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▽2を選びました。分岐点を右に進みます。




左に行けば恐らく、最初も通った神殿への道。

右に行けば恐らく、レア職業が何か分かる場所。


「……たぶん、転職したてで無理難題はない筈」


そもそもベースレベル半分になるのが前提な上、俺の元ベースはかなり高い。

フィーユも30以上ありますよね? と聞いてきたくらいだから、元はLV60ぐらいで行う可能性だってある。

なら、時間もまだそこまで切迫していないし、右に行って情報を見るくらいなら……。


「よし。右だな」


敵を警戒しつつ進んでいくと、心なしか敵が強くなったようだ。

一本道なので複数の敵にはなるべく遭遇しないように祈りつつ進んでいくと、割とすぐに建物が見えてきた。

だが、入口付近のマップには赤い点が2個。


「2体、か」


ここまで順調に進んできたのでJOBレベルは既に7.

あれを倒して8、と言うところだろう。もしかしたらカンストするかもしれない。

今までの状況を考えるに、慌てたら怪我をするので慎重に近づいてまず1体目を攻撃。


「!? 硬っ」


距離を取って、相手の攻撃に合わせてカウンター。

これで1体目を撃破。

気付かれたので近寄ってきた2体目に腕をかすられたが、2体目も難なくカウンター発動で撃破。


「……痛い」


初めての傷は、本当にかすり傷のようでHPは殆ど変動はなかったが、じくじくと痛みを発している。

っていうか、痛い、のか。

夢かもしれないと頬をつねる事をしたりしてなかったが、期せずして痛いと言う事を知ってしまい、俺ははぁと息を吐く。


「現実か、それともリアル過ぎる夢、か……」


考えても仕方がないのでポーションを軽く塗ってみる。

この程度のHP減少じゃ使うものじゃないのだが、どう考えても痛いので放っておけなかったのだ。

剣を取り落としたら大変だし、な。

そう自分に言い訳して使ってみると、満タンになった上で痛みもすぅっと引いて行った。


「……さて、と」


建物に罠がないか警戒はしたが、扉はすんなりと開いて俺を招き入れてくれた。

何度も言うが、一般市民用のクエストなんだから罠はないよな、罠は。

駄目だ、感覚が掴めない。

ゲームと現実が混ざったような感覚に翻弄されながら、俺は入口付近にあった本に気付いた。


「――これ、だろうな」


基本職の転職前にも、本棚を調べると言う選択肢があった。

基本職になれる神殿には5冊の本が置かれていてクリックすると調べられたが、ここはどうやら基本職にはなれないらしく、違う本が並んでるみたいだ。

本棚には輝いている本が2冊、通常の色の本が数冊、灰色の本がたくさん並んでいた。

ためしに灰色の本を手に取ってみるが、鍵がかかっているようであかない。

通常の色の本は開けた。

輝く本は何か目がちかちかしたが、こちらもすんなりと開く……って、え?


『レア職業が解放されました』


久しぶりのアナウンスの声。

なるほど、と思いながら全体メニューからクエストを開くと、転職をしようのクエスト分岐がさらに増えていた。

ええと、なになに……。


『???への転職』

『???への転職』


1個目をクリックすると、『薬を扱うスペシャリスト』と書かれていた。

ってか、薬剤師かなこれ? サイトで名前見た覚えあるし、たぶんそれだろう。

そりゃ毒薬扱うし、ありっちゃありなんだろうけど。どう言う職業だよ。

爆弾魔みたいな感じ? 筋力は恐らく使わないんで、命中と回避を上げる感じかなあ。


2個目もクリックしてみると、どうやら暗殺者の戦闘特化タイプみたいな職業っぽい事が分かった。

『暗殺者を極めた者』としか書かれてないが、たぶんそんな感じなんだろう。

上位職業ってことかな? こっちは近接用のステに振ってしまって問題ないだろう。元の上位職なら一番動きやすい。


「しかし名前がわからんな」


何故そこで名前バグったし……と思ったが、確か転職ってするまで名前見えないんだっけか。

転職して初めて名前がわかるので、転職者が出るまで謎になる。

暗殺者自体の人気も少なかったんで、恐らく薬の扱いって処に引かれて上のレア職になった人間が多かったんだろうなあ。ふむ。


他にもいくつか候補が出てきていたが、輝く本が2冊だったので恐らく俺に解放されたのはこの二つって事だろうな。

ほかにもなんだこれ? と思うレア職業の本(通常の色が付いている本)があり、ウッカリ時間を忘れて読みふけってしまった。

あ、まずいと思ってとりあえず転職条件を確認してみると、材料自体はどの職業も既に集まっているモノばかりだった。

集まっていないのは、レア職業に必要なものだけで、それはどちらの職業も門番の牙、と書かれている。


「門番? んなもんいたか?」


改めて辺りを見回すと、どうやら俺が入ってきたのは勝手口のようで、別に大きい扉が横にある。

これはひょっとすると……というか、ひょっとしないでもあれ、だろう。

転職する場所に移動するには門をくぐるのが必須で、倒すと転職に必要な牙がもらえる。

そういうことだろうな。


もし普通のレア職に転職なら、門番は無視してつっ切って転職してしまえば問題ない。

基本職がそんな感じだったんで、こちらも適用されるだろう。たぶん。

問題はレア職の方だ。


「とりあえず敵観察……」


ひっそりと扉を開けて門らしきものがないか見てみると、まあ、ど真ん前にあった。

門番はおそらく横にいるでかい狼。

名前は……。


「―――うぇ、近接攻撃痛くて結構避ける奴じゃん……」


名前は覚えていないが、どうみても使い回しじゃなければ戦闘力はそこそこ高いだけの狼だ。

いくつかイベントを進めると出てくるイベントボスで、こちらが避けなければいけないのは威力の高いかみつきのみ。

遠距離武器があれば遠距離からHPを削り、門や障害に嵌めるだけで倒せると言うよわっちいボスだ。

ただし、近接戦を挑むなら命中がないと辛い。


しかし。


「かすり傷ですげぇ痛くて腕とまったのに、あんなんに噛まれたら動けなくなって死ぬんじゃね……?」


手持ちの武器を見てみるが、投げれるようなモノはない。

こんなことなら倉庫で遠距離武器がないか探しておけばよかったな。

さすがに爆薬っぽいのとか暗殺者じゃないと使えないし、装備出来ない武器を持っても重いだけでペナルティになるんじゃないかと思ったんで、手持ちの武器以外はさすがに何も持っていない。

ポーションとか回復薬はちゃんとあるし、攻撃手段も問題ないように思えるが……どうしよう。


ぴこん。


「ん? ――あれ、もうこんな時間か」


10hを切ったことを知らせるアイコンに、俺は思案する。

分岐まで戻ったり、ホームまで戻ったりしたら恐らく時間はぎりぎりだ。

特にホームまで戻った場合、次すぐにここに出てくるかどうかも分からない。最初の位置に戻ったら時間的には恐らくアウト。


基本職自体は一度全部見ているので手持ちのアイテムだけですんなり転職できるだろう。

レア職の場合は物を集めた後、さらに何かイベントが起こる可能性が有るから時間は余裕を見た方がいい。


「……」


さて、どうするか。



――――

JOBレベルが上がりました。一般市民のレベルは8です。

★転職しようクエストのリミット期限が発動中です。残り2ターンです。



1、???用(薬剤師?)にステを振って狼に挑む

2、???用(上位暗殺者?)にステを振って狼に挑む

3、狼を避けて他のレア職になるために先に進む(門番との戦闘を避ける)

4、狼が怖いので基本職になるべく分岐左へ戻る

5、時間は気にせずホームへ投げる武器を取りに行く

6、ステを振らずに狼に挑む


*1をえらぶと回避・命中を中心にステを振ります

*2をえらぶと筋力・命中を中心にステを振ります

指摘があったので注意書きを訂正。

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