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勇者アキラツ

 リュウセイが手に持ったそれは確かに光を放って明るい。

 けれども、それは光なのか。

 アキラツは目を背けた。

 それでも毛が覆った耳がとらえる。音が立ち近づいてくる。

 地面を踏み鳴らし赤い目を光らせていた。

 光に向き直る。

 誘惑。そうとも思えるしそうとも思えない。

 これをリュウセイから奪いたかったのかはわからない。

 だが、これがここへ来たからこそ目覚めたのだと光を見て理解する。

 光を手に掴む。

 脳裏に覚えのない記憶の写真や映像が流れ込む。

 怖さも辛さもない。受け入れて脳に体に染み込んで馴染んでいく。

 元々持っていた自分の物であるように。

 水面から視線を感じた。そこにアキラツがいた。

 熊の毛が覆ったオルグでなく、淡い黄色みがある金髪と同じ顎の髭を生やしたラダトの顔があった。

 白い歯を見せて笑う自分を見て熊のアキラツはほくそ笑んだ。

 彼を両手ですくい顔にかけた。

 くすんだ瞳に光を灯し水を滴らせてアキラツは立ち上がる。

「アキラツくん無理しないで」

 アオイの声に笑顔を見せる。

「大丈夫。大丈夫なったから、アオイ心配するな」

 迫るヴァズヴァロフに視線を向けた。

「リュウセイのおかげで俺はまた人を助けることができる。これまでよりも」

 右手を突き出して構えた。相手に手を伸ばすように。

「これから先まで手を伸ばすッ」

 伸ばした右手に光が灯る。

 腰に光が走りリュウセイの様にベルトが生まれた。

 左手でベルトに触り子供のように笑った。

「これが君のやり(たたかい)方なら乗らせてもらおうか」

 光が灯った右手でバックルに触れると、光がバックルに吸い込まれる。

 バックルが左右に開き金のリングが見えた。

 噴水の水から抜け出し、ヴァズヴァロフ向かって走り出した。

 ヴァズヴァロフもまたアキラツに向かって拳を放つ。

 拳を手で受け止め、壁を駆けのぼるようにヴァズヴァロフを蹴りアキラツが宙を回リ着地する。

 よろめくヴァズヴァロフを見ながら動く体に頷いた。

 光が灯らない右手を伸ばし薬指を親指の付け根に添えて、中指を親指の付け根に滑らせて音を出す。

 それが合図のように、黒が体を包み白に変色する。体を締め付けながら黒い金属の質感が胸部を四肢をマズルを挟みこみ、目をマスクが覆う。

 黒く赤いマントがなびいた。

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