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理解した選択ー2

 大きな足、いや、大きな歪な手が地面を歪ませる。

 アキツラを掴もうと大きくなった手で掴みかかってくるが、ステップ一つで避けていく。

 胴から腕が突き出てきた。

 新しい腕から手が生え地面を押し付け隆起させた。

 ヴァズヴァロフは原形をとどめていない。

 体を六つの腕と手で崩れないように支えているように見える。

 人の形を残さず人に似た部位を残し膨張したそこにいるのは、何なのか。

 それはけたたましく咆哮した。仮面を割り口の様に作り出して。

 声でなく空気を震わせた音ではあったが、アキラツの眉間に皺を寄せて、

「まだ感情もないだろうに」

 悲壮な声が出してしまう。

「…だが、俺は」

 大きく膨張し歪な手がアキラツを潰さんと振り下ろされる。

 手を打ち付けた音。

 空気が巻き上げられて風が吹く。

 アキラツの目の前で異形となったヴァズヴァロフが宙を浮く。

 放り投げられ背中から叩きつけられていた。

 空から街灯に金の装甲を反射させリュウセイが着地する。

「リュウセイっ、ヴァズロフはどうだった」

「怪我をしていました。病院に連れていくべきだけど任されました」

 リュウセイがアキラツを見上げためにマズルを上げる。

「アキラツさん一人で背負わせないって、皆で背負うってだから」

 起き上がる異形のヴァズヴァロフを見る。

「助けよう」

「助ける、だと」

「レスキューまだ続いてます」

「…そうか」

 アキラツが肩をすくめ前を向く。

「そうだな。救わないとな」

 相手の中にどういった気持ちがあるのか理解できない。

 しかしながら、暴れる姿を怒りだけだと断定もできない。

 そんな者ばかりを相手していたことを前いた世界の記憶がふつふつと沸いてくる。

「勝手ながらそう思わせてもらう」

 誰に声をかけることなく一人ごちるようにアキラツは言う。

 異形ヴァズヴァロフが六つの腕を使って跳ねる様に突進してくる。

 リュウセイがバックルの前に手を添えるとバックルから光が照らされツルギが現れた。

 ほう、とアキラツが感嘆する。

 両手がアキラツとリュウセイが居た場所に押し付けられクレーターを作る。

 砂煙が上がる前に、アキラツとリュウセイは二手に分かれる。

 異形ヴァズヴァロフが目のない顔をアキラツを追う。

「こっちなんだな」

 赤いマントをはためかせアキラツは言う。

 息を吐き構える。

 アキラツを目指し走る。

 アキラツの頭部の装甲が前にせり上がり、もう一段動く。

 角の様に展開した装甲から赤い炎に見えるエーテルの粒子がが後方へ広がる。

 同時に右足の脚部が広がり大きく見せる。粒子が広がった隙間から溢れだしていた。

 異形ヴァズヴァロフに狙われ迫られ膨張した手が襲うが、低く飛んだアキラツの蹴りが無防備な顔へ吸い込まれるように入る。

 一瞬縮んだような錯覚をさせてリュウセイの方へ飛ぶ。

 リュウセイの様にバックルの前に手を添えると、斧のような大砲が手に収まる。

 リュウセイの眉筋にある二本の角から別の角が分かれて展開する。

 足の装甲が開き赤い結晶の装甲が剥き出さられる。

 四本の角が発光するのと同じく赤い結晶も発光しエーテルの粒子が溢れ始めた。

 ツルギを突き立て、かしらを踏み台に飛び上がる。

 飛んでくる異形ヴァズヴァロフを蹴りが捉え上空へ飛ばし、アキラツへと返す。

 腰だめに大砲を構えフォアエンドを動かせば砲身の上下にレールが飛び出す。アキラツの左足の脚部も同じく広がり大きく見せる。

 溢れた粒子が硬化して地面に爪を立てアンカーの様に打ち込まれる。

 背中のマントが捻じれ槍の様に鋭いくなり地面に突き刺さる。

 もう一度フォアエンドを動かせば、レールからエネルギーが波打ち始めた。

 異形ヴァズヴァロフへ向かって標準を定めれば、トリガーを引く。

 エネルギーが放出される。閃光が異形ヴァズヴァロフの体に浴びせられる。

 地面に降りたリュウセイはツルギを握り地面から抜く。

 バックルが光る。

 何もないヴァズヴァロフのツルギを光が包み、光の線が刃渡りを大きくして硬化する。

 赤い結晶を帯びたツルギを肩に担ぎ跳ぶ。

 異形ヴァズヴァロフを断った。

 閃光が形を残さず飲み込んだ。

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