理解した選択ー1
アキラツが先に動いてヴァズヴァロフに近づく。
千切れた体はすでに元に戻っておりヴァズロフの姿は見えなくなっていた。
大きな体をしているというのに俊敏に駆ける。
さっとヴァズヴァロフの懐へ。
体を引こうとしたヴァズヴァロフよりも早く胸の装甲へ手を突き入れる。
先ほどの再現を易々とやってのけた。
気絶しているヴァズロフが見える。
また抵抗するように両手が掴みかかってくる。
上から来た。
ヴァズヴァロフの両手をリュウセイが足蹴りで弾く。
「よくやったリュウセイッ」
自分と同じ事をできることに褒め言葉が出る。
力を振るって胸の装甲を腕の装甲ごとけたたましい音を立てて剥ぎ取って見せた。
アキラツの肩に乗ったリュウセイがヴァズロフに飛びつきヴァズヴァロフから引きずり出した。
空になったヴァズヴァロフをアキラツは投げた。
「ヴァズロフさんヴァズロフさんッ」
飛ぶような勢いでアオイの元へヴァズロフを連れていく。
顔色悪く寝かせてリュウセイもアオイもどちらともなく名前を呼んだ。
瞼が痙攣する。
せき込み目を開けた。
リュウセイもアオイも喜び合う様に顔を見合わせた。
「…体が痺れて力が入らんな……アオイすまないが水か何か…飲めるものあるか」
「水…は噴水の水しか」
「しかたないわな、それでかまわないよ」
「うん、待ってて」
急ぎ足でアオイは噴水へ向かった。
「助けてもらったようだな、リュウセイ」
「俺だけで助けた訳じゃないんだアキラツさんのおかげだよ」
「そうか」
ゆっくりとヴァズロフの口元が上がる。
音を立て地響きが起きる。
アオイが小さな悲鳴を上げて倒れて両手を器にしていた水がこぼれる。
音の先に四足の黒い塊がいた。歪な体をして四つの分かれたもので立っているが頭部がヴァズヴァロフであった。
「まか、せるぞ」
ヴァズロフがふらつきながら立ち上がる。
無理をしているのがわかるほどに辛そうだとはた目からわかる。
「アレが何か、僕は側にいて知ってしまったが、お前たちはわかっているか」
しぶしぶとリュウセイは頷く。
「初めて姿を変えて出会った時は感じなかったけど、今は、今ならわかっています」
肩に手が置かれる。
「よその国のことでリュウセイ、君に頼むのは情けないことだがアキラツ一人に背負わせられないんだ。頼む」
肩に置かれた手に重さを感じる。
俺がきっとここへ来たから。
「俺も、背負いますから」
抱き寄せられた。
「素直すぎる。嫌な事なら断っていいんだぞ」
「リュウセイ君がどうかしたの」
アオイが器を持って声をかける。
「僕もアオイもリュウセイもそしてアキラツや皆が背負わないといけないことだよ」
ヴァズロフがリュウセイを見て頷くとリュウセイも頷き、暴れる四つ足へ向かった。
「どういう、こと」
器をヴァズロフへ渡しながら尋ねる。
「落ち着いたらうまく説明する。今は彼らを見ていてくれたらいい…この器どうしたんだ」
「さっきの揺れで噴水の飾りが取れてね器に良い形していたから使ったの」
「変な飾りも稀には役に立つな」
水を飲んで視線は二人から離さなかった。




