探し人も恩人も
「あれ、あの姿、白いけどリュウセイくんに似ている」
ふらりとアオイが濡れた服を滴らせながら立ち驚いていた。
遅れてリュウセイも立ち上がる。アオイのように驚きはしたが、背中をじっと見つめていた。
「ヴァズロフすまないが、手荒くいくぞ」
白で包まれ黒の鎧を着飾ったアキラツが動く。
「…あの中にヴァズロフさんが」
リュウセイが巨大化したヴァズヴァロフを見て独りごちた。
アキラツが地を力強く蹴った。タイルが割れ跳ねる。
ヴァズヴァロフの間合いへ飛び込んだ。
両腕が挟みこんでくるが、アキラツはその場で飛び足で素早くそれらを弾く。
地面に足が着くと同時に胸の装甲に手刀を突き入れた。
もう片手も突き入れて腕に力を込めて震わせながら、胸部から仮面まで引き裂いた。
けたたましい音を立てて開いたそこにヴァズロフを見た。
引き裂いた仮面から見えたヴァズロフはぐったりと身動きをしていなかった。
体を引っ張り出そうと片手を伸ばしたらば、仮面がアキラツに視線を向けていた。
「アキラツさんッ」
無意識に体が動き水しぶきを上げてリュウセイが叫ぶ。
手を放しアキラツは後ろへ飛ぶ。
アキラツが引き裂いた装甲は切断しかねない勢いで装甲を元に戻していた。
「助かったリュウセイ」
すかさずリュウセイに手のひらを向ける。
「手が足らない一緒に行くぞ」
リュウセイは目を泳がして口をつぐんだ。
「どうした」
「アキラツくん前」
アオイの声に近寄られたヴァズヴァロフを拳がいなし、両足で蹴り飛ばした。
「なぜ変身しない」
着地と共に振り向き、怒るわけでなく疑問を投げかけてる。
「…アキラツさんに返しましたから、お兄さんが俺を支えていくれていた力はもう」
アキラツが笑う。
「リュウセイ。この力は俺のじゃない君の力だ」
え、とリュウセイの口からこぼれる。
「俺がこの世界に来るまで身に着けていたものを似せようと生んだのは君の力だ。俺はその力を再現しているに過ぎない」
「俺の、力」
リュウセイは手を握りしめる。
「君がやらないといけないことはまだ終わっていないんじゃあないか」
「やらないといけないこと」
「友達を探す、だよね」
アオイの言葉にリュウセイは大きく頷いて尻尾を振った。
「うん、まだ終わってない」
「ああそうだ。けどだ今は寄り道をしてもらえると助かる。恩人が大変な目に合っていてな」
「俺にとっても恩人です」
噴水の水の中から歩みだす。
「アキラツくんリュウセイくん、ヴァズロフさんをお願い」
「ああ、まかせろ」
「助け出す。アオイさんは離れていて」
アオイは頷いて噴水から上がって離れる。
一つ息を吐くリュウセイ。
腰に光が集まりバックルとベルトが巻かれる。
特に変わらなく現れたベルトに少々の驚きを持ったが、バックルが開きリングの輝きと共に黒に包まれる。
黒が締め付け黄色味のある装甲が以前より増え包む。
マズルを装甲が挟みこみ、眉筋に二本の角が後ろへ伸びる。
「おまたせ、しました」
アキラツの横に並ぶが気恥ずかしさがあった。
「なに、丁度いい具合に体がほぐれたところだ…さあ、初めての共闘だがレスキューを始めようか」




