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黒色と華

作者: 並木 陸

見つけてくれてありがとう。


「やあ、久しぶり」

 枯れた空気が枯れ葉を攫い冷たい風が秋の訪れを街に知らせる。半年前まで同じ高校に通っていた華と健二は卒業を迎えると同時に一切連絡を取らなくなっていた。

「なに?連絡してきたと思ったら会おうだなんて」

「そう言わずに、さ?せっかく来てくれたんだ何か食べに行こ?うまい飯屋知ってるから奢るよ」

 健二はそういうと華の荷物をもち歩み始める。華は隣に並び身長差のある健二の肩に弱い体当たりをした。


 連絡が来たのは遡ること二週間前。大学から帰り疲れた体を少し休めていたところに華のスマホに着信が入った。健二からであった。

 久しぶりに会って遊びたいと、高校生時代の健二は絶対に自分から言うことのなかったセリフを電話越しに伝えられ、珍しさゆえに了承してしまっていた。

 疲れていたからだろうか、あまり何も考えておらず珍しいからと言う理由で男の家に遊びに行くような、そんな軽い女ではないと華は自ら思っていたがこんなあっさりと健二なんかに流されてしまうとは思ってもいなかった。

 健二とは決して身体を交わらせることはないと思いながらも男として認識してしまう。会った時どんな表情をすればいいのか。華自身そこまで男に抱かれた数は多いわけではない。片手で数えても指が余るくらいだ。そんな潔白に近い女に健二が手を出すわけがないと思っていても少し気になりはする。

 健二はあまりつかみどころのない不思議なやつだったから。


「どお、美味し?ここよくくるんだよね、砂ずりとかマジでおすすめなんよ」

「お酒もなしに焼き鳥1人で食べに来てるの?」

「僕たちまだ19じゃん、飲むなら1人で家で飲んでるかな」

「1人で?かなし」

 顔を背けるが少し冷たかったかと健二の方を横目で確認する。意外にも本人は何も思わなかったようにキョトンとこちらを見つめてくる。

「次、どこ行こっか」

 顔が近い。

 そっと近寄ってきた健二の目は高校時代一度も見せることのなかった虚空を見つめるような黒い瞳。この半年間で何があったのかと喉まで言葉が出てきたが口に入っていたレバーと一緒に飲み込む。

「カラオケとかでいいんじゃないかな」

 愛想笑いのような笑顔を顔に貼り付け言葉を返すが、自分から個室に誘っていることに気がつき少し身体に火照りを感じる。

「健二はさなんで誘ってきたの?」

 改めてずっと思っていた疑問を彼に投げかける。

「別に私はめっちゃ可愛いってわけじゃないしさ、高校の時だって健二は可愛い子とか胸のデカい人が好きとか言ってたよね、私そこまで自信があるわけではないんだけど、」

 別に身体目的で誘ってたとは思っていなかった。だが会った時からの態度や瞳の感じで少し不安が生まれていた。1人勝手に言葉をつらつらと投げてしまう。思っていないと言えば嘘になる。こんなこと言いたいわけではない。久々に会ってこんなこと言われて健二もいい気はしないと思う。気づいた時には健二は口を開いていた。

「意味の後付けほど無意味なものはないよ」

 優しく笑う健二は、笑ったように見えた健二は華の手と伝票を取りレジへ向かった。


 歌は好きだ。人前で歌うのも、1人で歌うのも。大学に入ったと同時に忙しさに心身ともに追いつけなくなりカラオケなんて行く余裕はなくなりストレスの溜まる日々を過ごしていた。華は久しぶりに触るマイクに大きさを感じた。

「何歌う?点数で勝負でもしようよ下手だけど、」

 自身なくケラケラ笑う健二に釣られ口角が上がる。

「いいよ勝負しよ!絶対勝つから」

 健二は相変わらず下手だった。

 せっかくの休みだったから、大学のことなんてわすれて歌いたかった。だけどなかなか振り切れない、疲れに染みついた大学の辛さ、体は脳より物覚えがいいと思う。

 ひたすら歌った。歌で消えないものはないと思っていた。昔から歌っている時は大抵のことを忘れて気持ちよく歌えていた。いつからだろうか、それができなくなったのは。

「大丈夫?」

「え、?」

 まただ。また、健二の顔は真横にあり、広いルームなのになんで隣に座ったのか今更ながらに疑問に思う。

 心配そうに顔を覗き込んでくる健二。

「声、震えてたよ。相当たまってたんだね」

 そういうと健二はそっと頭に手を置いた。

 セミロングで茶髪に染まった髪。

 そっと体を押し付け、反対側の腕に手を回し華を引き寄せさらに距離をなくす。

 少し湿った健二の唇が華の感情を揺さぶる。

 入れられた舌は歌いすぎで乾いた華の口内を潤わせ、繋いだ手からは暖かく体の芯まで健二を感じさせた。

「ん、健二、?」

 動揺しながらも離れた健二の唇を目で追ってしまう。

「どうした?」

 どうしたじゃないだろとは思わない。むしろダメだったかなと言われるほうが嫌だった。健二は変わった。

「私ーー」

 ピーピーピー

 言うと同時、終了10分前を知らせるブザーに邪魔されてしまう。

「あ、うぅ、、」

「ははっ、場所移そうか」

 人を馬鹿にするときの目だ。健二がよくしてた。

 そんな健二から顔を逸らし首を少し縦に振ってからルームを後にした。


 薄々こうなるのではないかと思っていた。やっぱり体だったのか。

 健二に連れられてやってきたのはラブホテルだった。

 華はもう理解したかのようにベットに腰掛け健二を見つめる。

「やっぱり健二は変わったね、こんな行動力君にはなかった。」

「僕がそれだけの理由で華を呼んだと思う?」

「え?」

「わからないならいいよきっとわかってくれるはず」

 それだけの理由だ。頬を赤らめ健二を真剣に見る華を見て心の中でほくそ笑む。所詮雰囲気作りにしかならない言葉。後付けされるほどご立派な理由は存在せず。華はただ健二に感情を揺さぶられただけだった。

「華、大好きだよ」

 そう言うと健二は彼女に熱い口付けをした。華の舌は健二をさらに求めるように彼の口内を舐め回す。離した唇からは唾液の糸が滴り落ちる。

 華のトロッとした瞳に映る景色は健二の色でいっぱいだった。暗くも透き通った黒い眼をした健二に吸い込まれていく。身体を許してしまう。

 健二の指先は華の唇をそっと撫で首筋、胸元から脇腹を通り太ももへ、くすぐったさを覚えながらも我慢しようとしてしまう。

 再び唇を奪い服の下から双丘を優しく撫で回す。両手の指は乳首を見つけ爪で軽く引っ掻く。口から感じる健二の体液と乳首からの弱い刺激に身体が震えてしまう。

「可愛いね」

 右手はまだ胸に置いたまま左手はそっと下の方に伸び、下着と肌の隙間から温かくゴツゴツとした感覚が膣口の前まで入ってくる。

 健二の手は思ったよりデカく、優しく華を濡らしていく。耳元で囁かれる大好きと言う言葉がやけに卑猥に感じた。

 気がつくと健二の頭は華の淫部の位置にあり、激しく膣壁を舐めまわされ吸われる行為に体の芯から震えが止まらなくなる。必死に喘ぐのを我慢しつつも声が漏れる華。その声と愛汁を啜る卑猥な音がホテルの一室で混ざり合いエロスの巣窟へと2人を迷い込ませる。

「華、入れるね」

 健二はそう言うと華に口付けをし返答は不要と言うかのように口の中を掻き乱す。

 ゆっくりと挿ってくる太く熱いものを膣で感じながらその太さに唖然とし沸々と涙が出てしまう。だが引き抜きの加減から痛さは快感へと変わり華は健二を覚えていく。

 自然と握っていた手は力が強くなり、それと同時に健二の腰は動きに激しさを増す。

 瞬間、健二は絶頂を迎える。ヒクヒクと健二を誘うように開いたり閉じたりする淫部。そこから垂れた汁はアナルを通ってベットに染み込んでいく。

 悦に浸る健二は戸棚に入った玩具を見つけふざけた笑みを浮かべた。

「これ、使ってみようよ」

 ローターにローションを塗り2、3個こと毛布の上に並べる。何をするのかと力の入らなくなった首を持ち上げ健二の方を見ると足をガッツリ掴まれ肛門を撫でられる。背筋に悪寒が走り健二の拘束から逃れようと膝を内に曲げるが健二の力に叶うわけがない。

 トロミを帯びたローターの侵入を抵抗するまもなくあっさり許してしまう。体に力の入らない華にとって気持ちだけの抵抗は無意味だ。

 3つ入ったところで腸あたりが苦しくなり全て溢れ出そうになる。それを察した健二はシメのように最後プラグを差し込む。膣ではない別のところでゴリゴリとした感覚が華を不安にさせる。しかしその不安も一気に水の泡になった。

 三つ同時にスイッチが入ったそれは裏の扉から膣壁を刺激し背筋がこれでもかと過剰に反応する。内側から壊されていく感覚。死とまではいかないがこれまでにない感覚が体全身を襲った。

 絶叫に近い声が喉奥から出そうになったところで健二にその口を塞がれる。そしてまた立派に勃ちなおした肉棒が華の膣口を探すため陰核から下の方へ行き来する。入り口を見つけた健二は一気に奥まではつかず焦らすように膣壁の上の方を擦り続け、華へ絶頂を促した。

 華の顔は涙や涎、鼻水でぐちゃぐちゃになり、下の二つの口からは快楽を表す液体が溢れ出る。穴という穴から健二に与えられた感情が吹き出す。強く抱きしめた男らしくガタイのいい胴体は華を落ち着かせ、健二に性的興奮をもたらした。

 中に出された精液、それを感じ取った華は涙で濡れた目を健二に向け口付けを要求する。

 華は肛門に少し力を入れてプラグを外そうとするがなかなか外せない。それを察した健二は優しくプラグを外してやる。

 3回目だった。

 肛門の奥に詰まったそれらが一気に出る瞬間華は3回目の絶頂を迎えた。溜まっていたものが全部溢れ出る感覚。敏感になった肛門はローターを抜くだけで、たったそれだけで華に悦を感じさせるようになっていた。喉が擦り潰れるくらいの声が出た。一瞬のことだったから。足腰が今まで体験したことないくらいガクガク動き、潮を吹く。止まらない。それが分かるくらい華の表情は歪んでいた。イくことがやめられないと目で健二に訴えてくる。

「大丈夫だよ、きもちいんだね」

 優しく耳元で囁かれ、またも背筋から全身へ力が入る。リラックスしてと手を握られキスをされ、徐々に力んでいた身体から力が抜けていく。

 乱れた髪で顔を隠し荒い息でベッドに横たわる華。

 数分後、そのまま夢に引き込まれた。


「おはよう」

 目を覚ますとベットの横に服を着た健二が座っていた。

「あれ、私、」

「昨日疲れちゃったみたいだね、すぐ寝ちゃってた」

 昨日、、と昨晩のことを思い出し赤面してしまう。微かに肛門に違和感すら感じる。まだローターが入っているのではないかと指を当ててみるがその様子はない。

 少し安心して服を着ようと床に足をついた瞬間ふらつき健二に支えられてしまう。

「あ、ごめん健二、、」

「大丈夫?腰、痛くない?」

 うん、大丈夫と伝えて数秒健二の瞳を見つめる。

 あの眼だった。虚空を見つめるような黒い瞳。

「健二、私たちってさ、、」

 言いかけたところを口付けで黙らされてしまう。

「まだ早いよ」

 会った時といい今といい、上手く丸め込まれた気がする。健二はいつから変わってしまったのだろうか。

 華の中では確かに何かが変わった。健二と関わって改めて思うこともあり、勘違いも甚だしい思われるかもしれないがここまでしておいて思わせぶりということもあってはならないと思う。健二に対して芽生えた感情はこれから先華を蝕むことになる。

 これは健二の物語。

 

 

最後まで読んでくれてありがとう。

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