表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/18

4th 隠されたマントの内部

 あの後は結局、ゆっくりと王様の椅子に座る作業を続けていた。ボーッ

と見える空が青く()んでいた。鳥が何羽か飛んでいた。飛行機が一機飛ん

でいるのが見えた。……椅子に座っている俺にはこれくらいしかする事が

無いのだ。


「はぁ……誰か来ないかな」

「こちらに存在(そんざい)いたしますが」


 椅子(いす)の上からサナが顔を出した。――やっぱりお前は背後霊なのか!


「お昼過ぎに参りましたところ、お気を失っているとお聞きいたしました

ので、ずっと椅子の後ろで待っておりました」


 俺はふと疑問を抱いた。


「じゃあ何で今まで出てこなかったんだ?」

「それは……」

 サナはハッとした表情で口を(ぬぐ)った。寝てたなこいつ……



 サナは今日は黒いマントを羽織(はお)ったまま占いをした。今日はそれを脱が

ないのか? なんて変態チックな事を聞いたが、


「実はこの下は全裸――何も着ていないのです」


 と、返されてしまい――それ以上今日のコスチュームに関しては話して

くれなかった。


「それでは、失礼いたします」


 サナは立ち上がり、宮殿(きゅうでん)の階段を降りようと前に足を()み出した――(しゅん)

(かん)


「きゃっ!」


 下から()き上げるような突風が吹いた。ほら、高いところにいるとよく

ふく風だよ。

 サナのマントがめくれ、ふくらはぎから膝裏(ひざうら)、太ももが見え――


「!?」


 真ん丸な(ふく)らみが太ももの上に見えた。……待て、落ち着くんだ。こう

言う時はほくろの数を数え――


「……………」


 サナは無言で、振り返りもせず階段を下りて行った。マジなのか! マ

ジの全裸オブマントだったのか!

 俺は記憶に焼き付けなかった事に若干(じゃっかん)の後悔を感じ、ついでにその表現

のせいで昼過ぎの嫌な思い出を思い出してしまい、何となく憂鬱(ゆううつ)な気分で

椅子に座り直した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ