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第6部 第4話 断絶の記憶

 門の奥の空間が光に満ち、遠い過去の映像が浮かび上がった。

 星図では見たこともない巨大な航路、無数の世界が輝いている。


(これが……航路の始まり?)


 胸の奥の環が共鳴し、脈打つ。


(美しい……でも、どこか不吉だ)


 光景が徐々に暗転し、星々が一つずつ消えていく。


 巨大な渦が現れ、航路を呑み込む。

 世界同士が暴走した光で焼かれ、残された民が逃げ惑う。


「これが……航路崩壊の大破滅……」


 エファが青ざめた声を出す。


(航路は……危険な存在だった?)


 胸の奥の環が不安の音を立てる。


「かつて我らは、航路を最大限に広げた。

 だが、光が多すぎれば影もまた膨らむ。

 最終的に航路そのものが世界を焼いたのだ」


(だから彼らは航路を断った……自分たちの意思で)


 手が冷たくなる。(もし再び広げれば、同じことが起こるかもしれない)


「我らは航路を捨て、“無”の中に退いた。

 ここでは光も影も増えず、時は止まる。

 それが唯一の生き残る方法だった」


(彼らは……怖かったんだ。

 光も影も信じられなくなるほどに)


 胸の奥の環が痛いほど鳴り、視界が揺れる。


「それでもお前たちは、再び航路を広げるのか?

 同じ過ちを繰り返す覚悟があるのか?」


(覚悟……俺は本当にあるのか?)


 リュシアンは舵輪を握り、深く息を吸った。


「まだ答えは出ていない。

 でも、このまま止まることはできない」


「ならば試練を受けろ。

 我らが恐れを克服した時の記憶を辿り、

 同じ答えを見つけたなら門を開こう」


(逃げない……俺も、この恐怖と向き合う)


 胸の奥の環が強く鳴り、再び安定した拍を刻む。


 案内人が光の道を指し示した。


「行け、調停者。過去と向き合い、選択を示せ」


 オルビタが光の道を進み出すと、

 星図とは異なる奇妙な景色が広がり始めた。

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