第2部 第5話 未来の門
星の橋を進むと、やがて正面に巨大な光の扉が現れた。
扉には無数の紋様が刻まれ、それぞれが淡く光っている。
近づくたび、胸の奥がざわめく。
《第二門。お前の未来を映す》
声が響いた瞬間、扉の中央が開き、光があふれ出した。
目の前に広がったのは、見知らぬ王都だった。
空には飛行船、街路は石畳ではなく光る道、見たこともない術式で動く建物。
「……未来の王都か?」
だが次の瞬間、光景が一変する。
瓦礫と灰。崩れた塔。
かつて救った街が再び滅びている。
《お前が選ぶ未来だ》
背筋が冷たくなる。
(選ぶ未来……?)
目の前に二つの道が現れる。
一つは平和で賑わう王都、もう一つは廃墟の王都。
だがどちらの道にも、自分の影が立っている。
《平和を選べば、停滞する。
廃墟を選べば、変革が訪れる》
(どっちも正解じゃない……)
手が震える。
未来はまだ形になっていないはずなのに、選ばせようと迫ってくる。
隣に立つセリーヌが静かに言った。
「あなたが選んだ道なら、どちらでも私は歩くわ」
その言葉に胸が熱くなる。
(俺は……怖いんだ。
未来を決めてしまったら、後戻りできないのが)
けれど、もう迷ってはいられない。
「俺は……」
目を閉じ、深く息を吐く。
「廃墟の未来を選ぶ。
変革を選ぶ。
壊れるなら、その上に新しい街を築く」
扉が強く輝き、廃墟だった王都の光景が少しずつ再生していく。
崩れた塔が立ち上がり、街路に光が灯る。
《見た。
お前は破壊を恐れず、再生を選んだ》
声が低く響き、足元の橋がさらに先へ伸びる。
《次は最後の門だ。
お前自身の“真名”を問う》
胸が締め付けられる。
(真名……俺が本当は何者かを、問われるのか)
光の扉が閉じ、再び橋の上に立つ。
星の光が前よりも近く、熱を帯びている。
(逃げられない。
でも、もう逃げるつもりもない)
「行こう、セリーヌ。
次で全部を見せる」
セリーヌが頷き、二人で橋を進み始めた。




