第3部 第19話 星図都市の凱旋
オルビタが星図都市への航路に入ると、都市全体が光で満ちた。
浮遊塔の先端が輝き、星図が大きく更新される。
胸の奥で環がゆっくり回り、鼓動が落ち着いていく。
(帰ってきた……)
セリーヌが隣で微笑む。「おかえりなさい」
その声に、張り詰めていた何かがようやくほどけた。
(守りきった。皆、生きている)
甲板に倒れている仲間たちの顔を見回す。
疲労はあるが、誰も欠けていない。
胸の奥が熱くなり、思わず拳を握った。
港に着くと、都市の人々が広場を埋め尽くしていた。
子どもたちが花を振り、大人たちが星の形の灯火を掲げる。
「渦が……星になった!」
「星図が救われたぞ!」
歓声が嵐のように広がり、甲板に響き渡った。
(あの日追放された俺が、今は都市に迎えられている)
喉の奥が熱くなる。
涙が滲むのをこらえきれず、頬を伝った。
夜になると、都市の広場に巨大な星図が投影された。
新たに生まれた星が中央で輝き、航路が黄金色に広がる。
リアン=ヴァルドが中央に立ち、声を張った。
「星の法は証明された。渦は敵ではない、未来を育む土台だ!」
人々が歓声を上げ、歌の民が星の歌を響かせた。
(都市が……生き返っていく)
胸の奥で環がゆっくりと回り、心臓の拍と同じリズムになった。
(これが、俺が望んでいた未来だ)
ガルドが肩を叩く。「やったな、リュシアン」
セリーヌがそっと手を握る。「本当に……お疲れ様でした」
エファが笑った。「星渡り全員の歴史に、あなたの名が刻まれましたね」
(嬉しい。でも……まだ終わりじゃない)
遠くの星図の端に、かすかな黒い点が残っている。
(次は、あれを確かめに行く)
広場の中央で人々が輪になり、夜通し踊り続けた。
星図都市全体が一つの大きな楽器のように響き、星々が拍に合わせて瞬く。
空を見上げると、新しい星が今まで以上に明るく輝いていた。
(次は、この星を育てる時代だ)
胸の奥で環が穏やかに回り続けていた。




