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追放された宮廷魔術師、辺境で無双した末に星々を導く者となる  作者: マルコ


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第3部 第12話 影の残響

 星図会議が終わり、夜の星図都市は静かだった。

 広場では灯火がまだ揺れているが、昼間のような熱気はもうない。


 リュシアンは港の欄干に肘をつき、深く息を吐いた。


(終わった……いや、始まったんだ)


 胸の奥で環がゆっくりと回り、鼓動が少しずつ落ち着いていく。


 肩が重い。

 言葉だけで戦った一日分の疲れがどっと押し寄せてきた。


(でも、やり切った……星の法は始まった)


 目を閉じると、渦の心臓で聞いたあの声がまだ耳奥に残っていた。


 セリーヌが隣に立ち、夜空を見上げる。


「皆、笑っていましたね」


「ああ。でも――」


 リュシアンは言葉を切った。


「でも、まだ終わってない。封印派の何人かが席を立った」


「……次は対話だけでは済まないかもしれませんね」


 胸の奥がざわめく。

 星の光は穏やかだが、その端に黒い影がほんの一瞬走った気がした。


(渦は変わった。だが、影が完全に消えたわけじゃない)


 その夜、星図都市の片隅。

 封印派の一部が集まり、低い声で話していた。


「奴は渦を星に変えた。だが、それで何が変わる?」

「いずれ渦は再び膨張する。次はもっと大きく、もっと深くなる」

「その前に――彼を止めるべきだ」


 暗闇の奥で、冷たい光が一瞬閃いた。


 同じころ、港で眠っていたリュシアンは目を開けた。

 胸の奥で環が急に震え、目の前の夜がざらついた。


(何かが動いている……)


 杖を握り、周囲を見渡す。

 だが港は静かで、ただ星の光が降り注いでいるだけだった。


 翌朝、評議会から正式な伝令が届く。


「次の観測航路で、渦が完全に安定しているかを確認してほしい。

 同時に、封印派の動きにも注意せよ」


 リュシアンは頷いた。


「分かった。必ず確かめる。もう後戻りはしない」


(もう、選び直す時間はない。

 進むしかない。影が何を企んでいようと)


 胸の奥の環が強く鳴り、再び安定した。


 オルビタの甲板に仲間たちが集まる。

 ガルドが剣を担ぎ、笑った。


「次も厄介そうだな」


「厄介じゃない戦いなんて、もうないさ」


 セリーヌが旋律を合わせ、帆に新しい紋が浮かび上がった。


 星図が再び更新され、渦の星を中心に広がる航路が輝いた。

 だが、その端に小さな黒点が現れ、じわりと広がり始めていた。


(次は……あれを止める)


 リュシアンは舵輪を握りしめた。

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