表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された宮廷魔術師、辺境で無双した末に星々を導く者となる  作者: マルコ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

72/133

第3部 第17話 影の第二波

 航路の先、黒い波が再び立ち上がった。

 今度は一本ではない。複数の渦が同時に開き、影が無数の触手のように伸びてくる。


「全艦、再編成! 防御陣形!」


 星路の号令で艦隊が三列に分かれ、オルビタが先頭に出る。


(数が多すぎる……!)


 胸の奥で環が速く回り、鼓動が喉にせり上がる。


(でも、止まれない)


 リュシアンは舵輪を握り、艦を前へ押し出した。


 影が一斉に襲いかかり、艦隊の帆を掴む。

 光の弾幕が影を焼き、歌の民の旋律が航路全体を震わせる。


 しかし、数が減らない。次々と新しい渦が開き、影が生まれる。


(間に合わない……!)


 掌が汗で滑り、舵輪を握り直す。


「セリーヌ、旋律を強めろ! ガルド、右舷を守れ!」


 声は震えていたが、仲間たちは迷わず動いた。


 突然、左舷を覆う影が甲板に飛び乗り、歌の民の一人を弾き飛ばした。


「――っ!」


 リュシアンが駆け寄ると、彼の胸に黒い痣が広がっている。


「まだ助かる!」

 セリーヌが必死に旋律を合わせ、痣を薄めていく。


(これ以上、誰も失わせない)


 胸の奥で環が激しく鳴り、光が強まる。


「退けえええ!」


 リュシアンは掌から全力の光を吐き、影を吹き飛ばした。


 しかし他の艦が二隻、影に取り込まれ航路から外れた。


 星路の声が通信越しに響く。「被害艦、航路から脱落! 残存戦力八割!」


(守りきれなかった……俺が舵を切るのが遅れたせいで)


 胸が締め付けられる。だが、セリーヌが肩に手を置いた。


「今は悔やまないで。まだ守るべきものがある」


 リュシアンは舵輪を切り、オルビタを渦の中心に突っ込ませた。


「全艦、拍を合わせろ! 奪われる前に満たす!」


 掌から放たれた光が青から金色に変わり、渦の中心を満たしていく。


(まだだ……もっと、もっと光を!)


 腕が震え、胸が焼けるように熱い。

 だが、光はさらに強くなり、影が一斉に後退した。


 渦が静まり、影が霧のように散った。

 航路に再び光が戻り、艦隊が息をつく。


「……持ちこたえたな」


 ガルドが剣を肩に担ぎ、深く息を吐いた。


(勝った……でも、代償は大きい)


 漂流している損傷艦を見て、胸が痛む。


(必ず、連れ戻す。失った意味は取り戻す)


 航路の最奥で、ひときわ巨大な影の核が脈動した。

 今までの影とは比べ物にならない濃さと質量を持っている。


「次が本命だな」


 リュシアンは舵輪を握り直した。


(ここで決める。次が最後の戦いだ)

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ