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ソクサルムの次に苦手

「……ゲッ」

「?」


 姉貴、アメノサさんに顔見られた瞬間にゲッ……とか言われてるし。

 まぁ、あれだけ無遠慮にモフモフしてたもんな。

 そりゃあ印象はあまり良くないよな……。


「おお、姉上」

「宝石を見に来たのでしたかしら?」

「そうそう。パライバトルマリンのでっかい原石なんて今後お目にかかれないし」

「……ホッ」


 で、その姉貴の戻ってきた理由が、『夢幻泡影』の持つ宝石だという事が判明して胸を撫で下ろすアメノサさん。

 ――だが、甘い。


「隙あり!!」

「――ッ!?」


 姉貴の目線に注意するんだな。

 今のはどう見てもアメノサさんの耳にターゲットしてたぞ。


「気ィ抜き過ぎなンだよ」

「……紙一重か」


 なお、アメノサさんは『無頼』さんに首根っこを掴まれ引っ張られ。

 姉貴の魔の手から逃れることに成功していました。

 あと、全然紙一重じゃない。紙七十重くらい。


「姉上が戻ったという事はもちろん?」

「ワインを買って来てあるわよ」

「ヒャッホイッ!!」

「あと、ついでにお菓子も」

「フャッホイ!!」


 あ、そうなるんだ。

 ひゃっほいの上ってふゃっほい、なんだ。

 

「まぁ、お菓子は空港で買って来たんだけど」

「……なんて?」

「いや、だってさ。生菓子を買って帰ってくる訳にもいかないし、焼き菓子とかなら普通にこっちで買った方が安いし美味しいし」

「いやまぁ、そうだけども……」


 ちょっぴり、海外のお菓子とかは興味があったんだけどな……。

 まぁ、東京土産も美味しいから別にいいけど。

 というか、基本的に土産物って食べる機会が決まってるから、いつ貰っても嬉しいけれども。

 それならそれで一言連絡欲しかったな。

 ……俺のワクワクを返せ。


「よし、では調理に入ろう」

「姉貴は向こうで大人しくしといてね」

「はーい」


 素直でよろしい。

 ……あ、


「木のスキレット、ラベンドラさん達から貰ったものだからお礼言っときな」

「あのスキレットのおかげで人生で初めてオムレツが作れました。ありがとうございます」


 小学生か。

 でもまぁ、こうして感謝の気持ちを言葉にするの大事。


「オムレツは簡単そうに見えて技術の塊だ。成功体験を得られて何よりだな」

「……そういう事にしておきましょう」


 正直、アレに関しては技術云々の話じゃないと思うけどな。

 もっと初歩的な、運動とかの話になると思う。


「で? どう作る?」

「前にパエリアを作ったのを覚えてます?」

「覚えているぞ。『――』の時だな」


 どれだ?

 って言っても、確かシャコナリケリの時だったはずだったからそれを言ってるんだろうな。

 伝わらないけど。


「恐らくそれです。で、そのパエリアにコロッサルの墨を混ぜて作っていきます」

「解呪は?」

「加熱して塩を加えれば完了するみたいです。その際、やや粘度が上がります」

「ふむ……。こちらの塩ありき、か。味を確かめてみて際立って美味いようならば、解呪の工程も研究する必要があるな」


 ごちゃごちゃ言っとりますけども、パエリアの調理を始めますわぞ~。

 ちなみに今回用意した海鮮類は全て海鮮ミックスの冷凍もの。

 いちいち砂抜きだの背ワタ取りだの仕事終わってやってられない。

 あーあ、姉貴がしておいてくれたら助かったのになー。


「まずはオリーブとニンニクを炒めて香りを出すんだったな」

「ですです」


 炒めながら魔法で玉ねぎをみじん切りにしていくラベンドラさん。

 全自動で動く包丁ってシュールだな。

 ……ん?

 そう言えば、玉ねぎ切ってるのに涙が出てこないな?

 魔法で切られたからとかってあるのかな?


「香りが出たら玉ねぎを追加」

「透き通ったら海鮮系を入れます」


 見て指示出すだけって楽だなぁ……。

 仕事だとそれでも責任が伴うけど、やってる作業は晩御飯作りだし。

 気楽なもんだ。


「海鮮系は一度火が通ったら引き上げる?」

「ですです」


 大きな海老とかムール貝とかなら簡単だろうけど、海鮮ミックスって結構小さいからね。

 だから、エルフの魔法に頼る必要があったんですね。


「そしたらここに米を入れて強火で炒めて」

「油が全体的に絡んだら、コロッサル墨を投入ですね」


 そう言えば、パエリアって主役は米じゃないって話はしたんだっけ?

 魚介のスープが主役で、米はそれを吸う役割がある。

 だから、日本みたく米自体が美味しいと、パエリアには向いてないみたいな話。

 つまり、異世界のまだまだ登場したての米の方が、パエリアみたいな料理には向くって事か?


「そう言えばなんですけど」

「なんだ?」

「日本の米より海外の米の方がパエリアには向くみたいでして」

「ほぅ」


 という事でさっきのをラベンドラさんに説明。

 これで西洋の米の使い方が広まれば、異世界でも稲作が注目されることになるんじゃないか?


「なるほどな。米をメインではなくサブとしておくのか」

「俺が皆さんにお出しする米は基本全部美味しいですし、米がメインって考えが根付いちゃってたみたいです」


 日本の米だしな。

 美味いよな。無条件で。


「となると他にも似たような米をメインにしない料理が食べてみたいところだが……」

「後パッと思い浮かぶのはリゾット位ですかねぇ……」


 俺もそこまで詳しいわけじゃないからね。

 そもそも、パエリアとリゾットは作った国も違うし。

 一度本格的に調べた方がいいかも。

 ――あ、コロッサル墨、入ります。

シャコナリケリが登場したのって約一年前ってマジ……?

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― 新着の感想 ―
ふと、思っちゃったのがコロッサルの名前ママ聞き取れなかった気がしたのは気のせい??確かニンテイタコカイナな記憶…… このママが素材を聞き取れない設定、神様から何とかして貰うとか……
シャコナリケリが登場したのって約一年前ってマジ……? なんなら、この小説が始まってもうすぐ3年……
丁度一年前にカケルが無頼の存在を知ったのか…
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