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判明、トリッポイオニク

 餌を待つ雛鳥状態だった三人に二度揚げの唐揚げを提供すると。

 マジで我先にと唐揚げを取り合い。


「カケル! レモンのお代わりを!!」

「あ、こら!! ガブロ!! 一人でそんなに唐揚げを取るな!!」

「ふんっ!! 早い者勝ちじゃわい!!」

「翔ー、お姉ちゃんにビール」


 一瞬でテーブルの上が大混乱に。

 あと姉貴にビールはやらん。

 そもそも冷蔵庫の中に無い。


「まさかあのモンスターがこんなに美味くなるとはのぅ」

「気になるんでこのモンスターがどんなのか聞いてもいいですか?」

「別に構わないが、モンスター名は翻訳されないし……」

「まず確認なんですけど、鳥系のモンスターです?」


 あの、とか、あんな、とか言われると気になるよね。

 と言うわけでやっていきましょう!

 第一回、モンスターアキネーター。


「違うな」


 あっれー?

 この食感というか、肉質的にコカトリス、ないし、ガルーダとかその辺だと思ってたんだけどな。

 ……となると、何だ?


「鳥じゃない……? となると範囲を広げて、陸地に存在しているモンスターです?」


 情報が集まらないと当てられるものも当てられないので、情報を得るために質問を大雑把に。


「部分的にそう……と言えますわね」


 リリウムさん、もしかしてあの魔人を知ってます?

 解答が魔人のソレなんですけど?

 にしても部分的にそう、か。

 一番微妙な解答がきたかもしれない。

 ……でも、考え的には陸地にも居るって事だから。


「海とかでも見られるモンスターですか?」


 こっちを潰す。

 海にも居て、陸地にも居るなんて生き物俺は知らん。

 これで、そうです、なんて返ってきたら詰みだが……。


「いや、そんな種は見たことないぞい」


 良かった。って事はこれ両生類だよな……?

 いくら何でも魚を陸地で見かけないだろうし……。

 ――! あー……すっごく嫌な予感がする。


「このモンスター……カエルのモンスターですか?」

「そうだ」


 やっぱり。

 前に漫画で読んだわ。

 中国では確か食用ガエルって一般的なんだよな。

 田鶏って字を書くとか何とか……。

 にしてもカエルか~。

 カエルのモンスターってなんだ?

 某RPGに出てくるギガントードくらいしか知らんぞ?

 ……あー、日本でカエルと言えば見たいな名前があったわ。

 そっちで聞いてみるか。


「ジライヤと同じ種族のモンスターです?」

「!!?」


 お? なんで四人とも目を見開いて驚いたんだ?

 その反応的にジライヤってモンスターがいるのか?


「お、驚いたわい」

「カケルの口から倭種の名前が出てくるなんてな」

「倭種?」

「倭種と言うのは、限定的な場所にのみ存在する、独自の進化を遂げたモンスターの総称ですわ。ジライヤというのは『トード科トード目変異体地域固有種倭種個体』の事になりますわ」


 ふむ? とりあえずこの唐揚げの肉がトード科という分類のモンスターの肉と言うのは分かったな。

 んで、それらはカエル型のモンスター、と。

 ……出来れば食ってから聞きたかったなぁ、その言葉。

 悪手だったわ。


「なるほど」

「まぁ、ジライヤともなれば出会えば俺らでも負けるかもしれないな」

「あ、そんなに強いんですね」

「あまり文献にも登場しないが、風の噂ではジライヤ一匹に敗走した国軍も居るらしい」

「多種多様な魔法に、伸びる器用な舌で武器を扱い、煙と共に瞬間移動を繰り返すと聞いたことがあるぞい」


 なんというか、俺の知ってるジライヤのイメージまんまだな、それ。

 魔法のところが忍術なら完璧なんだが。


「ジライヤの肉はどんな味がするんじゃろうな」

「『――』でこの美味さだからな。きっと想像すら出来ない美味さだぞ」

「是非とも出会って見たいですわね。皮などの素材も大変貴重ですし」

「倭種がどこに生息しているかなんて、未だに謎だからな。はぐれモンスターとして出会うことを期待するしかない」


 なんて箸を置いて話し始めたけど、もうおかわりはいいのかな?


「もうおかわりは大丈夫です?」

「そうだな。もう満腹だ」

「私もご馳走様ですわ」

「満腹じゃぞい」

「今日も美味かった」


 との事なので自分用の唐揚げを揚げる。

 塩唐揚げが結構残ったので、俺は塩唐揚げだけになりそう。

 好きだからいいんだけどね。

 ……本当は食べるのどうしようか悩んだんだけど、毒見と言うか、話を聞いた後に小さめの揚がった唐揚げを食べたらさ。

 やっぱり滅茶苦茶美味しいのよね。

 衣のザクッて歯ごたえと、肉のシャキシャキした感じ。

 そこから溢れる肉汁と、口の中に広がる旨味。

 掛け値なしに美味いんよ。

 と言うわけで俺は食事中の間だけ、さっき四人とした会話の内容を忘れることにした。

 カエルと思って食うから躊躇うんよ。

 ただの美味い肉と認識すればいい。

 ……いやマジで美味いな。

 もうちょい追加で揚げとくか……。



 やっべ、食い過ぎた。

 マジで美味いから調子に乗って食いすぎちゃったや。

 四人に持たせるご飯何にしよう。

 ……もう唐揚げサンドでいいか。

 食パンに千切りキャベツをザーっと敷いて、一度揚げの醤油唐揚げを可能な限りボンって置いて、上からマヨネーズをビャーかけて。

 食パンで挟んで完成。

 簡単でよろしい。


「皆さん、これ、お持ち帰り用のご飯です」

「ふふ、ありがとうございますわ」

「唐揚げサンドか。間違いなく美味いな」

「これがあると朝起きるのが楽しみでしょうがないわい」

「いつもいつも感謝する。二人に、エルフの祝福があらんことを」


 唐揚げサンド渡したら、またラベンドラさんに祈られちゃったや。

 ……宝くじ、買うか。

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