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追放された宮廷魔術師、辺境で無双した末に星々を導く者となる  作者: マルコ


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第2部 第32話 門の向こうへ

 夜明けとともに、広場の中央に立つ新しい門が再び光を放った。

 リュシアンは深呼吸し、仲間たちと目を合わせる。


「行こう。次の世界だ」


 門をくぐる瞬間、体が軽くなり、視界が一気に白で満たされた。


 光が収まると、そこは広大な湖の上だった。

 足元には透明な水面が広がり、空は群青色で星々が近い。

 まるで空と水がひとつになった世界。


「……綺麗」


 セリーヌが思わず声を漏らす。

 だが次の瞬間、水面が大きく波打った。


 湖の中央から、巨大な人影のようなものが現れた。

 水でできた体、星を宿した瞳。

 その存在が低い声で語りかける。


《門渡りの者よ。ここは“始まりの湖”。すべての世界が交わる場所》


 胸が熱くなる。

 ここが、世界と世界の境界なのか。


(ここで選んだことが、すべての世界に影響する……)


 体が震える。

 怖さもあるが、それ以上に胸が高鳴っていた。


(でも、ここまで来たんだ。選び続けるって決めたじゃないか)


《湖はお前の記憶を試す。過去を受け入れられぬなら、ここで沈む》


 次の瞬間、湖面が鏡のように変わり、過去の自分が映し出された。

 追放の日、絶望した顔、復讐に囚われた時の自分。


「……これが俺か」


 胸が痛む。

 だが、逃げずに鏡に手を伸ばす。


「ありがとう。あの日があったから、今の俺がいる」


 その瞬間、湖面が光り、映像が溶けて消えた。


 セリーヌ、ガルド、羽の長もそれぞれの記憶を映し、乗り越えていく。

 全員の記憶が光に変わり、湖全体が輝いた。


《認めよう。お前たちは過去を抱き、未来を歩む者》


 湖の中央に光の道が現れ、先へ続いている。


「行こう、リュシアン様」


 セリーヌが微笑み、仲間たちが頷く。


(次はこの湖の先で、何を選ぶのか)


 胸の奥に再び熱が灯り、リュシアンは一歩踏み出した。

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