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甘味を求めて

「わ、わっ、見て見て、勇者様とクサナギさんだよ」

「…へ、ああ、初めて見た熊の顔ってあんなのなんだ」

 人が行き来するショッピングモールで二人が歩く周りでは喧噪でひしめいた。

 注目される視線に気にも留めずにアオイに引っ張られてアキラツが後ろからついて行く。

 白いタイルが敷き詰められ、空が見える透明な天井が見える限り続く。

 一軒一軒店が並び活気が目で見てもわかる。

 眠っている間にあの頃からずいぶんと成長したものだ。

「これだけ大きな施設もできたのだな」

「皆さんが協力してようやく出来ましたから活気がある場所ですね…あ、あそこあそこ」

 アオイが指をさす。

 アキラツがそこを見れば店に列が出来ているのが見えた。

 そこか、とアキラツが思っていると最終列に立っていた。

 周囲のザワつく中、握手を求められたり写真を撮られたり快く応対していれば自分たちの番になっていた。

 貰った金でアオイがおすすめしてくる丸い甘いお菓子を買う。

 紙袋に包まれた商品をアキラツの大きな熊の手が受け取る。

 来た道をアオイと今度は並んで歩き出す。

 ヴァズロフが待っている急ごう。

 そんな矢先に。

 幼い子が目の前で転んだ。

 アキラツが駆け寄り立ち上がらせようとするが、その手を掴まずに小さな子は立って大丈夫、と言い笑い両親の元へ速足で向かった。

 子供の両親はありがとうと言う様に頭を下げて子供を連れて離れていく。

 何もしなくてもよかった両手を見てほくそ笑んだ。

 そんなアキラツをアオイが覗き込むが、何でもない行こう、と立ち上がって歩き出した。


「もう少しで着くな」

 店のいつもの舗装された道に帰ってきたアキラツがつぶやく。

「ヴァズロフの店はショッピングモールの中に出さなかったんだな」 

「ヴァズロフさんは警備隊の隊長なのでお店をほとんど開けることがなかったでんですよね。作る人が不在ですからあそこに出店することも考えていなかったかと」

 と、アオイ。

「リュウセイくんが来てからですねあのお店を続けているのは……リュウセイくんの訓練目的だったのですが想像してもいなかったのもありますが、オルグを見たい人が多くて私も手伝いに来るほど盛況になってしまったんですよね」

 困りましたよね、と他人事のように言う。

 困ってないなとアキラツは頬を緩ませた時、背筋が伸びる。

 鋭い何か、知らせが貫く。胸を掴むような悪い気持ちが茶色い毛を逆立てる。

 アオイを置いて巨体を走らせる。

「アキラツくん待って」

 急に走り出したアキラツに驚いたが、走り出した。

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