第2部 第30話 大広場の夜
浮島の中央に、巨大な円形広場が完成した。
中央には原初の民の祈りの柱が立ち、周囲には王都の石畳と外界の木材が組み合わさった舗装。
空には光の民が浮かび、灯りを降らせている。
「……できたんだな」
リュシアンは広場の中心に立ち、深く息を吐いた。
王都の人々、外界の戦士、羽の民、原初の民、光の民――
すべての種族が広場に集まっていた。
子どもたちが走り回り、露店が並び、音楽が鳴り始める。
まるで世界全体がひとつの村になったかのようだった。
(追放されたあの日、俺は居場所を失った。
でも今は、こんなにも多くの居場所がある)
胸が熱くなる。
涙がにじむのを隠さなかった。
祭りが始まり、焚き火が焚かれた。
原初の民が古い歌を歌い、王都の楽師が旋律を重ね、羽の民が空を舞った。
「リュシアン様、踊りましょう!」
セリーヌに手を引かれ、広場の中央で踊る。
笑い声が夜空に響いた。
(この瞬間を守るために、俺は戦ったんだ)
胸の奥がじんわりと温かくなる。
だが同時に、遠い不安が影を落とした。
(これが永遠じゃないことも、知っている)
祭りの終わり、空に一筋の光が走った。
それは星ではなく、何かが落ちてくる光だった。
「……隕石?」
いや、違う。光はゆっくりと降り、広場の外れに着地した。
着地点に行くと、そこには見知らぬ人物が倒れていた。
人間のようで、人間ではない。
体は半透明で、内部に星々が瞬いている。
「生きてる……?」
その人物がかすかに目を開き、言った。
「……門渡りの者、次の扉が……」
そのまま気を失った。
(終わりじゃない。
まだ世界は次を求めている)
リュシアンは拳を握り、空を見上げた。
「分かった。次の扉も、開けるさ」
夜空の星がひときわ強く輝いた。




