第2部 第21話 共創の時代・序章
門を抜けた瞬間、まばゆい光が目を刺した。
目が慣れると、そこには見たこともない風景が広がっていた。
空は淡い黄金色で、雲がゆっくりと螺旋を描いている。
地平線まで続く草原の上に、透明な川が流れ、遠くに巨大な浮島が浮かんでいた。
「ここが……新しい世界」
セリーヌが深呼吸する。
空気が甘く、心臓の鼓動が早まる。
(ここからが、本当の始まりだ)
門から次々と仲間たちが現れ、景色を見回す。
「こんな空気、吸ったことがない!」
「見ろ、あの島……空を飛んでやがるぞ!」
王都の人々と外界の民が、同じ景色を見て同じ驚きを共有していた。
この光景がすでに、世界を一つにしているように思えた。
(これが俺たちの選んだ未来……
でも、この世界をどう作るかは、まだ決まっていない)
胸の奥に喜びと同時に重さが広がる。
誰も答えを知らない場所だからこそ、自由と同じだけの責任がある。
「リュシアン様」
セリーヌが真剣な目で見つめてきた。
「ここに街を作りますか? それとも、旅を続けますか?」
人々の視線が一斉に集まる。
その期待と不安の混ざった目が、胸に刺さる。
(また選択か……でも、今度は俺一人の選択じゃない)
深呼吸し、言葉を選ぶ。
「まずは旅を続けよう。
この世界のすべてを知ってから、最初の街を作る」
広場にざわめきが走るが、やがて同意の声が上がった。
胸の奥が熱くなる。
これは戦いの熱ではない。
未来を描くための熱だ。
(俺は、門渡りの者。
今度は“作る者”として進む)
人々が荷をまとめ、探索隊が結成される。
王都から来た学者、外界の民の戦士、光の民の案内者が加わった。
「これなら、この世界を一緒に歩ける」
セリーヌが微笑み、杖を握る。
草原の風が吹き抜け、空の浮島がゆっくりと移動した。
「行こう。
この世界に、最初の物語を刻もう」
リュシアンの声に、皆が頷く。
その瞬間、世界が少しだけ輝いたように見えた。




