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~身の周りの世界~

読者の皆さん、大変遅くなりました。 申し訳ありませんでした。 

弁解するつもりはございません、完全に私の落ち度ですので。

次は今回より早く投稿いたします。



前回のお話は少々付け足しを行っております。 読まなくともあまり問題はありませんが……。

 ようやく3歳になり、言葉も日常会話なら普通にこなせるようになった。 だいぶ前に判明していたが、良樹の新たな名前はディナン。 この世界では、別に平民でも苗字はあるようでシルバートだった。


 つまり、佐藤良樹改め、ディナン・シルバートになったということだ。 ちなみに母親はメイシア・シルバート、父親はゴルディア・シルバート。


 ここで両親の容姿だが、母親は金髪で腰まで髪を長くしている。 エメラルドのような瞳は常に微笑みを絶やさない。 父親は茶髪をさっぱりとカットしている。 同じく茶色の双眸は鋭い。


 さて、今ディナンはまだ手の空いている時間帯を利用し、母親に絵本を読んでもらっている。 あらすじとしては魔法使いが邪悪な龍を倒しておしまいな感じのものだ。


「ディナンはこのお話が好きねぇ」


 母親が読み終わった本を本棚に戻して、ディナンの顔を覗き込む。


「うん! 大好き!」(特に魔法の部分に興味があるのだが)


 努めて子供のように振る舞いながら答える。 さすがに3歳児が大人の対応を取ったら……微笑ましいものでしかないが、ずっと続けていれば何か憑いているのではと思いたくなる。


 さて、絵本からの情報でも分かる通り、この世界には魔法が存在する。 つまり、前世の世界での『剣と魔法の世界』というわけだ。


 よくディナンも暇つぶしにそっち系の小説や、漫画を読んだことがあるのですんなり飲み込めた。 こちらの世界も御多分に漏れず、機械などはない。 まぁ、魔法で事足りるからであろう。 しかもエコで環境に優しい。


 次に両親が営んでいる料理店(店名は『三本の小麦亭』、うまい料理と酒が出るとそこそこ有名)、たまにディナンも手伝っているのだが、何とも多種多様の人種がやってくる。 人族が一番多いが、獣人族、エルフ族、ドワーフ族がたまにやってくる。 物珍しくてディナンが寄っていくと頭を撫でてくれたり、ちょっとした小話をしてくれている。


 その小話の中でよく出てくるのは、魔獣、魔物といったものだ。 魔獣は『魔』に落ちた獣、魔物は『魔』から生まれた生き物のことを指す。 どうやら強さのランクもあるようだ。


 さっき出てきた『魔』だが、一種のパワースポット的なものらしい。 良いものもあれば、悪いものもあり、悪いもので魔に憑かれた獣を魔獣、そこから生まれた生き物を魔物と言う。 一見して区別は付き、原型が獣の物が魔獣、よく分からないものが魔物だ。


 ディナンがちょこちょこ聞いてきた話を総括するとこのような内容のものだ。 ディナンはこの世界を見てみたいと思っており、期待に胸を膨らませていた。


 さて、もうそろそろお昼の時間帯だ。 ディナンは軽く昼食を済ませ、遊びに出かけた。 ちなみに両親の店は昼時間(約12時から16時まで)と夜時間(約18時から24時まで)の二つの時間でやっている。 今からは昼時間だ。


「さて、今日は何をしようかな」


 ディナンは今、村から北に行った森の中にいる。 奥まで行かなければ魔物や、魔獣がおらず、安全に遊べる場所だ。 大概、村の子供たちは入り口付近の広場が遊び場所である。 だが、ディナンは見た目は3歳児、中身は30歳のおっさんである。 子供たちとの仲は良いのだがどうしても馴染めず、たまに一人でちょっと奥の方に行って図鑑で見た薬草や、木の実、動物たちの観察をして知識を深めていた。


「今日はいつもより奥の方に行くか」


 森歩きも慣れてきたし、この辺りの動植物は網羅したと言ってもいいだろう。 そう思い、いつもの所よりさらに奥の方まで足を踏み入れた。 


 ガサガサと下草を掻き分けつつ、奥の方に進んでいく。 すると、ちょっとした池にたどり着いた。


「こんなところに池があったんだ」


 大きさとしては縦約10㍍、横約5㍍の楕円形。 結構深いようで底が見えない。 しかも、どこから水が流入されているか分からない。 どうやらこの池は水が底から湧いているようだ。


「きれいな水だなぁ。 これなら飲めるんじゃないか?」


 ディナンは手に水を掬って飲んでみた。


「ぷはぁ、冷えててうまい!」


 ディナンは近場にあった岩に座って、休憩を取る。 3歳の体だとここに来るまでに相当の体力を使ったようだ。


 森林浴をしていると後ろの方でガサリと音がした。 ディナンが勢いよく振り返ると『三本の小麦亭』によく来るハンターだった。


「ありゃあ、獲物かと思ったら飯屋の坊主じゃねえか。 こんなとこで何してんだ?」


 髭もじゃの強面で熊のような体躯をしているが、心優しく趣味は家庭菜園というギャップを持っている御仁であるバルム。 最近、寒い地方でも力強く育ち、味もいいと言う『ポッテ』の苗を植えたと嬉しそうに話していた。


「ちょっと奥に探検に! 疲れちゃったからここで休憩してたの!」


 ぴょんと岩から飛び降りてバルムの前に近寄って行く。


 バルムはその大きな体でしゃがみ込み、ディナンと視線の高さを合わせる。 


「そうかぁ、でもなここはまだ大丈夫だけど、もうちょっと行くと魔物や魔獣が出てくるエリアに入るんだ。 ここだって凶暴な動物が来るかもしれない。 もし出てきたらあぶないよ」


 バルムは窘めつつディナンの頭を撫でてて、その太い腕にひょいと乗せた。


「さぁ、バルムおじさんと一緒に森を出ようか」



☆★☆★☆★☆★☆★



 バルムに連れられ、森の入り口まで来た。 ディナンはそこで降ろされた。


「さて坊主、もう森の奥に行くんじゃないぞ。 さ、みんなと一緒に遊んで来い」


 ディナンを一撫でして、バルムはまた森に入って行った。 いつものごとく森の見回りと、狩り、あれば薬草やら山菜やらを採って来るそうだ。


「……見つかっちゃったか。 珍しい物でも見つかるかと思ったのだが」


(次はもうちょっと気を付けて気配を察知できるようにならないとな)


 ディナンは少々残念そうな顔をして、苦手だが他の子供たちがいる森の広場へ歩いて行った。 今日は何して遊ぼうか。

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