8th メアとの朝ご飯
俺が朝起きると、何やら柔らかい物が顔の前にあった。俺はそれをひょ
いと持ち上げ、よーく目を凝らして見てみたが――
「やだヨシカゲ様ったら、人の下着ジロジロ見て……」
やっと焦点が合った時には、もう俺はその薄い布地を放り投げていた。
何だって目が覚めてすぐに女の子が穿くものを触らなきゃならんのだ。
「ヨシカゲ様? お加減はどうですか?」
メアは可愛らしく笑顔を見せ、俺のそばまで来て添い寝した。
――リンさんほどお姉さんっぽさがあるわけでは無いけど、リーゼとか
サナを見た次の日だからか、少し大人っぽく見える。
「あら? 今日は叫んだり逃げないのね」
メアは残念そうに微笑み、俺の鼻の頭をツンツンと突っついた。――メ
アも割と可愛い。せっかくだから性的に危ない事をされない限り拒絶しな
いようにしようかな、と自分の中ではそう思っている。
「ヨシカゲ様♡ アーンしてください」
照れくさかったけど、俺は口を大きく開けた。だが、メアは小悪魔のよ
うに八重歯を見せ、
「開けるのはそっちじゃ無くてぇ……♡」
俺は理解した。何がアーンしろだ。――俺はベッドから起き上がり、朝
ご飯を食べるため、部屋を出た。
「冗談なのにぃ……純情さんなんだから……」
メアは、一緒に食べる! と言ってついてきた。たまには良いかな?
いつも孤食じゃ、美味いもんも美味しく感じる事が出来ない。
今日の朝ご飯もやはり美味かった。特に今日はメアが一緒にいるから、
久しぶりに会話をしながらご飯を食べられる。
「ヨシカゲ様……はい、あ~ん♡」
……まぁ、メアが食べさせてくれてるってのも、美味しく感じる一つの
要因なのかもしれないが。
「メア? 別に俺、一人で食べれるから――」
メアは八重歯を見せ、
「ヨシカゲ様はこの国の王様ですよ? 将来の妃が食べさせてあげるのも
スキンシップの一つですよ♡」
王妃になること前提か……
まあ、メアも結構可愛いし――何より汗がにじんだ褐色肌の脚が素晴ら
しい。――挟まれる事が出来ないのは残念だが、毎晩同じ布団にメアとリ
ンさんを両側に寝かせて……
「ヨシカゲ様! 何ボーッとしてるんですか」
妄想の世界から帰還すると、口の前にご飯の乗ったスプーンが突き出さ
れていた。――本当、食生活も含めて日本そっくりで住みやすい。
「ヨシカゲ様は、誰を王妃にするつもりなんですか?」
直球な質問に、俺は今口に含んだばかりの白米を吹き出すところだった。
「え? 誰って……?」
メアは自分の分を食べながら、
「リーゼとも色々やってるみたいですし、サナと抱き合っていたって話も
聞きますし、一応私も知っておきたいな~……なんて思いまして
」
メアは八重歯を見せ、
「それとも私ですか? 私ならいつでもオッケーです。こっそりお部屋に
呼んでくだされば――」
メアは耳元に口を寄せ、
「精一杯のサービスをいたしますよ? 未来の旦那様……♡」
可愛い――リーゼよりは大人っぽく、リンさんをちょっと幼くしたよう
な感じの見た目。別にそういう事をするわけじゃ無くても、夜一緒に添い
寝してもらえたらどれだけ……
「うっ!?」
思わず声が漏れた。――何故って? メアが今突然、俺の膝の上に頭を
乗せて来たんだ。ついでに言うと、俺は今――リーゼとメアが言うところ
の「にゃぉ~ん」になっていて……
「かたいですよ?」
メアのゾクッとするような声に俺は身体が震えた。そんな俺を見て、メ
アはクスりと笑い、
「表情が」
と、付け足した。