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第6部 第19話 星々の夜明け

 外縁宙域を抜けたオルビタは、再び星図都市へと戻ってきた。

 都市全体が光に包まれ、勝利を祝う鐘が鳴り響く。


「帰った……」エファが記録板を胸に抱きしめる。


 胸の奥の環がゆっくりと鳴り、全身が解きほぐされていく。


(終わったんだ……本当に)


 舵輪に寄りかかり、深く息を吐く。(もう戦わなくていい……今は)


 連邦議会が開かれ、均衡者の長と連邦の代表が並んで立つ。


「ここに、星間連邦と均衡者は正式に盟約を結ぶ!」

「外縁の脅威は去った。我らは新たな時代を迎える」


 広場が歓声に包まれた。


(これが……俺たちの作った未来か)


 胸が温かくなると同時に、心にぽっかりと穴があく。


(役目を果たしたのに、まだ舵輪から手を離せない気がする)


 夜、仲間たちと星図都市の屋上で焚き火を囲んだ。

 ガルドが酒杯を掲げる。


「よくやったな、リュシアン。お前がいなきゃここまで来れなかった」


 セリーヌの旋律が穏やかに響き、イシュナが笑った。


「外界はもう孤立しない。あなたに感謝するわ」


(でも……この光は、いつかまた試されるかもしれない)


 胸の奥の環がかすかに鳴り、遠い未来を告げる。


 エファが星図を指差す。


「見て。外縁のさらに先に、新しい光が生まれてる」


 遠い星がひときわ強く輝いていた。


(まだ旅は終わらない……いや、終わらせたくない)


 舵輪に手を置き、ゆっくりと笑った。


「次の航路も、俺たちで見に行こう」


 オルビタの帆が夜風に揺れ、星図全体が優しく脈打った。


(これから始まる――星々の次の物語が)


 胸の奥の環が静かに鳴り、物語は次の航路へと進んでいった。

ここまでお読みいただき、ありがとうございました!

第6部「星間連邦編」では、航路再統合後の宇宙全体を舞台に、未知の宙域への挑戦と“外縁存在”との総力戦を描きました。


外界との対話、均衡者との思想的衝突、そして連邦と均衡者が初めて肩を並べた戦い――

ここまでの物語で一貫していたテーマ「恐怖と進歩の両立」が、ようやく形になった部だったと思います。


特に今回、リュシアンが見せたのは“勇気”ではなく“覚悟”でした。

恐怖を消すのではなく、抱えたまま進むという決断。

第5部で影を受け入れた彼が、今回は宇宙規模の恐怖をも背負い、未来を選び取りました。


クライマックスでは、星間連邦・外界・均衡者の総力戦というこれまでで最大のスケールで描きましたが、

戦いの果てに見えたのは「次の時代の始まり」。

恐怖の核を浄化し、宇宙が再び息を吹き返す場面は、書きながら私自身も胸が熱くなりました。


次の第7部では、**さらに遠い航路=外縁のさらに外の“未知の星々”**が舞台になります。

そこではついに、リュシアン自身のルーツや、航路の起源に迫ることになります。

物語はいよいよ最終段階――大きな結末に向かって走り出します。


ここまで読んでくださった皆さま、本当にありがとうございます。

ぜひ次の航路でも、リュシアンと仲間たちの旅を見届けてください!

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