第2部 第38話 芽を守る戦い
夜明けとともに、光る芽が一気に伸びた。
昨日は人の膝ほどだった茎が、今は背丈を超えている。
「成長が早い……!」
セリーヌが目を見開く。
そのとき、空が急に曇り、冷たい風が吹き抜けた。
芽の根元に黒い染みが広がり始めた。
まるで影が大地を侵食しているかのようだった。
「来たな……!」
リュシアンは杖を構え、仲間に声をかける。
「全員、芽を囲め! 影を近づけるな!」
(今までの戦いと違う……
これは攻めるんじゃなく、守る戦いだ)
胸が重くなる。
負ければ芽が枯れ、この世界の未来も失われる。
(絶対に守る。どんな犠牲を払っても)
地面から影の手が伸び、芽に絡みつこうとする。
リュシアンが雷を走らせ、セリーヌが氷で封じる。
「《雷槍・連撃》!」「《氷鎖》!」
外界の戦士たちが剣で影を断ち、羽の民が空から矢を降らせた。
(俺一人じゃない。
皆がこの芽を守っている)
胸が熱くなる。
この戦いは一人の戦いではなく、世界全体の戦いだった。
影が一斉に膨張し、芽を飲み込もうとする。
「くそっ……間に合わない!」
その瞬間、芽から光が放たれた。
光が結界のように広がり、影を押し返していく。
(芽自身が……戦ってる?)
胸の奥で「創造の環」が共鳴する。
「分かった。俺も力を貸す!」
杖を突き立て、全魔力を芽に注ぎ込む。
光が爆ぜ、影が霧のように消えた。
空が晴れ、芽がさらに伸びて蕾をつけた。
「守り切った……!」
人々が歓声を上げ、疲労と安堵が一気に押し寄せた。
(これで一歩前進した。
でも、次はもっと大きな試練が来る)
芽の蕾が淡く光り、風に揺れた。
「次は、この蕾を咲かせる番だ」
リュシアンは杖を握り直し、仲間たちに微笑んだ。
「今度は咲かせるために、街全体で準備をしよう」




