第2部 第14話 星々の向こうから
その夜、王都の空が突然明るくなった。
星々が一斉に瞬き、光の筋が天を走る。
「流星群……じゃない」
セリーヌが目を見開く。
光は一定の間隔で並び、まるで文字のように並んでいた。
《門渡りの者よ、次の門を開け》
頭の奥に声が響く。
星々の声ではない。もっと遠く、もっと深い響き。
(また、呼ばれている)
胸が高鳴る。
だが前回と違い、今は恐怖よりも期待が勝っていた。
(行かなきゃ……これが、俺の道だ)
広場に出ると、人々も空を見上げていた。
外界の民も同じ空を見て、ざわめいている。
「みんな、同じ声を聞いているのか?」
「はい」とセリーヌが答えた。
「この声は、世界全体に響いています」
王城に呼ばれると、王はすでに決断していた。
「リュシアン、再び旅立て。
今度は王都だけでなく、この世界全体を代表して行け」
その言葉に胸が重くなる。
だが同時に、誇りも感じた。
「任せてください。必ず、帰ってきます」
旅の仲間を集め、必要な物資を整える。
外界の民から新しい護符が贈られ、王都からは祝福の灯火が渡された。
「今度は、誰も置いていかない」
リュシアンの言葉に、仲間たちが頷く。
以前の旅とは違う。
今度は世界が背中を押してくれている。
夜、塔の上で星空を見上げる。
(あの光の先には、何が待っている?
脅威か、それとも救いか)
胸の奥がざわめく。
だが、もう迷わなかった。
「行こう。俺は門渡りの者だ」
その声に応えるように、空の光が強く輝いた。
夜明けと同時に、光の門が再び現れた。
今までよりも大きく、遠くまで続いている。
「次は……星々のさらに外だ」
セリーヌが微笑み、頷く。
「行きましょう、リュシアン様。
世界の地図を、もう一度描きに」
門が開き、風が吹いた。
新しい旅が、再び始まろうとしていた。




