第5部 第14話 星図の最終戦
投票結果が告げられた直後、空全体が裂けるような音を立てた。
星図都市の上空に、かつてないほど巨大な灰色の門が現れる。
「これは……原初の門よりも大きい!」エファが叫ぶ。
(ここまで来て……まだ終わらないのか)
胸の奥の環が激しく鳴り、手が震える。
(でも今度は、俺一人じゃない)
砂塵世界の代表が剣を掲げた。
「我らも戦う!」
氷の長老が杖を振り上げる。
「光の防御を張れ!」
潮の民の歌が響き、都市全体を包む。
(そうだ……これは全員の戦いだ)
胸の奥の環が白金色に輝き、全航路が一斉に光る。
門から巨大な影が這い出してきた。
それは形を変え、都市全体を覆い尽くそうとする。
「この世界は選び直す必要などない!」
影の声が響く。
「違う。俺たちは選び直した。
もう恐怖には縛られない!」
剣を抜き、舵輪に片手をかける。
(今度は光だけじゃなく、影ごと抱きしめる)
ガルドが先陣を切り、影の触手を斬る。
セリーヌが旋律で仲間たちを支え、エファが航路を制御する。
都市全体が戦場となり、光と影がせめぎ合った。
(これが……最後の戦い)
胸の奥の環が苦しくなるほど回る。
(負ければ星図が消える……勝てば、次の時代が来る)
リュシアンは光の糸を辿り、影の中心へ飛び込んだ。
そこには、かつて対話した黒点の意識が渦巻いていた。
《まだ迷っているな、調停者》
「迷ってるさ。でも、選ぶのは俺だ!」
(影も、恐怖も、全部受け入れる)
胸の奥の環が眩しく輝き、影の渦が一瞬止まる。
「今だ、リュシアン!」
ガルドが道を切り開き、セリーヌが旋律で光を増幅する。
リュシアンは剣を握り、影の核に突き進んだ。
(ここで終わらせる!)
光と影が交錯し、都市全体が白く輝いた。