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追放された宮廷魔術師、辺境で無双した末に星々を導く者となる  作者: マルコ


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第2部 第4話 星々の道

 足元がなくなった感覚のまま、目を開けると、そこは空でも地でもない空間だった。

 黒い大地と、頭上いっぱいの星々。

 だが星は動かず、まるでこちらを見下ろしているように輝いている。


「ここが……星の道か」


 セリーヌも隣に立っていたが、足音はない。

 声も、耳ではなく心に響く。


《境界の子、リュシアン。

 お前の心を、一つずつ読もう》


 低く、重い声。

 星々が一斉に瞬き、光の円が足元に広がった。


 広間が現れた。

 玉座の前で、かつての自分がひざまずいている。

 王と貴族たちが断罪の言葉を告げ、婚約者だったセリーヌが冷たい目で言い放つ。


「さようなら、リュシアン」


 胸の奥が痛い。

 あの日の羞恥と屈辱が鮮明によみがえる。


(もう許したと思っていたのに……まだ痛むのか)


 自分の声が震える。


「そうだ。俺は、あの日の俺を許していない」


 その言葉を口にした瞬間、広間が崩れ、星の光が強くなる。


 今度は辺境の村。

 魔獣を討ち、村人に称えられる自分。

 焚き火を囲む笑顔、エリナの声。


《お前は、村を守ったのではない。

 お前自身の居場所を守るために戦った》


 胸が詰まる。

 図星だ。


(そうだ……俺は村を守りたかったんじゃない。

 俺が壊れないために戦ったんだ)


 だが次の瞬間、村人たちの笑顔が脳裏に浮かぶ。

 その笑顔は、俺のために泣き、俺のために笑った人々のもの。


「それでもいい。

 俺のために守った結果、誰かが笑えるなら、それでいい」


 村の光景が消え、星がひとつ瞬いた。


 次に現れたのは、今のセリーヌ。

 俺をじっと見ている。


《お前は彼女に何を望む? 恋か、償いか、赦しか》


 喉が詰まる。

 本当は――


(俺はまだ、彼女の赦しを完全にはもらっていない。

 それでも隣に立ってくれている。

 それが怖い。いつかまた失うのが)


 胸の奥の痛みを吐き出すように言葉にする。


「それでも……彼女と歩きたい。

 失う怖さごと、抱えたままで」


 セリーヌの幻影が微笑み、光に溶けた。


《見た。

 お前は過去を否定せず、痛みを選び取った》


 星々が一斉に光り、足元の黒い大地が銀色に輝く。


《次の門を開こう》


 遠くに光の橋が現れた。

 星々を渡る道。

 その先には、さらに強い光が瞬いている。


「行こう、セリーヌ」


 彼女が頷く。

 足を踏み出した瞬間、体が再び浮かび、橋の上に立った。


(次は……もっと深いところまで覗かれる)


 胸が高鳴る。

 だが、恐怖よりも期待の方が強かった。

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