表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
追放された宮廷魔術師、辺境で無双した末に星々を導く者となる  作者: マルコ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

60/133

第3部 第5話 星図会議

 星図都市の港にオルビタが着床すると、広場に人々が集まっていた。

 封印派との試練を突破したという報せは既に届いていたのだろう。

 リアン=ヴァルドが一歩進み出て、リュシアンを見据える。


「戻ったか。顔つきが変わったな」


「影を抱いた。もう、迷わない」


 短い会話だけで、互いの立場が分かった。


 星図都市の中央、巨大な円形議場。

 壁一面が星図で覆われ、今この瞬間も無数の航路が書き換えられている。


 氷の世界の長老、砂漠の王、歌の民の巫女、機械仕掛けの門渡り――

 各世界の代表が次々と席についた。


「議題は一つ」リアンが告げる。「渦への対応。封印か、滅却か、あるいは――」


 会場の視線がリュシアンへ向けられた。


 心臓が速く打つ。

 胸の奥で環が回り、拍がゆっくりと落ち着いていく。


(ここで間違えれば、俺だけじゃない。

 街も、大樹も、すべて巻き込む)


 拳を握り、深呼吸する。


「渦は封印すべきだ!」氷の長老が声を上げる。

「滅ぼすべきだ!」砂漠の王が机を叩く。

「渦は未来の種だ、守るべきだ!」歌の民の巫女が反論する。


 議場に怒声が飛び交い、魔力が弾ける音がした。


(どちらも正しい。でも、どちらかだけでは足りない)


 リュシアンは目を閉じた。

 胸の奥で陰影の環が回る。怒りも迷いも、呼吸とともに沈んでいく。


 ゆっくりと立ち上がる。


「滅ぼしもしない、封じもしない。

 渦を変える。奪う力を奪わず、意味を満たす形に変える!」


 議場が一斉に静まり返る。


「可能なのか?」

「渦を“生かす”だと?」


「前例がないなら、俺が作る!」


 声が星図に響き、壁の星々が一瞬明滅した。


(ここで退けば、何も変わらない)


 胸の奥の環が強く鳴り、黒と白の輪が広がって議場を照らす。


「俺は創って終わらせない。繋いで放り出さない。

 この場で誓う。渦を救い、世界を救う!」


 機械仕掛けの門渡りが口を開く。


「ならば証明せよ。渦の心臓に潜り、結果を持ち帰れ。

 失敗すれば、全世界の総意で封印を行う」


「上等だ」

 リュシアンは頷いた。


(もし失敗すれば、あの大樹も街も消える……)


 胃が締め付けられるように痛む。

 セリーヌがそっと肩に手を置いた。


「一緒に行きます。あなたが選ぶなら、私も選ぶ」


 その笑顔に、不安がゆっくりと溶けていった。


 評議会は決を取り、各世界から支援者を出すことを決定した。

 星舟が次々と港に集まり、艦隊が編成されていく。


 オルビタの帆に新しい楽譜が刻まれ、甲板が光を帯びた。


 夜、リュシアンは一人で甲板に座り、星空を見上げた。

 遠くに見える渦が、黒い花のように揺れている。


(次で決める。負ければ終わる。勝てば未来が始まる)


 拳を握り、胸の拍を確かめた。


 夜明け、艦隊が一斉に帆を張る。

 星図都市の空が光で満ち、航路が描かれる。


「行こう。渦の心臓へ!」


 星々の光がひときわ強く輝いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ