13最終話 沢山救出してもその後が大変
俺が現れてから全員驚く程大人しくなった。
牢屋から出される者も残される者もみな文句一つ言わずいうことを聞く。
……魔法のせいじゃないよ!? 静かになったからすぐ魔法は切ってるからね! 俺どんだけ怖がられてるの??
納得いかないが仕方ない。モルドおじさんとイデおじさんにも怖がられてるのはちょっと悲しいが仕方ない。
ルーチェ達の知り合いだから、俺も仲良くしたかったんだけどな。
さて、この無駄に増えた人達をどうするか… 囚人の殆どが大したことをしてないのに捕まったか無実だった。
ヴァーナム王国終わってね?
一度転移させないと邪魔だけどどこに転移させよう…こんなに引き連れてたら父親を探しに行けないもんな。
砂漠の隠れ村に一時的に避難させとくか?
そんな風に考えてたらバッチタイミングでライトから連絡がきた。
「お父さんが見付かった」って。
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「お父さん!!」
「っ、ああルーチェ! お前も無事だったんだな!」
ライトから連絡があってから助けた人達を一度隠れ村に送り、合流予定地に向かうと廊下を歩いているライト達を発見した。
ただ、お父さんがなぜか血塗れでルーチェが悲鳴のような声で父親の名前を呼ぶから焦った。
そりゃまぁ血塗れでびっくりするのは分かるけど、今侵入中だから!
すぐ音消し魔法使ったから大丈夫かな? 気付かれてなければいいな。
「大丈夫だルーチェ、これは返り血だ」
「っ、もうっ もう心配ばかりかけないで! うぅぅ…」
「……すまんルーチェ」
お父さんの血が返り血だと分かり(それはそれでどうなの??)安心したルーチェが父親にすがり付き泣き出した。
いつも凛としてるけどほんとは不安で、年長だから自分が頑張ってライトを守らないとって無理してたんだろう。
ちゃんと二人が頼れる家族が見付かってよかった。俺にはもういないものだから羨ましいくらいだ。
そんなことを思いながらライトを見ると、嬉しそうに二人を見詰めているがその目が赤い。
そりゃそうだよな。一番両親を心配してたのはライトだしまだ11、12歳だもん。いっぱい泣いたんだろうな。
俺と聖歌鳥達で時々やってきた兵士を眠らせながら温かく3人を見守っていると……ふいにお父さんから声をかけられた。
「二人共、私を探しに来てくれてありがとう。精霊殿もご尽力感謝する」
『! 俺が分かるの?』
「君から強い魔力を感じるからね。物に宿る精霊もいるからそうだと思ったよ。二人だけじゃ牢破りなんてできるわけないし、君が力を貸してくれたんだろう。二人から君の魔力も感じるし。
聖歌鳥まで力を貸してくれるなんて……長く生きていると凄いことが起こるものだ。…彼女にも見せたかったよ」
流石妖精人というべきか、俺の存在がバレていた。俺って魔物じゃなく精霊なのか??
二人の父親はルーチェに似た、けれどそれより濃い青い髪に紫の瞳、透き通ったような白い肌に中性的な美しい見た目をしている。
成人間近な子供がいるとは到底思えない若々しい見た目だが、一体何歳なんだ?
……と、まぁそこは置いておいて、二人から俺の魔力を感じるのって魔法付与して覚えさせたりしたからか?
それに聖歌鳥のことも驚いてるみたいだしレアな鳥なのかな? 知らんかった。
彼女ってのは、多分奥さんだよな。ルーチェが恐る恐る「お母さんは?」と尋ねると首を振られ俯いた。
……残念ながら、砂漠の隠れ村の生存者は3人だけのようだ。
それから外に出ると、すぐにオッドアイとネネちゃんがルーチェとライトに駆け寄って来て皆さん驚いていた。
そう、皆さん。
あれからなぜか牢の中にいる無実の人達を全員出したりなんかしてたんだよ、お父さんの頼みで。
人数が人数だから兵士にバレてちょっとした騒動になったけどそこは省略。俺が眠らせればそれで済むからね。
怯えたり興奮したりしてる人達を無視して、はい。転移!
一瞬で場所が変わったことに一層混乱する人々と、先に砂漠で待機してたらワイバーンが現れて混乱する人々とちょっとまた騒動になってしまった。
はい、皆さん少し落ち着いてとリラックス魔法を使い事態を終息させる。
ふぅ、やれやれ。
みんなで砂漠の村に行くとお父さんと先に戻っていたモルドおじさんとイデおじさんが涙を流しながらお互いの無事を喜んでいる。
それと女性収容所で助けた人達の家族も再会を喜んでいる。
うん、いいことしたな。
でも確実にヴァーナム王国敵に回したと思うよリヒトさん!
囚人の殆どを脱獄させちゃったんだから向こうのメンツ丸つぶれでしょ。妻を殺されて怒ってるんだろうけど、危ないことするなぁ。これから血眼になって牢破りした人達を探すと思うよ。
まぁ、分かっててしたことだろうけどさ。
人間のいざこざに巻き込まないでほしいな、俺平和主義だし。攻めたら結構ダメージ与えられると思うけど。
だってワイバーンより弱い俺程度でも人間相手には余裕だったし。まぁ、上には上がいるのは人間も同じだろうから、俺より強い人もいるんだろうけど俺って死んでも転生できるし不死みたいなもんじゃん。
まぁとにかく、なるべく早めに場所移さないと。この隠れ村の場所は国にバレてるからね。
そうしてみんなで集まって隠れ場所の話し合いをした。
ルーチェやライトからあの死の大地に村を作るのはどうかとか、その辺りの村に移り住むのはどうかとか色々言われたけど。
俺達3人が暮らす死の大地の荒野に近い森の中は大勢で住むには危険だ。
ワイバーン達自体も危険だがそれ以上に彼らを食べにあの鎧の巨人が来るから、人が大勢住んで村になったら目立って見付かるかもしれない。
そしたらあっという間にお陀仏だよね。人間なんて踏みつけられて終わる。
近くの村に住むのはどうだろうな……
あそこの村はヴァーナム王国ではない別の国で、もし友好国なら引き渡されるかもしれないけど、あそこら辺はイクセン帝国ってとこの領地だ。
イクセン帝国はヴァーナム王国とあまり仲良くないみたいだし、あそこら辺の村は殆ど放置されてるそうだから住んでも大丈夫そう? でも人数がな……
幾つかの村に別れるしかないか。救出した人は35人程いるから。
これでも近場の外国の者は自国に帰ったんだよ。ライトとオッドアイに送ってもらって。俺の転移は行ったことある場所じゃないとだめだからね。
護衛兼、道覚える為に俺も同行したけど。
まぁ、だから1つの村に35人も増えるんじゃ断わられるだろう。余所者が一気に増えると文化違いで喧嘩やこの人達の人間性も分かんないし、治安悪化や食料や何だと色々足りなくなったり村にとって負担が増すばかりだからね。
俺達も助けた責任あるから協力できることはするけど、まずは村長達に聞いてみないと。
そうして近隣の村に住んでも大丈夫か聞いた。結果。
・今までのように周辺の魔物を倒して村を守ること。また食料や素材の提供。
・新たに村民になる者は村のルールを守ること。何度も問題を起こす者は追い出すこと
以上の条件に納得した者は移ることになった。3こある村に10人くらいずつ分かれて。
知り合い同士はいいけど誰も身内がいない者はテキトーに振り分けて。
一人者でも若い男性は歓迎されたけど、女性や老人子供は渋られた。労働力どころか足手まといになるもんね。世知辛いなぁ…
でもですね、ここに魔導を極めし者がいますからね!
何の能力もなく村から拒絶された人にスキルを与えた。生活するのにあったら便利そうな水魔法か火魔法のどちらかを。後、70歳くらいのヨボヨボお爺ちゃんが賢者みたいな白い長い髭と髪してたからその人にだけ鑑定を。
結果、お爺ちゃんは村人から賢者と呼ばれ価値の分からないものが見付かると頼りにされるようになった。
他の女性や老人、子供も力仕事ができなくても各家の釜戸に火を起こしたり水坪を満たしたり。まぁ、本人の魔力量が少なきゃあまり活躍できないけど、その分は畑仕事手伝ったりすればいいし。
お陰で無事に全員受け入れてもらえた。ひゃっほい! やったね!
そして俺は村人達から神と崇められた。いやなんで? ∑ (゜□゜;)
いつもみたいにルーチェに持ってもらって本に擬態してたんだけど、牢屋から助けた人達は俺見てるからそっちから話しがいったみたいで。
魔物だって怯えてたのに、リヒトさんが精霊殿なんて言うから、いつの間にか精霊信仰みたいになってて怖い ((( ;゜Д゜)))ガクブル
ルーチェとライトはいつも通りなんだけど、リヒトさんを筆頭にみんな拝んでくる……
「いいじゃん、みんなトロイに感謝してるんだよ!」
「魔物なんて言われるよりずっといい。トロイは私達も救ってくれた英雄なんだから」
ライトとルーチェに温かい目で見られ言われた言葉がこそばゆい。救ったなんて、そんな御大層なもんじゃないんだけどな。
成り行きで助けることになっただけで、そんな崇められるようなことしてない。俺は普通の人間なんだけどな。
……
あ、今本だった。




