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追放された宮廷魔術師、辺境で無双した末に星々を導く者となる  作者: マルコ


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第3部 第11話 星々の会議

 星図都市の中央広場に、かつてない規模の星図が展開された。

 光の幕が天蓋となり、各世界の門渡りたちが輪状に座する。

 氷の世界、砂漠の世界、機械仕掛けの世界、歌の民――そして、渦の星。


 リュシアンは円の中心に立ち、胸の奥で環を回した。

 心臓の拍と星図の鼓動が重なり、全員の視線が集まる。


(皆が見ている……)


 掌がじっとりと汗ばむ。

 少しでも言葉を間違えれば、この場の結論は「封印」になるかもしれない。


(怖い。でも、逃げない)


 深呼吸し、心臓の拍に合わせて呼吸を整える。


 氷の長老が口火を切る。「渦は危険だ。再び膨張する可能性がある以上、封印を続けるべきだ」


 砂漠の王が机を叩く。「滅却こそ最善策。二度と災厄を呼ばぬために」


 歌の民の巫女が反論する。「渦は星になった。未来を生む種を封じてはならない」


 会場がざわめき、魔力が弾ける音がした。


(皆が正しい。どれも間違いじゃない)


 胸の奥で環がゆっくりと回り、呼吸が落ち着いていく。


(だからこそ、俺が選ばなきゃいけない)


 静かに一歩前へ出る。


「封じるでも、滅ぼすでもない。

 渦を“変える”道を、俺たちは見つけた」


 ざわめきが一瞬止まる。


(ここからが本番だ)


 喉が渇く。だが、言葉は止まらなかった。


「奪われる前に、与える。

 名付ける前の温度で、渦を満たす。

 そうすれば渦は、奪う存在ではなく、星として意味を灯す」


 機械仕掛けの門渡りが問いかける。「成功は一度だけだ。次も同じ結果になる保証は?」


「保証はない。でも、放置しても封印しても、いつかもっと大きな渦が来る。

 なら――変え続けるしかない」


(これは戦いだ。剣も魔法もない、言葉だけの戦い)


 胸の奥で環が強く鳴り、星図全体に淡い光が走った。


「提案する。

 渦を封じる代わりに、星々の誓約に基づき“変容の儀”を星の法として定める。

 奪われた意味を取り戻す術を、全世界に共有する」


 光の幕が震え、星図の中心に新しい円環が描かれた。


 全員が沈黙した。

 その沈黙は拒絶ではなく、深い考慮の時間だった。


(頼む……受け入れてくれ)


 拳を握り、待つ。


 リアン=ヴァルドが立ち上がる。「評議会は――この提案を暫定採択する。

 今後一年間、渦を変える儀式を正式な試験運用とし、成果を観測する」


 会場がざわめき、次第に拍手に変わっていった。


(やった……道が開いた)


 胸の奥の環が静かに回り、光が穏やかに広がった。


 だが、会場の片隅で一人の影が動いた。

 封印派の一部が席を立ち、無言で退場していく。


(……まだ、終わっていない)


 リュシアンは目を細め、拳を握った。

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