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追放された宮廷魔術師、辺境で無双した末に星々を導く者となる  作者: マルコ


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第3部 第16話 星嵐の幕開け

 東の空が白むと同時に、艦隊は渦星の軌道に乗った。

 星図の空に広がる光の航路が、矢のように一直線に伸びている。


 リュシアンは舵輪に手をかけ、胸の奥の環を回す。


(ここから先は、誰も行ったことのない領域だ)


 鼓動が速くなるが、足は揺るがない。


(怖い。でも、それ以上に心が燃えている)


 セリーヌが隣に立ち、短く頷く。


「行きましょう」


 その声で、喉の奥の震えが消えた。


 航路の先に、黒い波が現れた。

 無数の影がうねり、門の形に似た巨大な渦がゆっくりと開き始めている。


「全艦、迎撃態勢!」


 星路の号令と同時に、艦隊の帆が一斉に光った。


 機械仕掛けの門渡りが最初の光弾を放ち、影の先頭を弾き飛ばす。

 歌の民が旋律を高め、航路全体が共鳴する。


 だが、影は怯まず押し寄せてきた。甲板の縁に黒い腕が伸び、意味を奪う波が襲う。


(あの日の渦と同じだ……いや、それ以上だ)


 背中が凍るように冷たくなる。

 しかし、胸の奥の環が強く鳴り、心臓の拍を整えた。


(逃げない。これを超えれば、星の未来が確定する)


 リュシアンは掌を掲げ、光を吐いた。

 青白い波が甲板を覆い、影を押し返す。


 セリーヌが旋律を合わせ、ガルドが剣で影の腕を切り払った。


(俺一人じゃない。皆がいる。呼吸も、拍も、重なってる)


 胸の奥で環がさらに速く回り、光が強くなった。


 巨大な影の核が咆哮し、周囲の航路が一瞬消失した。

 音も光も奪われ、艦隊が一斉に沈黙に包まれる。


「……っ!」


 セリーヌの旋律が途切れ、甲板の楽譜が消えかけた。


(ここで止まったら、全部呑まれる)


 喉が詰まる。だが、リュシアンは胸の奥の環を回した。


(奪わせない。奪う前に満たす!)


 掌から溢れた光が青から黄金へと変わり、影の波を照らす。

 失われかけた旋律が戻り、艦隊全体に再び音が響いた。


(これだ……! 恐怖を抱えたまま、前へ進む感覚)


 全身に力が満ちる。


「全艦、前進!」


 オルビタが先陣を切り、艦隊が突撃した。


 影の前衛が崩れ、黒い波が後退する。

 渦の門が一瞬閉じかけたが、奥からさらに大きな脈動が響いた。


「まだ終わっていない……!」


(これが“第一波”なら、次はもっと大きい)


 胸の奥の環が静かに回り続ける。


(ここからが本当の決戦だ)


 遠方で巨大な影の核が再び光り、今度は門の奥から複数の渦が同時に開いた。


「第二波が来るぞ!」


 オルビタの帆がひときわ強く光り、艦隊が再編成に入る。


(絶対に突破する……この先に、未来がある)

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