよろしければ」

「うん。家って、あの"家"だよね?」

「はい、もちろんです」


フィーユの従者化イベントは、家族に対する思い入れから始まるのだ。

フィーユには幼い弟と妹がいる設定で、両親はナシ。

この亡くなった両親というのが曲者で、ぶっちゃけこの両親はどこぞの貴族のろくでもない事件に巻き込まれて命を落とし、さらにその余波がフィーユを含め全員に及んだ、と言う所から話はスタートするのだ。

まあ、全年齢ゲームなのでその余波とやらの詳しい描写などは全くないが、彼女は弟と妹を養うため、そして両親の復讐をするために暗殺ギルドに入るものの、女性である事と本来の素質から暗殺者にはなれず、受付嬢みたいなことをしている時に出会う事になる。


そこから、ホームに誘うっていうイベントが起こるわけだな。

ちなみに加入条件は復讐を手伝ったり、弟とやらの面倒をみたりとかがあったわけだが、まあ思い返さなくてもいいかな?

たかが一従者イベントと侮るなかれ。

売りともなった従者システムは、従者ひとりひとりにアップデート毎にシナリオ追加があったので、割とフィーユの家族構成やら好きな物なども分かっていたりする。


が、反面。

従者システムは恋愛面に関してはデメリットが多く、従者を恋人にするイベントをすると軒並み能力が落ちたりするんだからこのゲーム、どこまでソロ推奨なんだよと言いたくなる仕様だった。

当然だが俺は恋愛イベント系は一切行っていない。友好度や好感度があがるものはやっていたが、基本はゲームの補佐的な使い方がメインだったので、今こうして話していてもフィーユの頬が染まる事はないし、割と事務的だ。


まあ、中にはいたけどな。

デレのためならステータスなんて! みたいなやつも。

フィーユは確か恋愛系イベント起こすと戦闘能力落ちるんで、うかうか狩猟とかにつれていけないんだよ確か。従者のHP表示はあるけど、そもそもNPCだから勝手に動くしいなくなるし(連れて行くのが大体採集だからというのもあるが)。

そもそも愛玩用従者選ぶ奴もいるわけなので、NPCを鉄壁に守るって事は出来なくはない。うん。


しかし……。

これが現実となると、どうなるんだろう?

どこからどこまでが恋愛イベントとかさっぱりわからないし、下手に好感度動かすと実は大惨事なんじゃ?

俺、暗殺者しかやったことないし守りってどうやるのかもさっぱりだよ?

いや、ゲームなのか現実なのか、そこもよくわかんないけどさ……。


「マスター? 家がどうか、したのですか?」

「あ、いや。弟君は元気?」

「はい。マスターのおかげでとても元気ですよ」


にこ、と笑う彼女。

家族の事がとても大切な彼女は、おそらく家族の事では感情を動かされるのだろうな。

うっかり美女の笑顔にどきまぎしつつ、俺はさり気なく目線をそらす。


「明日の事なんだが」

「はい」

「フィーユはあまり家を空けられなかったよな? 何日かかるかわからないと、クエストについてくるのは無理そうか?」

「クエスト、ですか?」


頷く。

転職しようは初心者用イベントの筈だから敵が強いとは思えないが、なんだか心細かったのだ。

フィーユとは画面上とはいえ何度も出かけた事がある相手だし、一人で悶々としながらクエストをするよりは精神的に楽な気がする。

そう思いながら、聞いてみる。


「まだ、転職してないんだよね」

「ああ……職業が一般市民のままですし、それに付き合って欲しいと言う事でしょうか?」

「うん、そう。フィーユは職業関係の知識は多かっただろ?」

「はい」


それから俺はまだなる職業を決めていない事、他のレア職がないかクエスト中に調べる事等を告げる。

恐らく俺のステータス的に知識はさほど多くないので、内政系の従者であるフィーユを連れて行った方が色々教えてもらえるんじゃないかと思ったんだが……フィーユの反応はあまり芳しくなかった。


「どうしてもと言われるならついていきますけど……」

「何か気になるのか?」

「ええ。転職は、危険が多いと聞いていますので……勿論、事前に私がお教え出来る事は朝にでも、お伝えしてから出発して頂きたいですが……」

「むー……そうかぁ…」


覚え切れるかなあ……。

ちょっと不安になりつつも、弟の面倒を見に家に帰ると言うフィーユを見送って、俺は風呂に入ることにした。

ちなみに通り道だったので装備の倉庫は覗いてみたが、特に戦力アップ出来そうな装備はなかったので特に装備は変更しなかった。



風呂は大変大きくて気持ち良かったです。




―――


疲労が回復しました。精神的に落ちついています。

従者の好感度があがりました。

装備に変更はありません。

★転職しようクエストのリミット期限が発動中です。残り4ターンです。


選択してください。

1→クエストに出発

2→従者のイベントを回想する

3→倉庫をもう一度見る

4→クエストに従者を連れて行く(PT編成)

5→ホームから街へ従者と移動する

6→ホームから街へ一人で移動する


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