第2部 第34話 核心の門
門をくぐった瞬間、周囲の景色が完全に消えた。
上下も左右もなく、ただ無限に広がる星と闇。
その中央に、巨大な樹のような光の柱が立っていた。
「これが……世界の根?」
セリーヌが息を呑む。
柱から声が響いた。
《ようやく来たか、門渡りの者よ》
(声が……世界そのものに響いている)
胸が締め付けられる。
目の前にあるのは、今まで出会ったどの存在よりも古く、深い気配だった。
《この世界は何度も創られ、何度も滅んだ。
お前は、最後の循環を選ぶ者》
星々が瞬き、過去の世界の記憶が流れ込む。
無数の文明が生まれ、栄え、そして滅んでいった映像が見えた。
(俺は……その最後の担い手なのか)
心が重くなる。
だが、逃げる気は不思議と湧かなかった。
(選ぶために、ここまで来たんだ)
《創るか、終わらせるか》
再び二択が突きつけられる。
だが今度は、リュシアンは迷わなかった。
「創る。
でも、終わりを恐れず、変わり続ける世界を創る」
胸の奥で炎が燃え広がる。
恐怖も迷いも、すべて燃やし尽くすように。
(これが、俺の答えだ)
《選択、承認》
光の柱が強く輝き、枝葉のような光が世界中へ広がった。
その瞬間、王都、外界、浮島すべての空が光に包まれた。
「……世界が応えている」
セリーヌが涙を流し、仲間たちも空を見上げた。
(ここまで来た……
でも、これで終わりじゃない。
今からが本当の始まりだ)
深く息を吐き、光の柱に手を触れた。
柱の根元に、新しい門が現れる。
これまでのどれよりも柔らかい光を放つ門。
《最後の門だ。その先で、新しい世界を描け》
「行こう、みんな」
リュシアンが振り返ると、全員が頷いた。
光の道が再び開き、未来へ続いていた。




