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▽全体メニューを開くを選びました。

得票が近かったため少しだけ脳内音声にも反撃します。





『クエストマップから外れているようです。全体マップを表示しますか?』

『全体メニューから選んで下さい。クエストを中断しホームへ戻る際は、帰還を使用して下さい』


「クエスト? メニュー…?」


どれくらい立ちつくしていただろう。

繰り返される見知った内容に、ようやく俺の意識が追いつく。

手の上に乗せたカード状の『アイテム』

動かさないままでいると、離席なのかを確認してくる『アナウンス』

どれも、何度も見た事があったものだ。不思議とアナウンスは脳内に流れてくるみたいだが、文字でテロップのように流れるソレなら何度も見た事があったし、内容も覚えているものだ。


ん?

全体メニューから選んで下さい?


「もしかしてここは……?」


視界の中にメニューを出すアイコンも、手元にマウスもキーボードもない。

だがメニューを開けと言うからにはメニューは存在しているのだろう。……良く分からないが、夢だとしてもここに待機しているだけでは目覚めそうにないし、何か動いてみるしかないような気がしてきた。

とりあえず現状把握に必須そうなメニューはどうしたら出てくるだろうか。


「……メニュー?」


ぼそ。と呟いてみる。

先ほど問いに応えられたように声に反応するかも? と思ったのだが違うみたいだ。

呟いた自分の声に帰ってくるモノがないか待ってみるが、何も起こらない。

むしろ帰ってきた沈黙が痛い。痛すぎる。なんという痛い人なのか。

いや、こんな訳わからん夢見始めてる時点で超痛い人かもしれんけど!


「……」


きょろきょろとつい見まわしたが、敵も人もいないみたいなので俺はほっと胸をなでおろした。

しかし振り出しに戻っている。

一体どうすればいいものやら?


『待機30分を越えました』

『クエストマップから外れているようです。全体マップを表示しますか?』

『全体メニューから選んで下さい。クエストを中断しホームへ戻る際は、帰還を使用して下さい』


無情に繰り返される言葉。

かわっているのは時間の部分だけで、流れる時間は変わらない。

思わず手を出そうと思ったが、そもそも目の前に広がるのは広い森だけなので何も出来ない。


「あ~……もう、畜生! なんだよ!」


メニュー開けって言うなら開き方もアナウンスしろよ!

一方的に言われたって理解できねーんだよ!

そう、強く思ったとたん。


『全体メニューは開きたいと念じて下さい』

「は?」


……応答が返ってきた。何それ脳内駄々漏れかよ。

とりあえず開きたいと思えばいいんだな? うん。


「メニュー、開け」


念じるだけでいいのだろうが、さっきから叫んでいるのでもう開き直って口に出してみる。

そうすると開くというのに意識が行くのか、ポーンとシステム音がして視界の隅に黒抜き文字の簡易メニューバーが出てきた。

えーと……成程。画面があるわけじゃないから、視界の隅に出るって事なのか……傍から見るとどうなっているのか非常に気になるが、そこは見なかった事にして全体メニューを出す前にショートカットキーを眺める。


クエストマップから外れてるからマップ出せって言ってたっけ?

そもそも俺何のクエスト受注してるんだろう。

よく見知ったメニューバーに、ついふっと違う場所を開こうと目線を動かしてしまう。


『プロフィールを確認しますか?』


アナウンス。

どうやらマウスでクリックできない分、音声対応になっているみたいだ。

視界に文字は出てこないけれど、音声として認識できる言葉を感じる。

上手く言えないんだけど、心の声がそのままアナウンスみたいなそんな感じか。


「プロフィール見る」


はい、と言う代わりに口に出せばくらりと酩酊感が俺を襲う。

一瞬の光の集中。

森の背景に光る文字が浮かんで目がくらんだので、慌てて目を閉じると黒い背景にメニューが浮かんだ。


ああ、、、なるほど。画面がないからこの方が見易い。そういえば随時表示の簡易メニュー以外は白抜き文字か。

そのまま目を閉じながら、プロフィールを確認する。

ってか立ちつくすのもいい加減疲れたし座ろうかな。座って確認確認。


まず名前の欄は……うん、どうみてもあのオンラインゲーのキャラネームが見える。

そして職業は……っと。ええ。


「一般市民かよ!」


一般市民Lv2の文字。

そうか、転職クエストでYesを選んだから一旦一番最初の職業、一般市民になってしまっていたらしい。

スキル欄も一つしか埋まっておらず、全くのまっさらだ。

スキルを習得しますか? の文字が出ているのは一般市民のJOBレベルが先ほどの初級モンスターで上がったからだろう。

とりあえずスキル欄を見てみる。


残りスキルポイント:1

『カウンター:LvMAX 説明:暗殺者を極めた者に贈られるパッシブスキル 自動発動』

『一般知識:Lv0 説明:転職するために必要な一般知識。MAXLv9』


成程。さっき避けたと思ったのに発動して敵を倒したのはこれか。暗殺者はよく闇打ち食らうから、自動スキルとして重宝してたんだよなこれ……たぶん転職特典だな。

良く分からない動きに混乱してしまったが、種が分かれば何となく落ちつく。

問題は画面上じゃなくてリアルで俺自身が動いているような気がする事だが……もうなんか、どうでも良くなってきた。

30分も立ちつくしていれば、嫌でも分かる。

夢にしろなんにしろ、こうなったらやってみるしかないんだろうって事は。


とりあえず一般知識をあげて転職が出来るように進めるべきだろうと思う。

最初すぎて記憶のかなただが、JOBレベルをマックスにしないと転職できないはず、だ。

この辺は他のゲームと変わらなかったし、上げなければ話にならないだろう。たぶん。


装備はそもそも転職アイテム使う前に全部外してたからなんも持っていないし……一旦帰還してここに戻ってきた方がいいのかな?

クエストマップ:初心者の森って書いてあるし、ここならホーム直通で帰って来れる筈だ。

ああでも、ベース40もあるならこの森の敵なんてほぼ一撃だよなあ。JOBレベル上げてからそのままこの森の奥にあるだろう転職の場まで行っちまうかな?


少し落ちついてきたので、俺はとりあえずメニューをいじりながら息を吐き出した。




▽叫んだので落ちつきました。混乱が解消されます。

▽メニュー閲覧により現状を確認しました。以後、メニューとプロフィールはいつでも見れます。


【難易度が戻りました】


次はどうしますか?

1→このまま転職場までGO

2→ホームへ帰還して完璧に準備するぞ

3→全体マップを確認してクエストに戻る

4→森で敵を探してみる

5→いや出かけるのはまだ早い。まだメニューを見る

6→脳内音声と遊んでみる



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