6th 重大な要求 ハーレムを作れ……だと?
ベッドに仰向けで寝転がる年頃の王様。その王様を押し倒すような格好
で泥酔している第二姫。その光景を目の当たりにした一人のメイドさん。
この光景を見て感じる物は様々だろう。まず一つ目、何故か泥酔したお
姫様が欲情して年頃の王様を襲いに来た。
二つ目、俺が故意に酒を飲まし、お姫様に襲われると言うシュチュエー
ションを楽しんでいた。
三つ目、こう誤解されるのが一番厄介だ。――実はこの二人はもう、そ
ういう関係です。
メイドさんはクルリと回れ右をして――いや、左だったかな? んな事
どうでもいい。そのままスカートの端をつまんで物凄い勢いで駆けて行っ
た。イノシシか! イノシシなんですかあなたは!
「ヤバい! メア、どいてくれっ!」
メアは俺にしがみつき、
「嫌ー! ヨシカゲ様と一緒にいるんだー」
今度は甘えっ娘が発動したのか、この世界じゃいったいいくつからお酒
が飲めるようになるんだ……?
「メア! またお父様のお酒を持っていったな!」
身なりのキチッとした凛々(りり)しい男性が部屋に入って来た。誰だこいつ…
…
「失礼! 私は先代王(メアの父親)の三男でありメアの一つ上の兄である、
フランと言う者である。先々代王のご子息だとの事だが、私とは対等に接
してもらいたい」
姿勢を正し、キチッと深々と頭を下げると、ぐでんぐでんに酔っ払った
下着姿のメアを軽々と持ち上げ、部屋から出て行った。
とりあえず俺は顔を洗い、服を着替え――ベッドのシーツをはがしてお
いた。こうしておけば誰か替えてくれるだろ。
「王様ー!」
メイドさんが俺を呼びに来た。俺はシーツと着替えの用件を伝えた後、
メイドさんに言われた部屋へと向かった。
「お呼びですか?」
俺が入った部屋には護衛官が数人と先代王、さっきのフランとか言う男、
そしてもう一人――銀髪で前髪の長い男が座っていた。
「国王様!」
数人の護衛官が頭を下げ、その間を通ってその部屋の一番奥の椅子に座
った。……良いんだよね? ここしか空いてないし。
「ヨシカゲとか言ったな、俺の名はマーズ。リンの妹で長男だ」
マーズと名乗る銀髪の男は目は見せなかったが、口元に微笑を浮かべ、
「そこでだヨシカゲ、お前には一つ言っておかなければならない事がある」
マーズはフランと二人の父親と頷き合い、
「これまで俺が次期王だと決められており、俺は将来そうなると幼い頃か
ら言われ続けながら今日まで生きてきた」
前置きの長いやつだ。マーズは椅子にもたれ、
「ヨシカゲには次期王を決めてもらわなければならない。だがお前には後
継はいない――そこでだ。ヨシカゲ、お前には王妃と側室を数人決めても
らい、後継を用意してくれ」
待て、何だって? 王妃と側室? ――それってつまり、あれか。
「誰でも良い。ヨシカゲがその女性を深く心から愛せるのであれば、身分
違いの結婚も可能だ。極端な話、リンやメア、リーゼでも構わない。期間
は問わないが――早い方がいいだろう。先々代王――つまりお前の父親で
あり、俺らの父親の実兄はお前以外の人間を残さず亡くなってしまったか
らな」
なるほど、後継ね。そりゃごもっともだ。王様が独身じゃ、そこで血が
途切れちゃうからな……ってちょっと待て!
「えっと……? 簡単に言うと――」
マーズは口元に微笑を浮かべ、
「結婚相手を数人決めろって事だ。最低限一人、王妃は絶対だ。その中で
も一番愛する女性を王妃にしろ」
太ももと空だけ眺めて生活しようなんて考えてたのに……これはえらい
事になったぞ……